記録的な大雨で、熊本県内では道路の寸断などで、3つの市と町で孤立状態となっている集落がある。8月15日に孤立集落の一つ、美里町の甲佐平中岳地区にTKUのカメラが入った。当時、警戒レベル5の『緊急安全確保』が出された集落には大雨の様々な爪痕が残っていた。

一連の大雨で熊本県内8つの集落が孤立

熊本県によると、8月15日午後3時時点の孤立集落は、甲佐町で6、御船町で1、美里町で1、計8つの集落がある。

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14日時点では20の集落だったので解消が進んでいるが、8つの集落の住民のほとんどが残留を希望していて、熊本県は「支援を続けながら道路の開通に向けて取り組む」としている。

9世帯17人が孤立の甲佐平中岳地区

美里町によると、町内では甲佐平中岳地区で9世帯・17人が孤立状態になっている。集落に向かう道には、土砂崩れや倒木が多数あり、徒歩でも極めて通行しづらくなっている。そのほか、道そのものにも大きなダメージが残り、復旧には相当な時間が掛かりそうだ。

道路はアスファルトがめくれあがってボコボコになっていて、とても車は通れる状況にはない。アスファルトがえぐれ、中の土も流出してしまっている。

大規模な土砂崩れの現場から徒歩で登り続けること約30分、甲佐平中岳地区に到着した。地区内に住む9世帯・17人に全員にケガなどはなく、連絡もとれているという。この地区をまとめる区長の藤本憲一さんに話を聞くことができた。

藤本さんは「(家の)裏から水が流れて、川では石がゴトゴト転がり落ちる音がして、外に出られる状態ではなかった。困ってることはもう、車で買い物とか病院に行けないのが一番です」と話す。

土砂の撤去進めるも復旧めど立たず

藤本さんが付近で一番高いところにある、福城寺へと案内してくれた。集落内の生活道路にも被災の後がいくつも見られた。

海抜753メートルに位置し、1200年以上の歴史を刻んできたという福城寺。本尊の釈迦如来像や観音像に被害はなかったほか、町の天然記念物大銀杏も無事だったという。

福城寺の河地真恵住職は「人的な被害はなかったので、ありがたいことに。観音様が(地区を)守ってくれたのかもしれませんが」と話す。

人的被害がなかった一方、美里町によると、中岳地区へ続く道で土砂の撤去を進めているものの、現在のところ復旧のメドは立っていないという。

甲佐町宮内地区では職員が物資届ける

一方、甲佐町では職員が住民たちに支援物資を届けた。町内にある宮内地区では土砂崩れの影響で道が通れなくなるなどしていて、孤立はしていないが約40世帯80人が支援を必要としている。8月15日は職員が水やおにぎりなどを住民に手渡した。

甲佐町の職員が「家に食料はある?」と尋ねると、住民は「米はあるが、おかずがない」と話した。支援物資を受け取った住民は「食料を持ってきてくれた。ありがたい」と、職員に感謝した。

甲佐町役場・農政課の山村豪参事は「聞き取りをして、できる範囲で(対応している)。日々、不足しているものを届けて、(住民の)負担を軽くできれば」と話した。

このほか宮内地区では、水道管が壊れたことによる断水が起きていて、甲佐町によると現在、宮内地区では少なくとも12世帯が断水しているという。

住民は「役場に水を持ってきてもらって、近所で分け合っている。水(がないの)は困る、本当に」と話し、甲佐町は復旧作業を進めているが、断水解消のめどは立っていないという。

(テレビ熊本)

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