J1自動昇格圏まであと一歩の3位につける清水エスパルス。J2のリーグ戦は残り8試合。“あの場所”へ帰るため、秋葉忠宏 監督は「高度な要求も徐々に具現できるようになってきた」とチームを評価する。

重きを置いた攻撃強化 いざ実りの秋へ

7月以降の12試合で8勝4分と好調が続くエスパルス。

8月度のJ2月間MVPには鈴木義宜 主将が選ばれたほか、月間優秀監督には秋葉忠宏 監督が選出されダブル受賞となった。

この負け知らずの12試合における失点はわずか9、無失点のゲームも4試合を数える。

秋葉監督が唱える「超攻撃的」という言葉に象徴される通り、元々エスパルスは得点力に長けたチームだ。ただ、鈴木義を軸としたディフェンス陣の安定感が、勝ち星を積み上げることに大きく寄与していたことは言うまでもない。

第34節の山形戦ではサイドの崩しからの得点に加え、ショートカウンター、セットプレーとで3点を上げ、攻撃パターンが多様化しているのも強みだ。秋葉監督は「選手の距離感」を大切にして連動・連携した攻撃の強化を図ってきたが、その果実は徐々に実りつつある。

次節は前回2対0で下した金沢戦。現状は3位のエスパルスだが「1年でJ1復帰」という目標に向かって、残り8試合出来るだけ勝ち点を積むという意識は着実にチーム内に浸透している。

月間優秀監督!秋葉 監督インタビュー

清水エスパルス・秋葉忠宏 監督
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督
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-山形戦は快勝だった
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
内容の伴った勝ち方ができたので、あのような試合があと8回出来れば我々は(J1に)上がれると思っている。またいい準備をしたい。

(第33節の)徳島も一緒で、つなぐサッカーをしてくるチーム。もし大きなボールを蹴って来てもCBには高橋がいるし、向こうとしても「やることがない」試合だったと思う。ホームの会場でサポーターが作ってくれる雰囲気も大きい。(久々に先発起用された)岸本が前から前から相手に圧力をかけてくれたし、点まで取ってくれた。チームとしてやりたいことを、交代を含めて選手が表現してくれた。アグレッシブでパワーがみなぎったプレーを見せてくれた。

総合力を問われる中で皆いい準備をして誰が出ても変わらないようになってきていることが一番うれしい。これまで高度なことを要求してきたが、徐々に具現できるようになってきた感じ。先日の日本代表は、うちのミーティングを聞いていたんじゃないか、同じようなことをしていたので。2Bから3Bに変えたり、コンパクトにしてよい距離感を保ったり。そう簡単にピッチで表現できるものではないが、やり続けるからこそ練度が上がるし、連動・連携が高まってくる。簡単に前向きの選手にボールを預けることで、流動性が出てくる。

-後半はカウンター狙いに見えた
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
90分間同じサッカーをやるのは難しい。相手はリスクを負って前にかけてくることはわかっていたし、システムか、やり方か。それに対して「ノーガードの打ち合いはするなよ」と言っていた。

堅くやりながら「裏にできるスペースを狙え」と賢くしたたかに仕留めようと指示していた。好きなことをやるのではなく、相手の嫌がることや勝つ確率が高まることをするのが現代のフットボールだと思う。実際、乾が4点目を入れていたら相手は心が折れていたと思う。ただそれも簡単なことではない。

チームが一番変わっってきたのは敵陣深い場所でつなぐことができたこと。先週の練習でも強調していた。これまで淡白にクロスを上げてきたところもあった。そうではなくグラウンダーでつなぐことができれば、より前に厚みができるし相手を押し込むことができる。実はこれまで我々が一番クロスを上げてきたチームで、そのことに疑問を持っていた。

チアゴ サンタナとオ セフンが同時に入っているとき以外でもそれでいいのかと。低い球で攻めることはやってきたことにより自信が持てるようになると思うし、コーチ陣がコミュニケーション取りつつ、攻撃のいいリレーションができつつある。

-8月のJ2月間優秀監督に選ばれた
清水エスパルス・秋葉忠宏 監督:
いろんなものがかみ合って、選手が結果を出してくれなければもらえない賞。勝たなければ昇格争いもできない。それは選手が最後にピッチで表現してくれている。サポーターもそうだし、マネージャーもそうだし、クラブで世話をしてくれるスタッフもみんなの支援あってもこと。特にこのクラブにしかない支援を受けてのこと。J1に上げなければいけないし、それを求められているので、あと8試合食らいついて義務と責任を果たしたい。

月間MVP!鈴木義 主将インタビュー

清水エスパルス・鈴木義宜 主将
清水エスパルス・鈴木義宜 主将

清水エスパルス・鈴木義宜 主将:
このところは、攻守がかみ合って失点しない状況を長く作ることができている。何より後ろが我慢できている。カウンターなどで上がった選手のところに敵ボールが入ると数的不利を作られるので、そうした状況を作らせないことが大事。もっと守備の精度を上げたい。

点を取った選手に目が行きがちだが、後ろの選手としてMVPに選ばれたのはうれしい。そういう選手もフォーカスされるということを含めて。

岸本のように久しぶりに出た選手が活躍してくれるのはチームにとって大きい。終盤になって、この状況がそうさせているのか結果も出ている。累積警告がたまった選手もいるので、ラスト8試合選手全員で勝てるよう集中したい。

(テレビ静岡 報道部スポーツ班・外岡哲)

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