先週も大活躍の一週間だったエンゼルス・大谷翔平。
現地時間11日(日本時間12日)には今シーズン3度目のリアル二刀流で先発すると、7回10個の三振の内、6つをスプリットで取る。相手バッターを今、最も苦しめている“魔球”スプリットが非常に冴えたピッチングを見せた。
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そんな大谷をサポートするのは「ベテラン捕手」と「カラーボール」。大谷の“魔球”の凄さと、それを支えるトレーニングに迫った。
この記事の画像(8枚)大谷のスプリットは予測不可能!
「翔平は静かでおとなしい男です。でも一度彼を殻から出すと、本当に面白い人間にあるんですよ」
そう語るのは大谷とバッテリーを組む、ベテランキャッチャーの日系アメリカ人・カートスズキだ。
そして大谷のスプリットについて、「彼のスプリットを捕るのは非常に難しい。打つのも捕るのも」と驚く。
一般的にスプリットは、縦に急激に落ちるフォークと似た球種で、フォークよりも落差は小さく、スピードが速いと言われている。
しかし大谷のスプリットは、落ちる以外にも、左右どちらかに曲がったり、真っ直ぐになったり、多彩な変化を見せるため、相棒でさえも“予測不可能”だという。
カートスズキは「相手は我々がスプリットを投げることを知っていると思います。が、それでも打てません。だから凄いんです」と絶賛した。
その“凄い”スプリットは、今季40奪三振の内、28三振と冴え渡っている。
重さの違うボールを投げることで投球の質をUP
チーム唯一の全試合出場を続けながら、全米を驚かせている大谷。そんな過密日程の中でも試合前に必ず投げているのが「カラーボール」だ。
これは大谷がオフシーズンに通った、ワシントン州シアトルにあるトレーニング施設「ドライブラインベースボール」で開発されたもの。ハイテク機器で能力を数値化するトレーニング施設でもあり、大谷をはじめ、年間約500人が来場している。
2キロ、1キロ、450グラム、225グラム、150グラム、100グラムと重さの違う6種類のボールがあり、約142グラムのMLB公式球よりも重いボールが大半を占める。
大谷は練習の際、背後のフェンスに向かって2キロのボールを投げ、次に1キロのボール、その後フェンスと向かい合って450グラム、225グラムと徐々に軽いボールへと交換して投げていく。
「ドライブラインベースボール」でトレーニング機器の研究開発を行う研究開発ディレクターのジョセフ・マーシュさん。
重いボールを投げた後に軽いボールを投げることで生まれる効果について、「公式球ではごまかされてしまいますが、重いボールを投げると、最も効率的に腕が振れるようになります。逆に軽いボールは腕と体を速く動かせるので、より強く投げられます」と明かす。
重いボールで無駄をなくし、軽いボールで力強く腕を振る。この2つの要素を組み合わせることでさまざまな効果が生まれるというのだ。
メジャー1年目と比べると、今シーズンの大谷はボールの回転数が2164回転から2385回転と、10%近くアップ。バッターの手元で浮き上がるようなボールを投げている。
「年間を通して自分が思い通りに動くような体調管理とメカニック練習が必要かなと思うので、必ず好調・不調があると思いますけど、なるべくその差を少なくしたいと思います」
こう締めくくった大谷。ベテラン捕手とカラーボール、この2つの存在が活躍を後押ししていた。