まん延防止等重点措置の適用から、2月9日で1カ月が経った。濃厚接触者の自宅待機期間を見直すなど、政府は社会機能を維持するために方針を転換させているが、飲食店に対する時短要請は変わらないままだ。社会経済活動と感染の抑止を両立するため、実効性のある対策を峻別していくことも求められている。
まん延防止適用以降、感染状況が改善
玉城 沖縄県知事(1月6日):
政府に対して、まん延防止等重点措置区域指定の要請をしました

オミクロン株による爆発的な感染拡大で適用された、まん延防止等重点措置。重点措置の適用以降、感染状況は改善した。1月中旬に9000人を超えた新規感染者は半数以下にまで減り、入院患者も1月下旬をピークに減少している。

臨床疫学に詳しい群星沖縄臨床研修センター所長の徳田安春医師に聞いた。
群星沖縄臨床研修センター所長 徳田安春医師:
オミクロン株は感染力が強いということですから、人と人との接触が抑えられるとその分、感染拡大を抑えられる。その効果が総合的に出た

重症化するリスクが高い高齢者の感染をいかに防ぐかが課題となる一方、10歳未満から40代の入院率は0.5%~2.2%となっていて、若い世代は軽症や無症状で済むケースが多いことが分かってきた。

濃厚接触者の待機期間短縮も”飲食店の制限”見直されず
感染したり濃厚接触者となったりしたことで、仕事を休まざるを得ない人が急増したことから、政府は社会機能を維持するため、濃厚接触者の待機期間をそれまでの14日間から7日間に短縮するなど、オミクロン株の特性に応じて対策を見直してきた。しかし、飲食店に対する制限は見直されないままだ。

新型コロナウイルス感染症対策分科会 尾身茂会長:
4人くらいとか、いつも行っている人と静かにやって(会食して)。喋る時はマスクをするとか、そういう行動をして頂ければ店を閉める必要は無いと思う。特に感染リスクが高いとわかっている場面での人数制限をみんなで努力していくことも求められるのではないか

飲食に重きを置き続ける政府の対策に不満の声があがり、全国知事会はオミクロン株の特性を踏まえた対策を講じるよう提言した。

全国知事会長 平井 鳥取県知事:
相変わらず飲食店対策だけを、この国のコロナ対策だというムードをつくっている

沖縄県の政策参与を務める高山義浩医師は、感染対策を講じている認証店であれば別のグループへと感染を拡げるリスクは低く、時短営業を求める実効性は高くないと指摘(フェイスブックより)。

徳田医師も飲食店に対し、感染対策の徹底を促すことが重要だという考えを示した。
群星沖縄臨床研修センター所長 徳田安春医師:
飲食店も感染経路のファクターだが、それは一部にすぎない。飲食店だけターゲットにするのではなく包括的に感染対策する、飲食店が換気を十分に行う、換気が出来なければ空気清浄する。こういった対策をきちんとやっているのか、ということをルールとして採用すべき
社会経済活動再開は検査体制の拡充がカギ
第6波の爆発的な感染拡大で起きたのが、検査体制のひっ迫。多くの人が検査を受けたくても受けられない状況となり、大きな混乱を招いた。感染状況が改善する中、徳田医師は社会経済活動の再開に向けて検査体制の拡充がカギになると考えている。

群星沖縄臨床研修センター所長 徳田安春医師:
欧米は日本と比べてかなりの数の感染者を出しているが、社会経済活動をまわすことにシフトしている。なぜできるかというと検査の拡充。「ウィズ検査」と私は呼ぶが、検査を十分に行うことでリスクの高い方々の早期診断、早期治療を行うことができる。検査を拡充することが社会をまわすことにつながる

全国に先行してオミクロン株による第6波の猛威に晒された沖縄。感染を抑止しつつ社会経済活動を再開するために、今回の感染拡大で得た知見や教訓を生かしていくことが必要だ。
(沖縄テレビ)