時代の進展とともに産業構造が変化する中で、これまでの事業に加え、新しい業態を取り入れた企業を紹介する。

建設会社がカフェをオープン。「建設会社のカフェ」として知ってもらうための工夫や、「これまで以上に地域の人と交流できるようになった」ことで、仕事の依頼や相談を受けるなど、相乗効果も生まれている。

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地元が大好きな社長の挑戦を取材した。

コロナ禍で売上げ2割減…空き家活用してカフェに

佐善建設・佐藤善之社長:
この地域は、じいちゃんやばあちゃんがとても多くて、地域の方々が歩いて立ち寄れるような、憩いの場みたいなものを作りたいなと思いました

秋田市雄和の佐善(さぜん)建設、佐藤善之社長。
佐善建設は、行政からの発注を中心に、道路や河川などのインフラ整備や冬の除雪作業を請け負っている。

秋田市雄和の佐善(さぜん)建設
秋田市雄和の佐善(さぜん)建設

新型コロナウイルスの影響で、海外から資材の仕入れがスムーズにできないことなどが会社の業績に響き、今期の売上高はコロナ禍前より2割ほど減った。

佐善建設・佐藤善之社長(右)と妻の芳恵さん
佐善建設・佐藤善之社長(右)と妻の芳恵さん

そこで、佐藤社長が乗り出したのが…

佐善建設・佐藤善之社長:
市道の除雪をやったりしているんですけれども、夜遅い時間からの除雪のために、近所の方にも騒音などで迷惑をかけていると思ったので、地域の方々に貢献できるような店を開きたいと思って、カフェを開きました

建設業だけではという思いが一番だったが、実は佐藤さんは、雄和地区に住民が気軽に歩いて行けるような飲食店が少ないことが気がかりで、一大決心。

そうと決まれば、早速準備に取り掛かる。空き家を活用し、建設会社の技術を生かして、2021年春から工事を始めた。

そして、地元の商工会から飲食店の経営についてノウハウを学び、1月7日に「食堂カフェノルン」のプレオープンを果たした。
カフェの経営を託したのは、妻の芳恵さん。調理は芳恵さんの妹。家族で店を切り盛りしている。

「食堂カフェノルン」を切り盛りする佐藤芳恵さん
「食堂カフェノルン」を切り盛りする佐藤芳恵さん

佐藤芳恵さん:
建設会社とは全然違う業種なので、本当に手探りという感じ。楽しく毎日やれています

佐善建設・佐藤善之社長:
毎日が新鮮ですね。何があるかわからないし、いろいろな方と出会えるというか、いろいろな情報が入ってくるので、毎日ワクワクしています

「事務所だと入りづらかったが…」地域の人と交流増

地元への愛があふれる佐藤さんのこだわりは、店の料理にも。

佐善建設・佐藤善之社長:
(雄和地区に)1人暮らしの方(高齢者)が増えているので、なかなか品数を多く料理することが少ないと聞きました。そこで主菜のほかに、少しずついろいろな種類の副菜を楽しめるようにしています

日替わり定食には、肉と野菜の主菜のほかに小鉢がついている。食材はすべて地元産で、家庭の味をイメージ。プレオープンから約2カ月だが、すでに地域の身近な存在になっている。

日替わり定食(800円)
日替わり定食(800円)

佐善建設・佐藤善之社長:
建設会社の事務所だと入りづらかったらしいのですが、カフェを開いたことで地域の方が顔を出してくれるようになったので、これまで以上に地域の方々と交流できるようになりました。家の片付けや雪寄せの相談を受けることがよくあります

「食堂カフェノルン」の店内
「食堂カフェノルン」の店内

また、店の入り口には、建設会社の技術が生かしたガーデニングの庭や遊歩道が整備され、「建設会社のカフェ」として知ってもらうための工夫もされている。

佐善建設・佐藤善之社長:
春になったら、自分たちで栽培した野菜や近所の方が作った野菜を使って、いろいろな種類の料理を提供していきたいと思っています。地域の方々と一緒になって、雄和を盛り上げていきたいと思っています。雄和が大好きです

(秋田テレビ)

秋田テレビ
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