絵本を介して話すことで、思いのほか話が弾んで、気が晴れたりとか、やる気が出た、といったことも起こります。
絵本には、「こう読まなければならない」という唯一の答えがありません。だからこそ、同じページを見ていても、「どこが気になったか」「どう感じたか」は人それぞれ異なります。
その違いを安心できる相手と柔軟にやり取りし、相手の受け取り方を聞き合うことは、価値観や感性の違いを前提にした対話の経験になります。
そのプロセスでは、絵本のわくわくする物語や美しい絵や詳しい図などをはさんで、違う価値観や感性や表現を伝え合うコミュニケーションも生まれます。
子どもは大人の様子からも多くを学びます。「できた」「わかった」「伝わった」を信頼できる大人と分かち合うことから、自分の中に新しい意味を育んでいきます。
絵本対話で芽生える心の交流や気持ちの理解、自信や安心の芽生えは、周囲への思いやりや、家族や仲間との共感、読書やアートへの興味へと成長して、人生の土台となっていくかもしれません。
このような心の力や社会的発達もかけがえのないものです。
安田莉子
2023年8月に株式会社YOMYを創業。子どもたちが自分の「好き」を自由に語り、自分らしく考え、未来を選択できる力を育むことを目指し、絵本と対話を組み合わせたオンラインスクール「YOMY!」を立ち上げる。現在はAI研究にも取り組みながら、次世代型幼児教育の可能性を探求している。
(※)大人との言語的やり取りの量と質が、語彙発達に影響することを示した研究(Hart & Risley, Meaningful Differences in the Everyday Experience of Young American Children)

