富山県南砺市の民宿に、富山県を代表する有名日本画家が制作した大きなふすま絵がお目見えした。ふすま絵には、宿泊客に人気の景色と宿に代々伝わるある逸話が描かれていた。
7枚のふすまを彩るしだれ桜とモミジ
南砺市利賀村の「古民家の宿 おかべ」。築90年を超える古民家を改装して作られ、自慢の料理や庄川峡を眺める露天風呂などが人気の民宿だ。
この記事の画像(11枚)先日ここを訪れたのは、県内外で活動する日本画の大家・西藤哲夫さん(70)。この民宿のために描いたある作品の完成を見届けに来た。
日本画家・西藤哲夫さん:
桜を描くのが心配だった
西藤さんが2021年12月から制作に取りかかり、約5カ月をかけて完成した巨大なふすま絵。縦176cm、横621cmと、7枚のふすま全面に描かれた。
作品には、ふすま絵がある部屋から見える庭の景色をもとに描かれている。右手にはしだれ桜が、中央から左手にかけてはモミジが季節ごとに移り変わっていく姿が描かれ、現実では見ることのできない幻想的な情景を楽しめる。
民宿の改装に合わせ、ぜひふすま絵を描いてほしいと岡部さん夫婦の熱烈なオファーで実現した。
女将・岡部智美さん:
描いてもいいと思ってくれたのは何でだったんですか?
日本画家・西藤哲夫さん:
やったことがないから。ここまでずっと続けて描く絵は初めて。やったことないからやってみようと。やってもやっても答えが出ない
「座敷童さんも喜んでいる」漫画から刺激を受け
西藤さんは石川県生まれ。国内最大級の日本画の公募展覧会「院展」にこれまで38回入賞し、2020年から2年間、富山県美術連合会の会長を務めた富山を代表する日本画家だ。
まさか、西藤さんに本当にふすま絵を描いてもらえるとは思っていなかったという女将の智美さん。
女将・岡部智美さん:
ぜひともお客さんに見てほしい
西藤さんが、桜の花やモミジの葉の他にもう1つ注目してほしいというのが、宿泊客の中で話題のこの宿に出るという「座敷童」。
女将・岡部智美さん:
うちの座敷童さんもすごく喜んでいると思う。「鬼滅の刃」に出てきそう
日本画家・西藤哲夫さん:
実は「鬼滅の刃」のキャラクターを参考にした。漫画チックで恥ずかしい
女将・岡部智美さん:
大先生に漫画チックに描いてもらえて、逆に親しみがあってうれしい
岡部さんは、ふすま絵という新たな魅力が、コロナ禍の宿に新たな客層を呼び込んでくれるのではないかと期待を寄せている。
女将・岡部智美さん:
美術品として見たいというお客さんに来てもらえるのではないか。自分たちの強みとして発信していきたい
(富山テレビ)