多くのオフィスビルが建ち並ぶ品川区や大田区の一部、さらに伊豆大島や八丈島、小笠原諸島など東京の島嶼部を選挙区に持つ東京3区。4年前の衆議院議員選挙に続き、自民党前職で石原ファミリーの3男、石原宏高氏(57)と、立憲民主党前職で自身を“戦う庶民派”と称する松原仁氏(65)による激しい選挙戦が今年も繰り広げられている。

自民・石原宏高氏 初日から“人気者”の手厚い応援追い風に訴え

衆議院議員選挙が公示された10月19日夜、品川区の大井町駅前のデッキには100人を超える人だかりが出来ていた。その中心にいたのが石原氏だ。

「コロナで緊急事態宣言が毎回出たときに国民とのコミュニケーションが上手くいかなかった」「コロナが起こった当初、日本から中国にマスクを提供した。その後、日本でマスクが足りなくなったがマスクは中国で作られていて、輸入することが出来なかった」

前政権での課題と、多くの国民が経験したマスク不足の話を皮切りに経済安全保障の重要性などについて聴衆の前で訴えた石原氏。そして、ベージュ色のロングコートを身にまとった人物が石原氏のそばに近づいてきた。

「河野太郎さんが来られました。こんなにたくさんの人が河野さんの話を聞きたいと集まってくれました!」

前ワクチン担当大臣で、総裁選に出馬するも敗れ、自民党の広報本部長に就任した河野太郎氏だ。選挙戦初日、激戦が予想される東京3区に石原氏の応援のため駆けつけた。

「私の話はこれで止めます。でもどうかもう一度、国政に送ってください。そして河野太郎を総理大臣にさせてください。そのことを最後に申し上げて挨拶とさせて頂きます!」

石原氏はそう声を張り上げると、足早に演台を降りた。総裁選で石原氏は河野氏支持を当初から明確にした議員の1人だ。河野氏は「石原宏高さんに一生懸命努力を頂いた甲斐もあって東京では党員票で圧勝できた」と石原氏との親密さをアピール。そして「スマホで写真をたくさん撮って頂いて、宏高さんが一番ハンサムに映っている写真をSNSにどんどんあげてください」とユーモアを交えて呼びかけた。

公示日当日から“人気者”の手厚い支援を追い風に5回目の当選を狙う石原氏。一方、その石原氏と過去何度も激戦を繰り返し、直近3回の選挙ではいずれも僅差で苦杯をなめているのが立憲民主党の松原氏だ。

立憲・松原仁氏 “戦う庶民派” 地域に根ざした課題解決訴え支持拡大へ

「羽田航路の固定化回避、現実には出来ていない」

同じ19日の夜、品川区・大崎駅の改札前でマイクを握った松原氏は、“羽田低空飛行問題”から口火を切り、立ち止まった人々は頷きながら耳を傾けた。

陣営は「メインの関心事はいままではコロナだったが、感染者が減っている現状がある中で、今、地域の人が思う争点はどこなのか。空気をしっかりと読み切って発信していく」と話す。“羽田低空飛行問題”というチョイスによって、落下物の不安や騒音に悩む住民の意見を代弁する戦略だ。地域に根ざした意識の共有による草の根的な選挙戦を繰り広げ、票の掘り起こしと支持拡大を目指す。

「私は日本経済の活性化のために消費減税を訴える。財務省は税金を引き上げることで、相撲でいう“金星”をあげたと勘違いしている」

舌鋒鋭く拳を振り上げながら訴える松原氏。前回の選挙の雪辱を果たすため演説にも力がこもる。

共産・香西克介氏出馬で3つ巴の激戦に

一方で、今回の衆院選では多くの選挙区で、野党による候補者の一本化が進んだが、東京3区では野党共闘が成立しなかった。ブログで自身を“共産党のジャイアン”と称する香西克介氏(45)も立候補。公示日以降、香西氏は街頭で連日マイクを握り「リサイタル」と称する街頭演説を行うなど、精力的に活動している。

前回同様、自民・石原氏、立憲・松原氏、共産・香西氏の3つ巴の構図となった東京3区。コロナ・経済・外交、そして地域の課題など各候補者の訴えが開票日まで続いている。

(衆院選2021・東京都)