サッカー・J2で9月6日現在3位につける清水エスパルス。ただ直近2試合は引き分けが続いている。その間、累積警告により出場できず「チームに迷惑をかけた」と話す主軸の乾貴士は次戦に向け闘志を燃やしている。
監督は“楽しむ”ことを強調
サッカー・J2は第32節と第33節で2位のジュビロが黒星・引き分けと足踏みが続く中、是が非でも白星が欲しかったエスパルス。しかし、エスパルスも2試合連続引き分けと、ジュビロの背中を追い越すことはできなかった。
オフが明けた5日。エスパルスの全体練習はわずか40分ほどで終わった。内容は6対6のミニゲーム。前節の先発組も、ベンチ外のメンバーも、キーパーも含めて全員で取り組み、秋葉忠宏 監督は「フットボールを楽しもう!」と強調した。普段以上にプレッシャーがかかるシーズン終盤だからこそ、リラックスすることの重要性を植え付ける狙いがあったのかもしれない。
選手の輪の中で最も大きな声を出していたのが乾だ。直近2試合は累積警告により出場停止。処分が解ける次節・モンテディオ戦に向け「この2試合出られず迷惑をかけた。コンディションはいい。しっかり仕事ができるよう頑張りたい」と意気込んだ。
J1自動昇格圏の2位を目の前にして直近2試合引き分け続きの現況について、ファン心理として「チーム内に独特な緊張感やプレッシャーが生まれているのではないか?」と疑いたくなるのはもっともなことだろう。
ただ、海外経験も豊富な乾は「外から見てチームは悪くない。そんなに悲観することはない」と断言し、「バルセロナにもマンチェスター・シティにも無得点の試合がある」「これをマイナスにとらえすぎると、その方向にドンドンいってしまう。気にする必要ない」と切り替えの重要性を訴える。
その上でホーム・IAIスタジアム日本平の盛り上がりに期待する。思い出されるのは第31節。0対2の劣勢から3点を獲り、首位・町田を撃破した一戦だ。「ホームのアドバンテージはかなり大きいと思う。あの歓声、町田戦で自分はすごく大きく感じた。2位に上がるチャンスを2回逃がし思うところがあるかもしれないが、自分たちはあきらめない。サポーターもあきらめずに応援しに来てほしい」と笑顔を見せながらエスパルスファミリーに呼びかけた。
モンテディオ戦で勝負の行方を左右するポイントについては“先制点”を挙げ、「獲れればだいぶ有利になる。ワンチャンスを決められるかどうかが左右してくる。特に後ろのDFは今、粘り強くやれているので、自分たち前がそれにどう応えられるかということ」と話す。
守備のバランスを保ちつつ、エスパルスらしい積極的な攻撃が先に決まれば、前に出ざるを得ない相手にさらに高速カウンターを浴びせる機会が増える。それは現在のエスパルスが目指す秋葉イズムそのものだ。
リーグ戦は残り9試合。2位・ジュビロとの直接対決も残していて、「チャンスを逃した事実はあるがまだ何も終わっていない。最後にJ1へ上がることを目的にしている。まだ途中経過。大丈夫」と乾が下を向くことはない。エスパルスの攻撃を牽引するベテランの活躍がチーム浮上のカギと言えそうだ。
乾選手 インタビュー全文
この記事の画像(2枚)-モンテディオ戦は3試合ぶりに出場可能となる
乾貴士 選手:
やっと試合に出られるチャンスがあるので、この2試合出られず自分も迷惑かけた。しっかり返せるよう、コンディションも一番いいと思う。しっかり仕事できるよう頑張りたい。
外から見て、チームは別にそんなに悪くない。徳島戦の前半は特に。そんなに悲観することはない。が、やはり勝てないことがすべて。サポーター怒りはわかる。でも終わったこと。仕方ない。次、山形には借りがある。ここでしっかり勝つ。ここから9試合は勝たないと。引き分けは許されない気持ちでやるしかない。勝てるように頑張りたい。
-どんなプレーを見せたいか
乾貴士 選手:
勝つためにやることは変わらない、いつも通り。しっかりボールを回して相手の穴を見つけて攻める。カウンターも含めいろんなことをやらないと。ポイントは先制点。獲れればだいぶ有利になる。相手も勝つしかない状況で、焦って前に出てくる。どっちが先に獲れるかが重要になってくる。
流れ自体は悪くないと思う。だが点を獲れるか獲れないか、勝負はそこで決まる。ワンチャンスを決められるかどうかが左右してくる。特に後ろのDFは今、粘り強くやれているので、自分たち前がそれにどう応えられるかということ。
-前節のエスパルスは無得点だが課題は
乾貴士 選手:
無得点は珍しくない。たまたま今まで獲れていた。ゼロの試合、バルサでもマンチェスター・シティでもある。自分たちはめちゃくちゃ強いわけでない。だからこの順位。強かったら余裕のトップ。ゼロを悲観する理由がわからない。
これをマイナスにとらえすぎると、マイナスの方向にどんどんいく。気にする必要ないと自分は思っている。前の試合たまたま獲れなかっただけ。気にする必要ない。
ホームの雰囲気はかなり大きいと思う。あの歓声、町田戦ですごく感じた、自分は大きいと。2位に上がるチャンスを2回逃し、サポーターも思うところはあると思うが、自分たちはあきらめない。サポーターもあきらめずに応援しに来てほしい。
あと9試合あって、(磐田との)直接対決もあって、チャンスを逃している事実はあるが、まだ何も終わっていない。最後にJ1へ上がることを目的にしている。まだ途中経過。大丈夫。1試合、1試合、みんなで勝つことだけを考える、それしかないと思う。
(テレビ静岡 報道局報道部スポーツ班・外岡哲)