愛知県から長野・南木曽町に移住し、「ヤギのチーズを作る」という夢を実現させた女性がいる。新型コロナウイルスの影響を受けながらも、ハワイ仕込みの作り方で、濃厚な味わいのチーズを提供している。

原点はハワイ…ヤギミルクでチーズ

ヤギに囲まれているのは、三輪亜希子さん(48)。南木曽町で約40頭のヤギを飼育する牧場主だ。

牧場を経営する三輪亜希子さん
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三輪亜希子さん:
(ヤギは)人懐っこいですよ。それで興味持ったってのもある

三輪さんは、新鮮なヤギのミルクでさまざまな種類のチーズを作っている。

三輪さんは、2019年に自身の牧場「MAUKA LANI GOAT FARM(マウカ・ラニ・ゴート・ファーム)」をオープンさせた。「マウカ・ラニ」は、ハワイ語で「山にある天国」という意味だ。

三輪さんのヤギチーズの原点は、ハワイにある。

三輪さんは名古屋市の出身。子どものころから動物好きで、市内の外国語専門学校で働いたあと、畜産を学ぼうと35歳でハワイ大学の農学部に入学した。

三輪亜希子さん:
大学の農場にヤギがいて、同時期にヤギのチーズを食べた。すごくおいしくて、ヤギの持ってる可能性を面白いと思って、いろいろ勉強するようになった

卒業後もインターンとして、現地のヤギ牧場へ。そこでチーズ作りを学んだ。

三輪亜希子さん:
メインはヤギの世話だったけど、時間のある時にチーズ工房に入って、ボスのチーズ作りを見学したり、いろいろ教えてもらっているうちに、自分でもやってみることができたらいいなと思って

ハワイでチーズ作りを学んだ三輪さん

移住した長野で牧場をオープン

帰国後しばらくしてから、夢の実現に近づく信州との縁ができた。

三輪亜希子さん:
ハワイから帰ってきて、自然が豊かなところが恋しくなって。友達に話をしたら、友達が遊休農地を借りて南木曽で畑のサークルをしていた。時々、遊びにくるようになって、妻籠宿や地元の農家を訪ねたり、みんなで畑作業をすることから入った

三輪さんは、友人に紹介された南木曽町が気に入り、2016年に町の地域おこし協力隊員として移住。将来を見据え、ヤギ3頭を飼い始めた。
その後、チーズ作りの腕を磨き、両親や地主の協力で2019年に念願の牧場をオープンさせた。

三輪亜希子さん:
住んでみると、みんながすごく温かくて、支えてもらったり協力していただいたので、本当に南木曽を選んでよかったなと思う

牧場の敷地は約4500坪で、ヤギたちは伸び伸びと日中を過ごしている。

三輪さんが世話をしているヤギたち

濃厚でなめらか…自慢のチーズ

乳しぼりは、朝夕の2回行う。

三輪亜希子さん:
ヤギのミルクは、すぐに冷やさないと余計なにおいが出やすくなってしまうので、すぐに冷やすことが大事。そこから先は、チーズの仕込みまでは「企業秘密」

「企業秘密」の低温滅菌や、酵素・乳酸菌を入れる作業を経たもの。

水分を切って、短いものは発酵させて1日で完成する。

一番人気のフレッシュチーズ「シェーブルナチュラル(130g 税込み1,020円)」をいただいた。

一番人気の「シェーブルナチュラル」

長野放送・吉川幹人記者:
とても濃厚です。口当たりはなめらかで、ほのかな酸味もあり、クセは全くないです

一方、白カビタイプなどは、長いもので2カ月以上熟成させる。

三輪亜希子さん:
すごく作るのに手間がかかる。毎日様子を見て、熟成ものだと、カビの生え具合とか様子を見て手を加えていかないといけなくて。でき上がった時に食べてみておいしいと、すごくうれしい。それがすごく楽しくて

現在、商品化している三輪さん自慢のチーズは、11種類にのぼる。

自慢のチーズは11種類

「ヤギチーズで町の名を広めたい」

しかし、新型コロナの影響は三輪さんの牧場にも及んでいる。

三輪亜希子さん:
通常なら(チーズが)いっぱい入ってる。寂しいですね

新型コロナの影響でケースの中は空っぽ…

感染拡大を受けて2021年5月から、牧場の開放やショップの営業を休止している。
チーズの販売は、オンラインショップや都内のアンテナショップ「銀座NAGANO」などに限られている。

提供:銀座NAGANO

三輪亜希子さん:
通常でしたらショップもオープンするので、そこでチーズをたくさん販売することができる。今はそれができないので、販売面で厳しいし…(本来なら)絶えず誰かは来てくださるので、チーズやヤギのお話しをしたり、それがモチベーションアップにつながったりしますから…

移住で実現したヤギチーズの販売。新型コロナの影響で苦しい状況が続くが、三輪さんは前向きだ。
感染が落ち着いたら再び牧場を開放し、ヤギチーズで南木曽町の名を広めたいと考えている。

三輪亜希子さん:
安心してお客さまに来ていただいて、もっとチーズをたくさんの方に食べていただきたい。(南木曽町は)どんどん過疎地域で衰退していくのが寂しい。少しでもチーズを通して、南木曽の名前を知っていただけたらうれしい

(長野放送)