「S-PARK」の野球解説者たちが、気になった選手やMVPを独断と偏見で選ぶ「MONDAY BASEBALL」。気になる選手の裏話や“スゴい”ポイントも合わせて紹介する。

野球解説者・谷繁元信さんが選んだMVPは千葉ロッテマリーンズ・佐々木朗希選手。選んだ理由や1軍初登板で見せた投球を解説する。

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佐々木が持つポテンシャルの高さ

5月16日埼玉西武ライオンズ戦で、5回6安打4失点で勝ち投手の権利を得て、プロ初登板を終えた令和の怪物・佐々木朗希。最速154キロのストレートと落差のあるフォークで、5奪三振を記録した。

「まず最初マウンドに上ってきて、第一球でいい球投げるなと思ったら、打ち返されたじゃないですか。打ったバッターに『もうちょっと考えろよ』と正直思ったんですよ。『おいおい、佐々木朗希のデビューのボールを打つ?』みたいなね」

そんな谷繁さんの冗談から始まったインタビュー。

NPB歴代最多となる3021試合出場を記録し、野村克也・古田敦也・阿部慎之助と共に、捕手で4人しかいないという2000本安打(捕手のみでの記録は谷繁・古田のみ)も達成。

ベストナイン1回、ゴールデングラブ賞6回を獲得し、2014年〜16年にかけて選手兼任監督として、数多くのピッチャーを目にしてきた谷繁さん。

その目に佐々木の初登板は、どう映ったのだろうか。

「全力で投げていないのにボールは早いなというふうに感じて。ポテンシャルの高さというのは初回から感じましたね。
盗塁されて、ヒットで繋がれて、ピンチになったじゃないですか。そしてランナー1塁3塁になったところで、山川穂高をフォークで三振に取ったったんですけど、それまでほぼストレートだったんですよ」

1番若林楽人、2番源田壮亮、3番森友哉に対して、ストレートとフォークしか投げていなかったという佐々木。

「山川に初めてカット気味のスライダーを投げたときに、『これもいい球だな』と感じて、最終的には初回ゼロに抑えて」

落ち着いた投球と、ロッテの佐々木成長戦略

「凄く落ち着いているように見えましたね。『初登板なのかな?』っていうくらい落ち着いたように思いましたね」

谷繁さんも驚いたという初登板らしからぬ落ち着き。これにはロッテの長期に渡る佐々木の育成計画も影響を与えたようだ。

「井口監督を始め吉井投手コーチが1年半に渡って計画を立てていて、この日登板させるというのは決めていたらしいですね。この日に向けて、ずっとスケジュールを組んでやったんだと思います。

正直我々としては、『もっと早く見たいな』という思いはあったんですけど、この日の姿を見ると、体もやっぱり一回り大きくなったように感じましたし、最終的に107球投げたんですけど、最後もバテている印象を感じなかったので、投げるスタミナもついてきたんだなと」

初登板の姿を見て、チームの考えたスケジュールの完成度の高さを認識したという。

佐々木の将来については、「期待できるというか、楽しみでしょうがないですよね。どこまで成長していくんだろうかな。“目指せ大谷、追い抜け大谷”じゃないですか?」と太鼓判を押した。

谷繁が分析する阪神強さの秘密

佐々木がいるパ・リーグでは、楽天イーグルスと福岡ソフトバンクホークスが1位争いを続けているが、セ・リーグでは阪神タイガースが早くも独走体制を見せている。

谷繁さんは2月の放送で、今年のセ・リーグ1位どころか、日本一に輝くチームを阪神と予想していた。

「今年で解説者になって5年目なんです。順位予想って正直あまり当てる気はないんですね。でも今年は真剣に当てにいこうと思っていて、それで阪神を押したんです」

その理由については、やはり活躍を見せる佐藤輝明の名前を挙げた。

「ここ2〜3年の阪神の選手たちの成長ぶりを考えたときに、そろそろ阪神が来るなと。さらにそこに佐藤が入ってくるというプラスαがあったので、さらに阪神の勢いを凄く感じて」

野球界で数々の実績をあげ、さらにNPBで一番最初に登場曲を流し始めたという逸話を持つ谷繁さん。開幕前に予想した“阪神日本一”が当たるかどうか、今シーズン終了まで期待したい。

(ディレクター・野﨑 舞夏星)

※誤字を訂正しました