最大293億円とも試算されるサッカースタジアムの整備費を、誰がどう負担するのか——。鹿児島市が「県や民間との"オール鹿児島"での費用負担が必要」とする一方、県は「財政負担を前提としたものではない」と明言した。この発言を受け、下鶴市長は「今後の財政負担を否定したものではない」と受け止めを語る。両者の間に温度差は生じているのか、スタジアム実現に向けた一つの課題が浮き彫りになってきた。

候補地2カ所、整備費は最大293億円

鹿児島市は現在、サッカースタジアムの整備に向けて2カ所の候補地を検討している。与次郎にある鹿児島サンロイヤルホテル移転後の跡地と、県立鴨池庭球場だ。

5月に公表された市の調査結果によると、整備費はサンロイヤルホテル跡地で約293億円、鴨池庭球場で約215億円と試算されている。いずれも多額の費用が見込まれるなか、鹿児島市は「県や民間、オール鹿児島での負担が必要」との考えを示している。

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県議会で初めて費用負担が議題に 「財政負担を前提としたものではない」

6月24日に開かれた県議会一般質問では、5月の調査結果公表後、初めてスタジアムの費用負担をめぐる質問が行われた。

県観光・文化スポーツ部の桑代毅彦部長は、2019年に「オール鹿児島でスタジアム整備に取り組む」ことに合意した経緯を認めつつも、こう述べた。

「この『オール鹿児島』は県としては県の財政負担を前提としたものではなく、あくまでスタジアム整備に向けて県・市が連携して取り組んでいくと理解」

合意の存在は認めながらも、財政負担とは切り離して解釈するという県の立場が、初めて県議会の場で明確に示された形だ。

県議会一般質問(6月24日)
県議会一般質問(6月24日)

市長「財政負担を否定したものではない」と前向きに受け止め

この県の発言に対し、下鶴市長は7月2日の定例会見で受け止めを問われ、次のように答えた。

「現時点での県の考え方を述べたものであり、今後の県の財政負担を否定したものではないと捉えている」

さらに市長は、知事と自身がともにマニフェストでスタジアム整備への取り組みを表明していることにも触れ、「同じ方向を向いて協議していると考えている」と強調した。県から規模や機能、県全体への波及効果などについて問い合わせを受けるなど、協議は着実に進んでいるとの認識も示した。

下鶴市長
下鶴市長

費用負担の議論は「場所と仕様が決まってから」

県はまた、費用負担についての具体的な議論は、鹿児島市が整備場所を選定し、仕様や事業費が正式に示された後に行うとの見解を示している。

桑代部長は、仮に県が費用負担を検討する場合の条件についても言及した。

「施設に公共性があるか、県全体の活性化に寄与するか、県内で整備に向けた機運が高まっているか、これまでの経緯を踏まえた費用負担のあり方などについて整理する必要がある」

つまり県は、整備場所・仕様・事業費が固まった段階で、公共性や県全体への効果、機運の高まりといった条件を改めて精査したうえで費用負担の有無を検討するという立場だ。この考え方はすでに鹿児島市側にも伝えているという。

「オール鹿児島」の実現に向けて、協議の行方が焦点に

市が求める「オール鹿児島」での費用負担と、県が示す「財政負担を前提としない」という立場。言葉の上では隔たりがあるように見えるが、下鶴市長は対立を強調せず、協議の継続に軸足を置いている。

スタジアム実現に向けた最大の課題は、最大293億円にのぼる整備費をいかに分担するかだ。県・市・民間のそれぞれがどのような役割を担うのか。まずは候補地の選定と仕様の確定を急ぎ、その土台の上で費用負担をめぐる本格的な協議が始まる。今後の動きに注目したい。

(動画で見る▶鹿児島市の新サッカースタジアム整備 下鶴市長「財政負担を否定したものではない」 県との協議進んでいるとの認識)

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鹿児島テレビ
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