日本サッカー界の一大イベント、JリーグYBCルヴァンカップ。

リーグ戦、天皇杯と並ぶサッカー国内3大タイトルの一つであり、Jリーグ最強クラブが決まるルヴァンカップFINAL名古屋グランパスvsセレッソ大阪が、10月30日、埼玉スタジアムで2年ぶりに行われる。

選手たちにとってその一戦は、人生のすべてを懸けて挑む、そんな戦いだ。

今回は、その選手たちを指揮する対象的な2人の監督、名古屋グランパスのマッシモ・フィッカデンティ監督と、セレッソ大阪の小菊昭雄監督だ。

名古屋率いるカルチョ出身指揮官

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名古屋グランパスの指揮官、マッシモ・フィッカデンティ(53)。Jリーグ初のイタリア人監督は、セリエA・チェゼーナで監督をしていた際に長友佑都を見出した事でも有名だ。

偉大なる戦術家がひしめくサッカー大国イタリアから、2014年に来日。FC東京の監督に就任すると、サガン鳥栖を経て、2019年から名古屋グランパスを率いている。

日本にやってきた男は、リアリスト(現実主義者)であり、ソリスト(独奏者)。常に妥協を許さないサッカー哲学をカルチョで培ってきた。

「私の監督としての哲学は“徹底した準備”にあります。我々は趣味としてでは無く、プロとしてピッチに立つ必要があります。サッカーで一番大切なことを、時間をかけて教え込んでいます」

フィッカデンティ監督の信頼が厚いDF・中谷進之介は「大体怒っている」と笑いながらも、監督のこだわりを認めている。

「負けた後のミーティングだったり、例えば土曜日に試合をして負けて、日曜日オフで月曜日とかでも、まだ怒っている時とかもあるので。というか大体怒っているので。(笑)
凄く情熱的に、もう本当に勝ち負けに関しては、凄いこだわりを持っている方だなと思います」

やはりカルチョの男は厳格である。しかし異国の文化の中で、「選手は戦術の駒にすぎない」という考えではチームは作れない。

「可変システム」で19試合無失点

堅守速攻が基本のグランパスだが、相手に合わせ徹底的に相手の良さを封じ込める「可変システム」を採用していて、フィッカデンティは試合中に何度もシステムを変更する。

ここで大切になるのは、選手間の信頼関係、つまりチームの輪だ。

DFラインを率いる中谷は言う。

「シーズン序盤はやったことがないようなシステムとかも急にやったりして、難しかったですけど、時間が経っていくうちに『こういう意図で、こういうフォーメーションにしたんだな』というのはすごくわかるようになってきたので、チーム全体として意思疎通ができているかなと思います」

監督の手腕で名古屋グランパスは、今季リーグ戦で19試合無失点を記録し、さながらカテナチオの様相だ。

フィッカデンティはルヴァン杯での勝利を誓う。

「私に付いてきてくれる選手をリスペクトしています。素晴らしい関係を築けてクラブにも選手にも心から感謝しています。タイトルをとったら名古屋はお祭り騒ぎになるでしょうね」

対象的な“兄貴”小菊監督

外国の監督は、ありがとうと選手に伝えるとき、「グラッチェ」や「ダンケ・シェーン」と、急に母国語になることがあるという。
しかし、セレッソ大阪の小菊昭雄監督(46)はそういうタイプではない。

フィッカデンティが選手の父親なら、セレッソ大阪の指揮官・小菊はまさに兄貴だ。

1998年にセレッソのUー15のコーチに就任すると、2005年からは主にトップチームのコーチとして活躍し、24年間に渡って常にクラブと共に歩んできた。
選手としてのトップリーグでの経験はない。しかし、サッカーへの情熱とセレッソへの愛は誰にも負けない。

乾貴士が2008年にセレッソに所属したときも、コーチに小菊がいた。

「自分が初めてセレッソに来た時からコーチとしていてくれていて、ずっとそこから良い時も悪い時もずっと見てもらっていましたし。お兄さんというか、何でも話せる仲なので」

セレッソを愛し、知り尽くした男

今シーズン、開幕から躓き不本意なシーズンを過ごしていたセレッソ大阪は、リーグ戦26節終了時に成績不振を理由にクルピ監督の解任を発表。

そんな混乱の中、白羽の矢が立ったのが小菊だった。日本代表の経験を持つ大久保、乾、清武を擁し、若手の台頭が著しい中、どうチームをまとめ上げるのか。

「『チームが困難なときには、自分がやらないといけない』という思いは、常に持ちながら準備をしていたつもりなので、もうやるしかないと」

セレッソを愛し、セレッソを知り尽くした男は、選手たちからの信頼も厚い。

15年ぶりにチームに復帰した大久保も言う。

「小菊さんがまだコーチの時に『何かタイトルを、カップ戦でも獲りたいね』という話をしていたので、小菊さんが監督になったタイミングで決勝というのはね。本当に運命を感じるなと思いましたね」

今日の試合が、その「カップ戦」を獲るチャンスなのだ。

「自分自身の夢を、そしてクラブの夢を、セレッソファミリーの夢をみんなで勝ち取れるように、選手たちと一緒にその時間を精一杯戦いたいですし、精一杯楽しみたいと思います」

それぞれの想いを持って、決勝の舞台に挑む2人の監督。
彼らは、この戦いが終わった時、選手にどの様なメッセージを贈るのか。

ルヴァンカップFINALでは今年も最も活躍した選手にMVPの副賞として、ヤマザキビスケット社のお菓子1年分が贈られる。こちらの行方も見逃せない。

2021JリーグYBCルヴァンカップ決勝
名古屋グランパスvsセレッソ大阪
10月30日(土) 午後1時〜(フジテレビ系列・全国生中継)
https://www.fujitv.co.jp/sports/soccer/levaincup/index.html