「S-PARK」の野球解説者たちが、気になった選手やMVPを独断と偏見で選ぶ「MONDAY BASEBALL」。気になる選手の裏話や“スゴい”ポイントも合わせて紹介する。

今回は「野球初心者でもわかる解説」をテーマに、野球解説者の野村弘樹さんが注目の左投手について語った。

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シーチキンには“深い”思い出が

名門PL学園でエースで4番を任され、春夏連覇を果たした野村さん。90年代の大洋ホエールズ・横浜ベイスターズを代表するエース左腕だが、トラウマにより「シーチキン」が食べられないという。

PL学園時代、1年生は朝でも白米とみそ汁と生卵1つだけで、食べたいものも食べられない中、「先輩たちはシーチキンにマヨネーズかけたり、ハンバーグとかミートボールを食べたりして、1年生の頃は一切それが食べられなかった」と先輩たちの食事が羨ましかったと明かす。

初めて実家に帰省したときに母親から「何が食べたい?」と聞かれ「腹いっぱいシーチキンにマヨネーズかけて食べたい」と言ったという野村さん。

「肉とか寿司とか食べたいってのを期待したんだろうね。さすがにおかんも涙ぐんでた。食べられるけど、食べると思い出すから食べない」と、今でもシーチキンがトラウマで食べられないそうだ。

プロになって“大人”になったルーキーたち

そんな野村さんが今シーズン気になる投手は、東北楽天ゴールデンイーグルス・早川隆久、オリックス・バファローズ・宮城大弥、千葉ロッテマリーンズ・鈴木昭汰の3人。

「左ピッチャーは今年、楽しみな投手が多い。ちょっとずつタイプは違うけど、個性があって。左ピッチャーは独特な感覚を持っている選手が多いので、この3人は楽しみだなと思いますね」

リーグ単独トップで6勝目(5月24日現在)を挙げている早川。ルーキーでなぜこんなに勝てているのは「ストレートが速いこと」「右バッターへのインコースの精度」「外に沈むボール」がポイントだと解説する。

「まずストレートが速い。右バッターに対してインコースの角度と精度が非常に良い。さらにバッターに食い込むようなカットボールが、右バッターからするとやっかい。さらに外にも沈むボールが投げられるので、インもアウトもケアするのはバッターは大変。甘くなって打たれることもあるんですけど、そのコントロールが非常に良いピッチャーだからこれだけ勝てている。

(早川は)あまり球種が多いピッチャーではないけど、(ボールを)取ってすぐパッパッと投げたほうが相手も考える時間が少ないから、それで守りのリズムも良くなるし、自分のテンポも上がる。
ピッチャーは同じ動作で同じボールを投げ続けなきゃいけないので、間が変わるとフォームもズレやすくなる。テンポの良いピッチャーが良い結果が出る傾向がある」

早川は今シーズン15勝する?

早川がいる楽天は、現在福岡ソフトバンクホークスと1位争いを続けている。

2月の放送で野村さんは今年、日本一に輝くチームを「楽天」と予想。

田中将大と早川にケガがなければ今シーズン2人合わせて25勝と見積もった野村さんに、早川のみの成績を聞くと「15勝くらいきそう」と予想。

「(2桁いったら)すごい。ラッキーなのは、オリンピック期間中試合が無いのが大きい。1年通して疲れが出る夏にスパンが空くことでコンディションを整えられる。夏以降はぐっといけるから順調に行ったら(早川は)15勝。交流戦で2勝したら8勝なので、それはいくよ。ただ何が起こるかわからないから、予想なんて当たらない方が面白いの!」

野村さんの予想が当たるのか、当たらないのか。早川の今シーズンの活躍と共にその結果を期待したい。

(ディレクター・川ノ上詩奈