10月25日・26日の2日間、よさこい高知文化祭の開幕に合わせて天皇皇后両陛下が来県された。各地で県民と交流し、土佐路に笑顔と感動が広がった。
オーテピア高知図書館で温かなふれあい
2日目の26日、天皇皇后両陛下が宿泊先から向かわれたのはオーテピア高知図書館。
両陛下を乗せた車が図書館前を通ると、集まった人たちは「雅子さま」と呼びかけながら旗を振った。
オーテピア高知図書館では、本を読んで音声を収録する音訳のボランティアや県立盲学校の生徒らと懇談。
実際に音訳した音声を聞かれた天皇陛下は「これはどういう場所ですか?」と質問された。
音訳ボランティアは「自宅なんですけど、静かな部屋で読んでいます」と答えた。
陛下から「同じように?」と尋ねられた別の音訳ボランティアは「そうですね。やはり雑音が入らないように」と答えた。
県立盲学校の生徒たちとの交流の際には、手指を使ってイラストなどを説明する「触図」を体験された。
天皇陛下が「ちょっといいですか?」と触れ、雅子さまも「本当だ。とてもよく分かりますね」と話された。
雅子さまはクモの巣の触図を触られたとのことで、生徒は「『クモはお好きですか?』と聞かれて、『クモは嫌です』と答えました」と和やかなやり取りを振り返る。
芸術に触れるひととき
いの町紙の博物館では3年に1度開かれている「高知国際版画トリエンナーレ展」を鑑賞され、佳作賞に選ばれた受賞者から、土佐和紙の特徴や作品に込めた思いなどを聞かれた。
両陛下と話した安芸真奈さんは「版画の説明をしていると『彫刻刀で彫ったんですね』と陛下がおっしゃって、お二人で『工作で使ったよね』と話された。お二人で顔を見合わせていたところがとても印象的でした」と振り返る。
両陛下は県立美術館も訪れ、障害のある人たちの作品を集めた「スピリットアート」も楽しまれた。
内園明日美さんの作品は、動物のサイと円周率の「π」がポップな数字で表現されている。
天皇陛下が「素晴らしいですね、細かい」と称賛され、雅子さまも「あそこから始まるんですね。3.14」と感心されていた。
内園さんは「思っていた以上に深く見てくれて、私にも質問をしてくれたりしたので、お話しするまでは緊張したんですが、すごくお二人が興味を持ってくれて一つ一つに感想を言ってくださりながら見てくれたのでうれしかったです」と喜ぶ。
書道で特選を受賞した近藤可連さんの作品もご覧になり、天皇陛下は「素晴らしい作品ですね。時間をかけて」と声をかけられた。
近藤さんは「うれしかったです」と笑顔を見せ、可連さんの母親も「天皇陛下と息子が実は誕生日が一緒で、その話をしたらにこやかに笑ってくださって本当にお会いできて光栄でした」と喜びを噛み締めていた。
高知中が温かな空気に包まれた帰路
県内での公務を終えて帰路につかれる両陛下を見送ろうと、日が暮れた空港には多くの人が集まった。
到着を待つ間、警備に当たる警察官から「地元の方だったら塩とタレどっち派ですか?塩の方~タレの方~」と呼びかける場面も。
カツオのたたきの食べ方だろうか。雨の中、両陛下の到着を待つ人たちとの粋なやり取りだ。
天皇陛下の姿が見えると「陛下」「天皇陛下」「ありがとうございました」と歓声が響いた。雨の影響が心配された今回のご訪問だったが、両陛下は予定通りの日程で東京へ戻られた。
浜田知事は「ハンディをお持ちの方、いろいろ厳しい状況の中で自身の信じた道をしっかりと追求している方に大変温かいまなざしをお持ちになり、最後まで寄り添ってお話をお聞きするよということが、態度をもって示されたところが私も感銘を受けました」と語った。
今回、両陛下のそばで取材した記者によると、雅子さまは予定の時間が来ても障害のある人たちが手がけた作品を興味深そうに楽しまれていたという。
