マレーシアのボルネオ島で撮影された一頭のサル。実はこのサル、これまで確認されたことのない“謎のサル”だといいます。

「かなりレア」2種のサルによる交配の可能性

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アジア屈指のリゾート地で、自然の宝庫としても知られるボルネオ島。その北部にあるサバ州で、2017年にこの“謎のサル”が見つかりました。

尻尾は長く、頭部から背中は濃い茶色、首や顔の周辺は特徴的なオレンジ色。この謎のサルの正体が、新たに発表された論文によって解明されつつあります。

発表された論文より:
”謎のサル”は、遠縁にあたる2種のサルが交配した希少な例である可能性がある。

論文の著者である霊長類学者が示唆したのは、「シルバーラングール」と「テングザル」という2種のサルによる交配。一体、どれほど希少なことなのか。動物研究家のパンク町田さんに話を聞きました。

動物研究家 パンク町田氏:
(交配の)レア度から言えば、かなりレアとしか言いようがないです。

パンクさんによると、シルバーラングールとテングザルは本来、交配を行わない遠縁の種で、見た目も大きく異なるのだといいます。

ではなぜ、交配が行われた可能性があるのでしょうか。めざまし8は論文を発表したナディーン・ルパート氏に話を聞くことができました。

オスは繁殖で遠い地域に行くが…環境破壊による現象か

マレーシア科学大学霊長類学者 ナディーン・ルパート氏:
本来、この2種のオスは繁殖のために遠い地域に行くのですが、環境が破壊され他の地域に行くことができなくなり、この地域にとどまってしまったのです。その結果、体の大きいテングザルのオスがシルバーラングールの群れを支配し、子供ができたのではないでしょうか。これは非常に珍しいことです。

霊長類学者によると、自然環境が破壊され、生態系のバランスの崩れから起きた現象とのこと。世にも珍しいサルの誕生は、もしかすると環境破壊に対する人類への警告なのかもしれません。

(めざまし8「#NewsTag」5月23日放送)