特定危険指定暴力団・工藤会が、会長の継承式を行ったことが捜査関係者などへの取材で分かった。警察は、今後の組織運営に変化が出るか、動向を注視するとしている。
15年振りとなる新会長の継承式
2026年10月31日午前6時過ぎ、福岡・福智町にある指定暴力団・太州会系の組事務所には、北九州や福岡、更に本州から礼服を着た男たちが集まっていた。特定危険指定暴力団・工藤会による15年振りとなる新会長の継承式が開かれたのだ。

新たに会長となる人物を出迎える組員たち。スーツの襟には工藤会のバッチが付けられている。組員が詰める会場の奥からは挨拶の練習が聞こえていた。

幹部 「車が見えたら『お疲れさまです』と挨拶する」
組員 「(複唱)お疲れさまです」
幹部 「もうちょっと大きい声で行こうか」
組員 「(大声で複唱)お疲れさまです!」

そして、六代目工藤会を継承する人物を乗せた車が現れた。なかから姿を見せたのは、五代目工藤会ナンバー2の後藤靖・理事長(51)だ。

捜査関係者は、これまで五代目の会長を務めた田上不美夫・被告(70)が、後藤理事長を六代目会長に指名し、この日、組織の実権を譲ったとみている。

継承式には、広島や熊本、久留米を本拠地とする各暴力団組織の最高幹部が来賓として参加。会場周辺は福岡・山口・熊本の捜査員が警戒にあたり、物々しい雰囲気に包まれた。

新会長は「真面目で忠誠心」 元組員が証言
今回、会長に就任したとみられる後藤理事長は工藤会の中核団体、田中組の六代目組長。組織の内情に詳しい人物によると元総裁の野村悟被告(79)や田上被告から信頼を寄せられている人物だという。

元工藤会系組員は「真面目さでしょうね。あと忠誠心。総裁・会長の元に毎日欠かさず、拘置所まで行っていると聞いた。それぞれの家族を大事にするとかも。今、自分の生活で一杯一杯な人たちが多いなかで、まずそこだけを徹底してやるっていうのはやっぱりさすがだなと思います」と後藤理事長について話す。

存在を誇示するように継承式を開いた工藤会。五代目会長の田上被告は、総裁職に就き組織に残るとみられている。

継承式の4日後 最高幹部の男を逮捕
県内の工藤会の構成員は2025年末時点で約190人。警察は更なる組織の弱体化を図るべく引き続き捜査にあたる方針だ。

また警察は、継承式の4日後、暴力団の威力を示して知人からの借金を踏み倒したとして、工藤会の最高幹部の男を逮捕した。

継承式の会場で、紋付き袴姿で組員たちに指示を出していたのが、恐喝などの疑いで逮捕された工藤会の最高幹部、塩見直之容疑者(59)だ。

組織のナンバー4にあたる幹事長に就任したとみられている塩見容疑者は、警察によると2021年12月、600万円を借りていた知人男性に入れ墨を見せ「無理」「工藤会の執行部に上がったけ」などと脅迫して返済の免除を要求し、回収を断念させた疑いが持たれている。

調べに対し塩見容疑者は「黙秘します」と話しているという。
(テレビ西日本)

