「S-PARK」の野球解説者たちが、気になった選手やMVPを独断と偏見で選ぶ「MONDAY BASEBALL」。気になる選手の裏話や“スゴい”ポイントも合わせて紹介する。
この記事の画像(8枚)今回は野村弘樹さんが、先日発表された東京五輪代表メンバーを徹底解説。野村さんが注目する選手とチームを見た印象について語った。
絶好調の山本由伸をどこで使うか
いよいよ間近に迫った東京五輪。稲葉篤紀監督が「金メダルを取れるメンバーを選んだ」とした24人の侍ジャパンは、初選出が6人、2019年のプレミア12優勝メンバーからは14人が選出された。
「正直現時点で状態が良くない選手も含めてメンバーに入っているケースもあるじゃないですか。その中で経験のない若い選手から、経験のある選手を含めて、稲葉監督も結構難しかったんじゃないかなという印象ですね」
選出されたメンバーについて、こう話し始めた野村さん。
キーマンとなる選手については「流動的な気がします」としつつ、その中でもある選手に注目した。
「山本由伸(オリックス)だと思います。彼を先発で使うのかリリーフで使うのか。ただ平良海馬(西武)も入っているし、山﨑康晃(横浜)も栗林良吏(広島)もいるでしょう。3人ともセットアッパー・抑えのスペシャリストだから、そこに山本を入れるとなるとリリーフ投手が多すぎるんですよね。
とはいえ、先発させても完投はなかなか考えにくいので、ブルペン陣も分厚くしたほうが良いと考えるんであれば、リリーフ起用も考えられるし、そこを稲葉監督がどう考えているかですね」
パ・リーグで防御率・勝利数でトップを走る絶好調の山本(6月21日現在)を、稲葉監督がどう使うかに注目が集まる。
エースたちの復調で変わる投手陣
一方で今回、不調に苦しむメンバーも選出されている。
「菅野智之(巨人)が心配なんですよね。現状(コンディションの不調もあり)外れているでしょう。そのままオリンピックに向けて調整させていくのかですよね」
開幕から続くコンディション不良を抜け出せず、侍ジャパン発表の直後に出場選手登録抹消となった菅野。さらに4月に左足首の靭帯を損傷した千賀滉大(ソフトバンク)の選出の可能性(辞退者が出た場合)についても言及した。
その千賀は6月17日に実戦復帰し、最速158キロを投げ復調をアピール。
「千賀の調子が上がってきている。もしかしたら千賀もどこかで先発の可能性があると思うんです。そうなったときに千賀も若干故障上がりで不安なところがあるので、長いイニングが無いとなると、間違いなく山本投手は先発になると思うんです。
そういったところで投手陣は流動的かなというイメージは持っています」
また、野村さんは阪神・青柳晃洋についても活躍を期待する。
「もう一つ楽しみなのが青柳。海外にいないタイプなので、どれくらいやってくれるのか楽しみなんです。やってくれそうな気がするんですよね。
ちょっとクロス気味に手が出てきて、テークバックが小さくてピュッと球が出てくるタイプのピッチャーで、小さい変化も持っている。今、日本人選手もあまり打てていないし、多分外国人選手の目線・タイミングを変えるという意味では、青柳にピッチングがポイントになる気がするんですよね」
東京で開催する五輪の重み
ここまで話したところで少し反省の色を見せた野村さん。
「こうやって考えるのって楽しいんだよね。選手は『ほっといてくれ』って思ってるんだろうけど。俺は勝手なこと言ってるよね」としつつ、稲葉監督に降りかかるプレッシャーについて次のように語った。
「稲葉監督始め、皆頭を悩ませてメンバー選んで、オリンピックで故障させるわけには行かないという責任感もあるわけじゃない。リーグ後半戦もあるんだし。
そんな中でも、東京で行われるオリンピックなので、金メダルを取らないといけない。第三者は勝手なこと言ってるよね。選手たちには申し訳ないけれど、彼らに対する期待と、楽しみなんですよね。どういう野球をやってくれるのかという期待感も含めて」
チーム全体については「いいチーム」と繰り返した。
「いいチームだと思うんですよね。田中将大(楽天)が戻ってくることも去年だったらなかったかもしれないし、海外の選手を一番見ている選手なので、初めて代表を経験する選手に取っては非常に大きなアドバイスを貰えるだろうから、それが安心感にもつながると思う。
坂本勇人(巨人)もかなり経験があるので、野手陣をまとめてくれるだろう。非常にいいチームだな、いいチームになりそうだなという雰囲気をもったメンバーだと思いますね」
侍ジャパンが東京オリンピックで躍動する姿に期待したい。
(ディレクター・大山琢也)