慰霊の日にあわせて平和への願いを未来へ繋いでいこうと、6月23日に沖縄市で音楽イベントが開かれた。「自分たちが戦争体験者の声を直接聞くことができる最後の世代かもしれない」と、平和への思いをつづった曲を披露したアーティストに迫った。

「慰霊の日」に平和を想う空間を共有したい

2022年6月23日、沖縄市で開かれたライブイベント「うむいのわ」。音楽を通して平和を見つめようと、県内外からアーティストが集まった。

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イベントの画発起人は、これまで数々の音楽イベントを手掛けてきた普久原真吾さん。

「うむいのわ」発起人の普久原真吾さん:
ミュージックとピース(平和)は一緒。平和を願いながら、音楽で盛り上げていくというのが僕の中では大切。(平和を)想う空間を共有できたら更に良いと思う

普久原さんも、アーティストも慰霊の日にライブをするのは初めて。打ち合わせを重ね、平和への想いを共有してきた。

1年前から歌うと決めていた特別な曲

沖縄市出身のラッパーRude-αさん:
どんどん戦争を体験した人は亡くなっていくし、自分たちにできる事は何かと考えたときに、沖縄という島にあるものを歌にして、次の世代に繋いでいくべきだと思う

沖縄市出身のラッパーRude-αさん。Rude-αさんには2021年から、慰霊の日に歌うと決めていた特別な曲があった。

沖縄市出身のラッパーRude-αさん:
全ての戦没者の方へ、そして今みんなの目の前にいる赤ちゃんやこども、沖縄の未来へ…聞いてください 「うむい」

沖縄市出身のラッパーRude-αさん(うむいの歌詞):
島の空を飛び交う戦闘機
風に踊るウージ(さとうきび)の森
青い海に燃ゆる命
てぃーだ(太陽)よ照らせ 僕らの祈り

「戦争体験者から話を聞けた最後の世代」の使命感

沖縄市出身のラッパーRude-αさん:
戦争を体験したおばあちゃんが、僕が小学校5・6年生の頃、涙を流しながら「戦うんじゃなくて、目の前にあるものを大切にしてください」…それをずっと覚えている。僕らは今、沖縄にあるものを次の世代に渡さないといけないと思った。僕らが、戦争体験者の人たちから戦争の話を聞けた最後の世代だと思うから

沖縄戦で戦死した曾祖父。父親を知らずに生きてきた祖母が、礎の前で流した涙を見て感じたものを歌詞に込めた。

沖縄市出身のラッパーRude-αさん(うむいの歌詞):
「争うよりも愛しなさい」
と忘れはしない おばぁの涙

実は2021年夏に完成していた「うむい」。BEGINの島袋優さんらとともに、この日の発表に向けて温めてきた。

BEGIN 島袋優さん:
(2021年に)目の前でRude-αが「うむい」を歌ってくれたんですよ。衝撃が走ったというか、胸を突き抜かれた感じだったんですよ。
BOOMの宮沢さんと、沖縄を代表する曲がまた出てきて、その曲を聞きたい、自分たちが作りたいじゃなくて聞きたいねという話をずっとしていて、僕の中ではそれが「うむい」だった

沖縄市出身のラッパーRude-αさん:
沖縄の人にとっては辛い思い出がよみがえる日でもあるかもしれないけど、礎に手を合わせているこどもの姿を見たら、未来である日だとも思う

世代超えてひとりひとりの心に平和の想いを

慰霊の日の前日、兼原小でのライブ。慰霊の日を迎える前には、県内の小学校を回ってライブを披露し、子どもたちが慰霊の日の意味、平和とは何かを考えるキッカケを作ってきた。

女の子:
(慰霊の日は)命の大切さを理解しながら、亡くなった人にゆっくり眠ってねと言って過ごしたいと思いました

男の子:
(うむいの歌詞を)ノートに写して、もし結婚して子どもが生まれた時に教えたいなと思いました。

沖縄市出身のラッパーRude-αさん(うむいの歌詞):
生まれた時からそこにあったもの
島に残った基地問題
あっていいのか なくていいのか
僕には答えが分からない
生まれたときからそこにあったもの
島に響く命の鼓動
島の空を飛び交う戦闘機風
風に踊るウージの森
青い海に燃ゆる命
てぃーだよ照らせ 僕らのうむい

赤ちゃんを抱く男性:
Rude-αさんの「うむい」、一番良かったです。子どもたちのためにも、平和に楽しく生きていこうと思いました

戦争体験者の男性(78歳):
ここで聞く前に、この「うむい」という曲をちょくちょく聞いてはいたんですよ。どうしても聞きたくて。若い人たちが沖縄の想いを歌にして訴えるということは、とても良いと思って、とても良かったです

女の子:
もっと一日一日を大切にして、みんなと仲良くしていきたい。絶対戦争は起こらないでほしいなと思いました

世代を超え、ひとりひとりの心に平和への想いを届ける「うむい」。沖縄の未来を照らしていく。

「うむいのわ」発起人の普久原真吾さん:
こうして考える時間とか共有できる空間と時間があった。沖縄の6月23日は、やっぱり大切にしていかないと、と改めて思いました

沖縄市出身のラッパーRude-αさん:
音楽をやっていて、この歌詞を書いて良かったなって思う瞬間が今だなと思います。2023年も2024年も人が笑顔になれるような歌を作っていきたいと思うし、楽しい世の中を作っていける、もっときれいなものを(未来に)手渡したいと思います

(沖縄テレビ)

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