国技館へ行かねばならぬ!

安倍首相とトランプ米国大統領が一緒に相撲を観るというので、
「これは行かねばならぬ」
と、相撲好きの娘と妻を連れて国技館へ向かった。

警備が厳しそうなので電車で両国へ。
駅に着いて驚いた。荷物検査のための大行列ができている。
炎天下1時間ほど並んだが、相撲見物は高齢者が多く、辛かったのではないか。

撮影:産経新聞社
撮影:産経新聞社
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ネットでは
「正面のマス席の前の方を全部買い占めて、相撲ファンが入れない」
などのフェイクニュースが飛び交っていたが、実際には一般の人もたくさん座っていた。
 
僕の唯一の不満はいつも飲む「国技館」という日本酒が、ビンの持ち込み禁止で、マックのコーラを入れるような大きな紙コップに入れられてきたこと。
あれはいかん。
あとはいつもの焼き鳥もシュウマイも食べられたし、妻子はあんみつ食べたし、文句はない。

日本酒「国技館」が紙コップで・・・(撮影:平井文夫)
日本酒「国技館」が紙コップで・・・(撮影:平井文夫)

礼儀正しかったトランプ大統領

残り5番になったところで安倍、トランプ両氏が登場。
観客総立ちで迎え、「トランプ!トランプ!」と大合唱し、おまつりのようだった。
トランプは意外に礼儀正しく、おとなしく説明を聞きながら観戦し、優勝した朝乃山に大統領杯を渡す時に「レイワワン!」と読み上げると、「おーっ」とどよめきが上がった。

相撲ファンとしての正直な感想を言うと、1時間並んだのはきつかったし、普段と違うことがたくさんあった。
通路にはずらっと警察官が立っていた。
ただそういうことも含めておまつりのようですごく楽しかった。
ある新聞が「異例ずくめで、見慣れぬ光景。風情もへったくれもありゃしない。迷惑だった」などとネガティブに書いていたが、ほとんどの観客はトランプ来訪をシンプルに楽しんでいたと思う。

座布団投げは最高に楽しい

相撲は飲み食いしながら楽しむ興行であり娯楽だ。
そして日本の古くからの伝統である。
そこに米国の大統領が来てくれたのは嬉しいし誇らしい。
トランプも楽しんでくれたらよかったな、と思った人は多かったのではないか。

結びの一番が終わり、横綱・鶴竜が勝った瞬間、客席の方を向いて座っていたSP(警護官)十数人が、突然スクッと立ち上がったのでびっくりした。
どうやら座布団投げを警戒したらしいのだが、座布団投げは横綱が負けた時など、観客が興奮した時しかやらない。
昨日は鶴竜が勝ったので座布団投げなどあり得ない。

実は前日土曜日の14日目も見に行ったのだが、鶴竜が負けて朝乃山の優勝と栃ノ心の大関復帰が決まった瞬間、座布団が飛ぶのを初めて生で見た。
トランプにも見せてやりたかった。
あれは最高に楽しいのだ。

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】

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平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。