韓国の尹錫悦 新大統領は5月10日の就任演説で、北朝鮮に対し「対話の扉は開いている」と強調。日韓関係や米韓同盟に関する言及はなかった。
午前11時から始まった尹 新大統領の就任式には、外国からの来賓や韓国国民など、4万人以上が招待され、日本からは岸田総理の特使として林芳正外務大臣が参加した。
尹 新大統領は、いわゆる元徴用工などの問題で冷え込んだ日本との関係について、改善の意欲を示している。ただ、きょうの就任演説では、日韓関係や米韓同盟に関する言及はなく、林大臣ら来賓に対し、式典参加への感謝を述べるにとどまった。
また、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に対しては、アメリカとの同盟関係を軸に抑止力を強化する方針を示していて、就任演説では「対話の扉を開いておく」とした上で、「北朝鮮住民の生活を画期的に改善できる大胆な計画を準備する」と述べた。
全文は以下の通り。
「私は朝鮮半島だけでなく、アジアと世界の平和を脅かす北朝鮮の核開発に対して、その平和的解決のために対話の扉を開いておきます。そして、北朝鮮が核開発を中断し、実質的な非核化に切り替えるなら、国際社会と協力して北朝鮮経済と北朝鮮住民の生活の質を画期的に改善できる大胆な計画を準備します。北朝鮮の非核化は、朝鮮半島に持続可能な平和をもたらすだけでなく、アジアと全世界の平和と繁栄にも大きく寄与するでしょう」
一方、韓国国内の課題については「過度な両極化と社会葛藤が自由と民主主義を威嚇し、社会発展の足を引っ張っている」と述べ、『危機』という言葉を繰り返した。
就任式では、国民の代表を壇上に上げる演出も行い、3月の大統領選挙で二分された国民世論を念頭に『団結』の必要性を強調。
さらに文在寅 前大統領や、かつて自らが捜査を指揮した朴槿恵 元大統領も参列し『統合』を印象付けた形だ。
(フジテレビ国際取材部)