「S-PARK」の野球解説者たちが、気になった選手やMVPを独断と偏見で選ぶ「MONDAY BASEBALL」。気になる選手の裏話や“スゴい”ポイントも合わせて紹介する。

野球解説者・立浪和義さんが選んだMVPはヤクルト・山田哲人選手。選んだ理由や山田選手の“スゴい”ところを解説する。

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「ふところ」がスゴい!

現在好調の山田選手を選んだ理由を、「ホームランを量産というか、ここのところよく出ています。元々力のある選手ですが、昨年あたりは少し調子が悪くて、状態が良い時と比べると長打も出なかったんですけど、いま凄く良いですよね。1試合2本というのもありました」と話した立浪さん。

中でも山田選手の“スゴい”ところは「ふところ」だという。

「自分はよく“ふところ”と言うんですけど、大谷(翔平)選手もよく言いますが、ふところが深い。インサイドがすごく強い。インサイドを打てるべくして打てている」

山田選手がトリプル3を達成したシーズンは、2015年84%、2016年79%、2018年65%がレフト方向のホームランだった。今シーズンも8本中6本がレフト方向のホームランであるため、レフトへの打球が多い印象を受ける。

そんな山田選手のスゴいポイントは「ふところの深さ」「トップの位置が変わらない」「体の回転でバットを出せるところ」だと続ける。

「インコースを打つのが上手い人は体の近くにバットを通せる。そのためにはトップの位置がすごく大事です。
インサイドが強いバッターに共通することは、最終的に自分がボールを打ちに行ったとき、ふところの下のスペースがある人は、そのまま下半身を回したら必ずバットが体の近くを通るし、もしくはもっと厳しいインサイドを上手く肘を抜きながら打てる。

山田選手は初めから大きくふところを作って、そこから手が背中側に入らないんです。そのままの状態でトップに入るので、インサイドを狙ってなくても体の回転でバットが体の近くを通る、というところが山田選手のスゴいところ。

もう一つ言うならば、足を上げてトップを作った位置でボールを待てている。
どんな良いバッターでも悪い時は、軸足に体重が乗っている時間が短くて、どうしても体がボールに寄っていってしまってステップが広くなる。

今は軸足で待てて、ステップが狭い中、軸で回転できている。ボールを追いかけたり、ステップが広くなると、軸で回転できないので、長打が出にくくなると思います。そのあたりがクリアにできているので、ホームランが増えているのかなと思います」

ホームランを期待できる見方

山田選手がホームランを打ちそうかどうか見極める方法はあるのだろうか。

「ホームランを打つ時って不思議とホームランが続きますよね。ピッチャーが警戒すればするほど、ホームランゾーンにボールが来るというか、吸い込まれるような。

本当に状態が良いときは、テレビの画面で見たら構えがカッコいいでしょ、ふところ深く構えて。パッと足を上げた時にボールをジーッと待てている時は、ホームランを期待していいんじゃないかなと。
逆に早く足が着いてしまったり、ボールに寄って行くときはホームランは期待できないのかな」

そのタイミングは打席の初球や二球目ではなく「見送り方」だという。

「見送ったときに自分たちはピッチャーとの間合いが合っているのか。そのピッチャーに対して、タイミングが合っているのかということを、投げているピッチャーが一番わかると思うので。
投げたときにトップ位置でクッと待たれると怖いと思うんですけど、ボールが来る前にパッと足が早く着いているときは間が合っていないなと。打たれるときは打たれそうな雰囲気をピッチャーが一番わかるんじゃないかと思います」

今シーズン期待が高まる山田選手。打席に立った山田選手が「ホームランを打つかもしれない」と予想しながら試合を観戦するのも一つの楽しみかもしれない。

(ディレクター・渡辺 大地)