ロシアによるウクライナ侵攻。「反戦」の声が福岡でも上がっている。

「ウクライナに栄光あれ!」「英雄たちに栄光あれ!」と声を上げる人たち。

「反戦」の声を上げるウクライナ出身の人たち
「反戦」の声を上げるウクライナ出身の人たち
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福岡で暮らすウクライナ出身の人たちやその家族が、「STOP WAR」と書かれたプラカードとウクライナ国旗を掲げ、福岡市の天神の街頭に立った。
SNSによる呼びかけで、市外からも集まった。

参加者:
今、ウクライナで安全な場所なんかないです

(Q.連絡が取れてない方も?)
参加者:

います、いますけど…

参加者:
祈るしかない。祈るしかないよ。どうにかしてください

祖国に残した家族や友人を思い、声を詰まらせていた。

参加者:
何もできない。何かしても何も変わらないの気持ちがいっぱいで。いっぱい人が、子供たちが死んでますから、どうかみんな何とかしてください

一方、北九州市の小倉駅前でもウクライナ侵攻への抗議活動が行われ、市民など約100人が集まった。

抗議活動には市民ら約100人が参加
抗議活動には市民ら約100人が参加

参加者たち:
私たち1人1人の知恵と勇気を、戦争ではなく、平和を築くために使ってください

(Q.路上の呼びかけは初めて?)
20代女性:

初めてです。本当に戦争になるかもしれないと思ったら、毎日怖くて…。インターネットもあるし、今の時代だからこそ、「声」だってちゃんと抑止力になるんじゃないかと思って

ベルギー出身の男性:
ニュースを見て「信じられない」という気持ちを持って、何とかウクライナの人のために応援する姿を見せたい

「母が泣いて…」ふるさとの町も危機に

福岡で暮らすウクライナ出身の女性は、「遠くのことと思わず、この状況に目を向けてほしい」と訴える。
畑瀬オレクサンドラさんは、日本人の夫と福岡市博多区でフィットネスジムを経営している。

「この状況に目を向けて」と訴える畑瀬オレクサンドラさん
「この状況に目を向けて」と訴える畑瀬オレクサンドラさん

畑瀬オレクサンドラさん:
お母さん? 今話せる?

ウクライナ西部、リビウに住む母親と電話がつながった。

畑瀬オレクサンドラさん:
ミサイルを落とされて、兵士がいっぱい死んでるから、話していると苦しくなって、お母さん泣いちゃうんですよ

家族の無事が確認できて安堵したものの、ふるさとの町にも侵攻の危機が迫っている現状を知ったオレクサンドラさん。日本人に、この状況にもっと興味を持ってほしいと話す。

畑瀬オレクサンドラさん:
知らない、どこか遠い国の話じゃなくて、ヨーロッパの中で戦争が現に起きている。とにかく助けてください。世界中で、日本人も人ごとと思わないで興味を持って

願うのは「一刻も早い衝突の終結」

ウクライナ人の平山アンナさんは、日本人と結婚したあと、福岡で子育て中だ。彼女のもとには連日、母国の家族や友人から胸をえぐるような知らせが届く。

平山アンナさん:
逃げるところが、今ないので、ウクライナのどこに行っても危ない。ロシアも行けないし、すごく大変ですよね…心配

福岡で子育て中の平山アンナさん
福岡で子育て中の平山アンナさん

アンナさんのふるさとは、ウクライナ東部のドネツク州。今回の侵攻の前から、ウクライナ政府軍と親ロシア派が戦闘を続けてきた紛争地だ。

今回の侵攻前から紛争があったウクライナ東部のドネツク州
今回の侵攻前から紛争があったウクライナ東部のドネツク州

平山アンナさん:
ちょっと慣れているところもありますけど、さすがにウクライナ全土に(侵攻が)広がるとは思いませんでした

現役を引退した元海軍の兵士が肩を並べる1枚の写真は、アンナさんの祖父が仲間と再会した際に撮影したものだ。

アンナさんの祖父と仲間たちとの写真
アンナさんの祖父と仲間たちとの写真

しかし8年前…

平山アンナさん:
これは、ちょうど8年前の私の実家の近くの田舎の方で、おじいちゃんの家。おじいちゃんが亡くなりました。家が(ミサイルで)やられた

ミサイルにより祖父の自宅が損壊
ミサイルにより祖父の自宅が損壊

祖父は、自宅近くに落ちたミサイルに巻き込まれ命を落とした。

そしてドネツク州では、親ロシア派が2014年に独立国として建国を宣言。
アンナさんと祖国の関わり方も大きく変化した。

平山アンナさん:
8年間ずっと辛い気持ちで生きているから、(祖国の)家族とも8年会っていないし、この小さな子を私の父と母は、まだ1回も見たことがない。生まれて…

家族と8年も会っていないというアンナさん
家族と8年も会っていないというアンナさん

アンナさんが願うのは、一刻も早く両国の衝突が終わること…ただ、それだけだ。

平山アンナさん:
答えが出てこないですよ。私の人生、これからどうなるんですか。今、前が全く見えない状況になっています。私の希望というか、夢というか…。例えば自分の街がロシアになっても、それはもう構いません。ただ戦争が早く、ドネツクも他のウクライナの街も戦争が早く終わるように祈ります

不安な表情を浮かべながら推移を見守っている。

留学生の無事は確認できたが…

一方、太宰府市の日本経済大学。

日本経済大学経済学科・松崎進一講師:
ことしの4月から本学への留学を予定している3人のウクライナの学生の志願書です

日本経済大学は、首都・キエフの国立大学と協定を結び、この春、ウクライナからの留学生3人を受け入れる予定だ。
受け入れ準備を進めてきた松崎先生は、「いたたまれない思いでいる」と語る。

日本経済大学経済学科・松崎進一講師:
(学生の)顔がすぐに思い浮かんで、大変胸が痛みまして、血の涙が出るような思い

留学予定の1人とはSNSでやりとりをし、無事を確認できたという。

日本経済大学経済学科・松崎進一講師:
ルーツクという街に疎開しましたと。街中は緊張感が走っている状況

日本経済大学経済学科・松崎進一講師:
自分ができることが限られる中での、もどかしさというのを非常に強く感じております

福岡から平和な世界に向けてできることは何なのか…。反戦への思いは日増しに広がっている。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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