鹿児島市が整備を目指すサッカースタジアムについて、候補地となっている2カ所の調査結果が5月29日に明らかになった。県立鴨池庭球場に整備した場合、鹿児島サンロイヤルホテル跡地と比べて整備費を78億円抑えられることがわかった。使用開始時期も2年早い2036年と想定されており、費用・スケジュールの両面で庭球場に軍配が上がる結果となった。ただし、候補地を1つに絞り込むスケジュールは「現時点で特にいつまでというのを持ち合わせてはいない」と担当課長が述べるなど、議論はまだ続きそうだ。
2カ所の調査結果を市議会へ報告
調査結果は29日に開かれた鹿児島市議会・常任委員会で報告された。候補地となっているのは、移転計画が進む鹿児島サンロイヤルホテル跡地と、現在Jリーグの試合が行われている白波スタジアムに隣接する県立鴨池庭球場の2カ所だ。
今回の調査は、いずれの候補地が整備に最適かを検討するために行われたもので、延床面積約2万9000平方メートル、座席数約1万5600席のスタジアムをそれぞれの土地に建設したイメージ図も示された。

整備費の差は78億円、使用開始も2年早く
注目された整備費について、本体工事に関わる費用はいずれも187億円と算定された。しかし、そこに加算されるコストに大きな差が生じた。
- サンロイヤルホテル跡地:土地取得費などで106億円が加算され、合計293億円
- 県立鴨池庭球場:庭球場の移設費28億円が加算され、合計215億円
その差は78億円にのぼる。スタジアムの使用開始時期についても、サンロイヤルホテル跡地では建物の移転を待つ必要があるため2038年、庭球場では2036年と想定されており、庭球場の方が2年早く完成する見込みだ。

物価高騰への懸念も、スケジュールは未定
委員会では、議員からスケジュールについての質問も飛んだ。長浜昌三議員が「2つの候補地を1つに絞り込む、選定のスケジュールはいつごろまでか?」と問うと、鹿児島市スタジアム担当の平良和也課長は「まずは今回報告し、6月の市議会でも論議されるものと考える」「県や関係団体と協議をしていくので、そういうところとの協議を見ながら見えてくるスケジュール感があるのではないか。現時点で、特にいつまでというのを持ち合わせてはいない」と述べるにとどめた。
また、物価高騰を危惧する声に対しても平良課長は「言われるように、物価高騰、人材不足などニュースなどで把握はしているが、その影響を考慮するのは難しかったので現時点の数字として示した」と説明した。今後さらにコストが膨らむ可能性は否定できず、示された数字はあくまで現時点での試算という位置づけだ。
9年越しの議論、それでも「使えるのは10年後」
鹿児島市のサッカースタジアム構想は、2017年に整備検討協議会が立ち上げられてから、すでに9年という歳月が経過している。その間、候補地の選定は幾度もの曲折をたどってきた。
2019年には、鹿児島港本港区の浜町バス車庫・ドルフィンポート跡地・住吉町15番街区の3カ所に絞り込まれた。しかし、土地所有者の申し出や、県が整備を計画している新たな総合体育館との兼ね合いなどから断念を余儀なくされた。
その後、2023年には新たに北埠頭が候補地として浮上したものの、港湾計画の改定に時間を要することなどからわずか8カ月後に白紙に戻った。そして今回、サンロイヤルホテル跡地と県立鴨池庭球場という2カ所の調査が進められ、ようやく次の段階へと歩みを進めた形だ。

とはいえ、仮にどちらかの候補地に決定したとしても、スタジアムが実際に使えるのは早くとも2036年。今この瞬間から数えれば、まだ10年先の話である。物価高騰の影響をどう織り込むか、市議会・県・関係団体との協議をどう進めるか——引き続き議論は続きそうだ。鹿児島のサッカーファンにとって、待ち望んだスタジアムが現実のものとなる日はまだ遠い。
(動画で見る▶鹿児島市のサッカースタジアム候補地 鴨池庭球場とサンロイヤルの整備費は78億円差)
