リーマン・ショック期超える下落幅

新型コロナの感染拡大が続くなか、日本経済の落ち込みが鮮明になった。

内閣府がけさ発表した昨年度2020年度のGDP=国内総生産は、物価変動の影響を除いた実質で、前の年度と比べた伸び率がマイナス4.6%に沈み込んだ。

下落幅はリーマン・ショックが起きた2008年度のマイナス3.6%を超え、「戦後最悪」を記録した。

1月ー3月は3四半期ぶりのマイナス

また、同時に発表された2021年1月から3月のGDPの速報値は、実質で、前の3カ月と比べ、マイナス1.3%だった。このペースが1年間続くと仮定した年率換算ではマイナス5.1%で、3四半期ぶりのマイナス成長に落ち込んだ。

GDPは、一定期間内に、国内で新たに生み出されたモノやサービスの付加価値の合計額を指し、前の期間からどれだけ増えたり減ったりしたかで、景気の勢いが推し量れる。

1月から3月は、政府が東京都などに2回目の緊急事態宣言を発令した時期にあたる。

外食や宿泊などのサービス消費が深刻な打撃を受けるなか、GDPの半分以上を占める「個人消費」が、前期比マイナス1.4%と、GDP全体を押し下げた。

巣ごもり傾向で、家電製品など耐久消費財の需要は増えたものの、消費全体の減少を補うには程遠かったといえる。企業の「設備投資」もマイナス1.4%だったほか、景気の持ち直しをけん引してきた「輸出」もプラス2.3%となり、プラス11.7%だった前期と比べると伸びは大幅に鈍化した。

接種進むアメリカはGDPが急回復

各国では、日本に先んじて、1月から3月のGDPが公表されているが、感染拡大の状況などで、景気の回復ペースには差が出ている。景気の改善傾向が顕著なのはアメリカだ。

前期比・年率でプラス6.4%と、3期連続で改善し、感染拡大前に迫る水準にまで回復した。

ワクチン接種の広がりや大型の経済対策を背景に、個人消費がプラス10.7%と伸びを加速させたほか、住宅投資や設備投資も大きな伸長を見せた。

感染を早期に抑え込んだとしている中国では、前の3カ月と比べプラス0.6%となった。日本の内閣府が算出した年率換算では、プラス2.4%だ。

企業の生産活動の拡大が続き、電子機器を中心に輸出も好調だった。

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「ロックダウン」のヨーロッパはマイナス成長

一方、ヨーロッパは、2期連続のマイナス成長だ。

EU=ヨーロッパ連合が発表したユーロ圏の1月から3月の実質域内GDPは、前期比・年率でマイナス2.5%で、国別では、ドイツがマイナス6.6%、イタリアがマイナス1.6%だった。

変異ウイルスが広がって感染拡大の影響が深刻化するなか、経済活動や外出を厳しく制限する措置がとられたことが響いた。

イギリスも前期比・年率マイナス5.9%に落ち込んでいて、行動規制の強化などが個人消費の停滞を招いた形だ。

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カギ握るワクチン接種の進捗

日欧・米中で明暗を分けた形となったが、この先の景気動向のカギを握るのは、経済活動の正常化とワクチン接種の進捗だ。

1月から3月の伸び率が感染拡大前に迫る水準にまで回復したアメリカは、ワクチン接種が進展して経済活動が戻ってきていることに加えて、現金給付など巨額の財政出動の効果が消費などにあらわれつつある。

国内景気の先行きは予断を許さない

日本では3回目の緊急事態宣言が延長され、対象地域も拡大された。

今月末の期限で解除できるのか、懐疑的な見方も広がるなか、外食や買い物など個人消費の消失が深刻化し、続く4月から6月の成長率もマイナスに陥る可能性が指摘されている。

高齢者へのワクチン接種が本格化し、菅首相は7月末までに高齢者への接種を終えたいとしているが、医療従事者の確保など課題も依然残る。

日本景気の先行きは予断を許さない。

【執筆:フジテレビ 解説委員 智田裕一】