鹿児島市が整備を目指すサッカースタジアムについて、「候補地選定に我々が主体的に入ることはない」――県サッカー協会の川畑佑樹会長がそう明言した。6月10日、鹿児島市で議員向けの勉強会が開催され、スタジアム整備をめぐる現状や課題が共有された。出席した県議・市議からは候補地選定の在り方について質問が相次ぎ、行政・民間・クラブが一体となって取り組むべきだという声も上がった。
2候補地の整備費は最大で約80億円の差
勉強会は、県サッカー協会やJ3・鹿児島ユナイテッドFCなどが主催し、県議や鹿児島市議ら約35人が参加した。スタジアム整備をめぐる現状への理解を深めることを目的としている。

現在、候補地は2カ所に絞られている。県立鴨池庭球場への整備費は215億円、移転計画が進む鹿児島サンロイヤルホテル跡地への整備費は293億円と算定されており、両者の差は約80億円にのぼる。財源の確保や費用対効果が今後の議論の焦点となりそうだ。

観客数は増加傾向、サポーターが地域観光にも貢献
勉強会では、コロナ禍以降に鹿児島ユナイテッドFCの試合の平均観客数が年々増加していることが報告された。また、県外から訪れた対戦チームのサポーターが県内各地を観光している実態も紹介され、スタジアム整備が地域経済の活性化につながる可能性が示された。

サッカーというスポーツが単なる「試合の場」にとどまらず、観光や交流人口の拡大を通じて鹿児島全体に波及効果をもたらすという視点は、整備推進の説得材料として機能している。
「本音でしゃべっている」川畑会長が明言
候補地の選定をめぐっては、出席者から率直な質問が飛んだ。
霜出佳寿市議が「本音をもって話していただきたい」と迫ると、川畑会長は「すでに本音でしゃべっているのでご心配なく」と応じた。

さらに川畑会長は、「候補地について我々はどっちがいいとは言っていない。早期実現をお願いしますと伝えたので、現段階で我々が主体的に候補地選定に入ることはない」と述べ、協会としての立場を明確にした。

大木晃市議は「場所を決める段階で行政だけで決めるのではなく、民間のアイデア力が必要と私は考える」と問題提起し、意思決定のプロセスに民間の視点を取り込む重要性を訴えた。
「稼ぐスタジアム」実現への覚悟
山下要市議は指定管理者としての運営について踏み込んだ質問をした。「指定管理者として運営してくださいとお願いされたら、稼ぐスタジアムを実現する自信はあるか」という問いに対し、鹿児島ユナイテッドFCの徳重剛代表は次のように答えた。
「ちゃんと回っていくように、稼ぐという定義をどう捉えるかだが、頑張っていく覚悟をもって、ということはお伝えする。我々のクラブの覚悟だけでなく県議会、市議会、行政、民間、地域の皆さん、みんなで頑張っていくものだと思っている」

クラブ単独ではなく、行政・議会・民間・地域が一体となって取り組むべきだという徳重代表の言葉は、スタジアム整備が鹿児島全体の課題であることを改めて示している。
候補地の最終決定に向けた議論はこれからが本番だ。整備費の差、運営の持続可能性、地域への波及効果――様々な観点から検討が続く中、鹿児島のサッカースタジアムがどのような形で実現するか、地域全体が注目している。
【動画で見る▶サッカースタジアムめぐり県議と市議が勉強会 県協会は候補地選定に主体的に関わることはないとの見解 】
