性被害を告発したジャーナリストの伊藤詩織さんが、自身を中傷するツイッターの書き込みに「いいね」を押されたことで、名誉を傷つけられたとして、自民党の杉田水脈衆院議員を訴えていた裁判が、きょう午後、開かれました。東京地裁は、伊藤さんの請求を棄却する判決を言い渡しました。

訴状によりますと、杉田議員は、2018年、伊藤さんを中傷する第三者のツイッターの書き込みに対して、賛同を示す「いいね」を、繰り返し押していたということです。伊藤さんは、この行為で、名誉を傷つけられたとして、杉田議員を相手に、220万円の損害賠償を求める訴えを起こしていました。

インターネットへの投稿そのものではなく、それに賛同する行為が、名誉侵害に当たるかどうかが争点。伊藤さん側は、国会議員である杉田氏の「いいね」によって、10万人を超えるフォロワーに拡散され、名誉を傷つけられたと主張していました。

きょうの判決で東京地裁は、「『いいね』自体からは感情の対象や程度を特定することができず、非常に抽象的な表現行為にとどまっている」と述べた他、「「いいね」は必ずしも対象ツイートの内容自体に対する好意的・肯定的な感情を示すものではないというべき」と指摘した。

その上で、「『いいね』を押す行為は、社会通念上、許される限度を超える違法な行為と評価することはできない」と結論づけて、伊藤さんの訴えを退けた。

社会部
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