客「スーパーで買えなくなっちゃった」…市場から仕入れた魚を値打ちに販売する居酒屋

この記事の画像(19枚)

愛知・刈谷市にある海鮮居酒屋はコロナ禍の2020年4月、SNSを使った鮮魚の予約販売を開始した。

市場から直接仕入れたカツオや甘エビ、金目鯛に、ハマグリなど。下処理がされた様々な海の幸は新鮮でお値打ちと人気だ。

愛知・刈谷市にある居酒屋「上々」。店内には魚のパックがたくさん販売されていた。2020年4月から一般向けに魚の販売を続けている。

男性客A:
安いと思いますよ、お刺身3~4人前で1500円とか

女性客A:
質もすごくいいしね。他のスーパーさんとかでは買えなくなっちゃったよね

女性客B:
すごいお値打ち、ここしかない

新鮮でお値打ちと好評だ。

市場で仕入れた魚をその場でSNSにアップ…新鮮な魚を予約販売

午前5時。名古屋市中央卸売市場に仕入れ担当の山口貴之さんの姿があった。仕入れを終えた山口さんは、スマートフォンで購入したカツオや甘エビ、金目鯛、ハマグリの撮影を始めた。

インスタグラムで魚を販売しているのだ。その日に売りに出す魚の写真をコメントと共に投稿。客はそれを見て事前に注文する仕組みだ。撮影の仕方にもこだわりがある。

山口さん:
なるべく動画で撮って臨場感を出して。あと、触っているほうがサイズ感だったりがわかるので…

動画だと市場の雰囲気も伝わり、ついつい注文したくなる。注文を受けた分は販売、残りは店で料理し、残すことなく活用する。始めた当初は、これほど反響があるとは思っていなかったという。

山口さん:
お試しで(SNSに)上げたら、いきなり(注文の)電話かかってきて。そこからあれよあれよと1年経っちゃった

コスパが良くてボリュームも…一番人気は20食限定の海鮮丼ランチ

午前7時半。東海市にあるグループの店舗へ移動。ここで魚をまとめて下処理を行う。鱗や内臓の処理は刺身や焼き魚用に切り分ける。

魚の処理を終えると、向かったのは刈谷市の店舗。午前11時半にランチタイムが始まりる。中でも一番人気が「海鮮丼」(1300円 20食限定)だ。

女性客C:
コスパが良くて、すごくボリュームがあったのでおいしかったです

男性客B:
かなり鮮度が良くて、ボリュームもあって。この辺だったら一番おいしい

11種類の刺身と丼めしのセット。内容は日替わりで、この日はキンメダイに、タイ、ホタルイカがあった。

「いいものをお値打ちに」…仕入れた魚は全て売り切るのが安さの秘密

午後1時半、販売用の魚を店舗へ。脂が乗っていて刺身にすると美味しいという金目鯛は湯引きされ、お客さんがすぐに食べられる状態にする。この日、通常2500円ほどはする半身を1500円で販売していた。

酒蒸しで食べるのがオススメという大粒のハマグリ(1個150円)も綺麗に洗ってあった。ハマグリと言えば高級食材だけに、この値段は驚きだ。また国産ウニが2400円に、生しらすが1パック320円と、どれもお値打ちだ。

午後2時。魚の受け渡しが始まる。

女性客D:
全然違いますね、新鮮なので。いつもスーパーよりもここのお魚をほとんど使っています

女性客E:
マグロとホタルイカですね。ここのホタルイカを食べたら、スーパーの食べられなくなっちゃって

「いいものをお値打ちに」。巣ごもり需要が続く中、人気の理由だ。

安く販売できる理由は、仕入れた魚は全て売り切るからという。在庫を保管する大型の冷蔵庫などの設備が不要で、店のスタッフが接客にあたるため、新たに人件費が増えることもない。こうした仕組みでお値打ち価格を実現していた。

市場の人たちの助けになれば…2020年4月に魚の販売を開始

緊急事態宣言が出て、客が全く来なくなった2020年4月。魚の販売を始めたのにはある思いがあった。

山口さん:
お魚が市場にいっぱい余っている。何とかしたいのもあって…。仲買さんたちも売れずに困っていた

コロナ禍で特に飲食店向けに仕事をする仲買人が苦労する姿を見て、「助けになれば…」と魚の販売を思いついた。

山口さん:
おかげさまで、色々(仲卸さんに)言われながらも、可愛がってもらっているので、それは良かったですね

当初は刈谷店のみの販売だったが、客からの要望で、現在は東海市の店舗でも始めた。1人でも多くの人に利用してもらうために、週末限定で予約なしでも買えるテントでの販売も始めた。

LINEを使った新たなサービスも開始…調理方法などの相談も

LINEを使った新たなサービスも始めた。

山口さん:
どうやって食べたらいいとか、このアサリ砂抜きした方がいいですか?とか、そういう話ですね

LINEで友だち登録をすると、気軽に調理方法などの相談に乗ってくれる。山口さんは「毎日楽しく見ています」「晩飯考えるのが楽しくなりました」など、客とのやり取りが励みになっているという。こうしたコミュニケーションも人気の理由だ。

山口さんは、「厳しい状況が続いているからこそ、市場の人たちと協力して楽しくやっていきたい」と話す。コロナ禍で新鮮な魚が評判の町の飲食店が多くの人の食卓を支えていた。

(東海テレビ)