群発地震“160回”の珠洲市でついに震度6弱 過疎と高齢化の町を襲った震災ドキュメント【石川発】
常識が通用しない…いま備える防災

群発地震“160回”の珠洲市でついに震度6弱 過疎と高齢化の町を襲った震災ドキュメント【石川発】

2022年6月19日梅雨の中休みで、晴れ間が広がる日曜日の午後。突然、携帯電話からけたたましくアラーム音が鳴った。緊急地震速報だ!

最大震度6弱!その時、能登は

激しく揺れるスーパーの室内灯。その瞬間、商品は床に散乱し、奥にいる客もよろけているように見える。
6月19日午後3時8分ごろ、能登地方を震源とするマグニチュード5.4の地震が発生。珠洲市で震度6弱を観測した。

地震当時の珠洲市内のスーパー「フードはまおか」
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珠洲市では、2020年12月頃から地震が続いていた。これまでとは違う揺れに珠洲市民は…

10mにわたって倒れた塀

珠洲市民:
おおおーって。何が何やら…。神棚のサカキが落ちてくるし、タンスが落ちてくるし。相当、揺れたわ。こんなの初めてだ。

やや興奮しながらインタビューに答える珠洲市民

被害は珠洲市のシンボルとも言える場所にも及んだ。県の天然記念物で、見た目が軍艦のように見えることから「軍艦島」とも呼ばれている「見附島」。その「見附島」の一部が、土煙をあげて崩れ落ちたのだ。

動画を撮影した人:
すごい音がしたので後ろを見たら、見附島が崩れ落ちていた。砂とか岩が落ちて怖かった…

珠洲のシンボルともいえる見附島も被害に…。

珠洲市の春日神社。毎年7月に、巨大な燈籠山(とろやま)が町内を練る能登有数の祭りがある神社だ。新型コロナの影響で3年ぶりの開催を前に、鳥居が無残な姿となった。

能登有数の祭りがある神社の鳥居も無残な姿に…

1993年の能登半島沖地震で被害を被った裏山が、再び崩れた家も…

大惨事は免れたが、地震の大きさが見て取れる

珠洲市は地震発生当日の夜、市内10カ所に避難所を開設した。

自主避難した人:
1人暮らしだから寂しいし、怖いし。(珠洲市)蛸島に来て60年から70年経つけど、こんな恐ろしいこと初めて…

避難してきた珠洲市民

翌日も震度5強、震度4と地震相次ぎ、被害拡大

翌日も地震は相次ぐ。午前10時半すぎに最大震度5強、午後2時50分にも最大震度4の地震が発生。この地震も含め、石川県では7人がケガをした。

秋末アナウンサーリポート:
珠洲市の飯田小学校。グラウンドには亀裂が入っていて、その長さは15mほどになっています!

グラウンドに入った亀裂

相次ぐ地震に、市民の疲労はたまる一方だ。
過疎と高齢化の町では、片付けもままならず、87才の妻と暮らす90才の男性は20日に倒れたタンスが、そのままに…。

90歳の夫と87歳の妻が二人暮らし

90歳の夫:
重いものは持てない。少しは片付けたけど、タンスとかは私たちじゃ持てない。あす、娘夫婦が来てくれるから、それが頼み

高齢の夫婦二人では片付けもままならない…

更に一人暮らしの女性の家を訪ねると、地震でテレビの電源が入らず心細いという。女性にとっては、テレビが唯一の情報源なのだという。

一人で不安な日々を耐える女性

女性:
きょうも揺れがあったか、テレビがつかないと何も分からない

困る女性のために、スタッフがコンセントを入れ直してみるとテレビの電源が入った。単にコンセントが抜けていただけだったようだ。女性にとっては、突然の地震に驚き、冷静な判断は難しかったようだ。

女性:
ついた!良かった…。一人だと、テレビがないと、どうしようもなくて…

相次ぐ地震に一人耐え続けていた女性は、ホッとしたのか涙を見せていた。

少しホッとして涙ぐむ女性

幻の古陶とも呼ばれる珠洲焼の作家も被害を受けた。東京などにファンが多いという篠原敬(しのはら・たかし)さん。個展に向けて制作した作品が被害を受けた。

個展に向けて制作した300点のうち、200点が被害に…

すぐにでも創作活動を再開したいところだが、篠原さんには不安がある。

篠原さん:
ここは地すべり地帯なんですよ、地すべり指定区域

石川テレビ取材班:
今回の地震で地盤緩んだりしていないですかね

篠原さん:
ニュースでそんなこと言ってるんで、怖いなと思って…

不安そうに裏山を見る篠原さん

液状化現象も発生…引き続き備えが必要

地盤の軟らかい地域で強い地震が起きた時、心配なのが「液状化現象」だ。この現象は地震の強い振動で、地盤を構成する砂の粒子がバラバラになり、一時的に水に浮いた状態になることをいう。

液状化現象とは…

震度6弱が観測された翌日、地震工学が専門の金沢大学の宮島名誉教授が早速、現地入りした。

現地調査に入った宮島名誉教授(右)

調査では、市内の蛸島漁港で「液状化現象」を確認したという。

漁港で確認した「液状化現象」

液状化現象で、「地面から水が噴き出す」「地盤沈下で建物が傾く」「水道管やマンホールなどが浮き上がり、壊れる」などの被害が起こる。

現場で調査する宮島名誉教授

宮島昌克名誉教授:
液状化が起こると、地面の中に入っている水道管や下水道管が壊れる可能性が高い。下水が使えなくなってもいいように携帯トイレを準備するなど、地盤の弱い地域は普段からしっかり備えることが必要です

宮島名誉教授は、地盤の軟らかい場所に住んでいる人は「水を余分に蓄える」「携帯トイレを準備する」など、万が一の備えが必要だという。

地盤の柔らかい地域での備えのポイントは?

防災だけではなく、犯罪への注意も必要だ。
警察によると、地震が発生した地域では過去に「ボランティアを名乗る女性から募金を求める不審な電話があった」「市役所の者だと名乗る人が自宅にやってきて義援金を求められた」など相談が寄せらたという。
そのため、石川県警は地震に便乗した犯罪が起きる可能性があるとして注意を呼び掛けている。

地震に乗じた犯罪にも注意が必要だ

地震調査委員会「少なくとも数カ月は続く」

珠洲市では2020年12月から地震が活発化し、6月20日正午までに震度1以上を観測した地震は160回。今回の地震を受け、国の地震調査委員会は臨時の会合を開いた。

地震調査委員会:
この数カ月で地震が終わってしまうような兆候は現れていないとして、少なくとも数カ月は続く

いざ大きな地震が起きると、想定外の事態に…

高齢過疎の地域を襲う群発地震。終わりの見えない日々が続いている。

(石川テレビ)

記事 210 石川テレビ

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