「カニをもっと身近に」を合言葉に“カニ一筋”で歩んできた双子の兄弟が福井・敦賀市にいる。創業15年で売上150億円にまで急成長させた彼らが、7月に「かにファクトリーby甲羅組」をオープンさせる。海産物の販売にとどまらず“五感で楽しむ体験型テーマパーク”をコンセプトに、新たな福井のランドマークを目指す。

 ファミリーで楽しめるカニのテーマパーク

はさみを振り上げた巨大なカニが待ち受ける「かにファクトリーby甲羅組」は、「甲羅組」ブランドを展開する「伝食」が2026年7月16日にオープンさせる。同社は2011年に創業し、ECサイトでの販売を軸に、わずか15年で売上150億円という急成長を遂げた。

7月16日にオープンする「かにファクトリー」
7月16日にオープンする「かにファクトリー」
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ファクトリーの仕掛け人である伝食の常務・田辺寛さんは「福井県といえば越前がになので、カニに特化した施設を作ろうと考えた」という。

カニと写真が撮れるトリックアートも
カニと写真が撮れるトリックアートも

館内には、カニに関するクイズコーナー、自分で描いた絵がスクリーンに映し出されるデジタルお絵かきコーナー、記念撮影ができるトリックアートコーナーなどを設置。

子供たちの遊びスペースも
子供たちの遊びスペースも

「雨降った日にどこに行こうかと悩んだ時に、子供が1時間、2時間とゆっくり遊べるところ」もポイントだという。

もちろん、飲食スペースや買い物スペースも完備する。

伝食の常務・田辺寛さん
伝食の常務・田辺寛さん

施設づくりの根底にあるのは、地元敦賀への恩返しだという寛さん。「集客と雇用の面から、地元敦賀に人が集まる仕組みを作りたい」と“地元ファースト”を掲げる。

“カニ一筋”15年の双子兄弟が目指すもの

ファクトリーの向かいにある伝食の事業所に向かうと、寛さんそっくりな双子の弟で社長の晃司さんが出迎えてくれた。

弟の晃司さんはECサイトの運営やカニの買い付けなどを担当
弟の晃司さんはECサイトの運営やカニの買い付けなどを担当

ファクトリーの運営や飲食部門、東京や大阪にある実店舗を兄の寛さんが、通販サイトの運営やカニの買い付けを弟の晃司さんが担当している。2人はともに高校卒業後、カニなどを販売する会社に就職したところから“カニとの歩み”が始まった。

「お客さんの笑顔や楽しいひととき、ワクワクドキドキといった力が、カニにはあるなって思っています」と晃司さん。

創業15年で150億円の売り上げに
創業15年で150億円の売り上げに

伝食が掲げるもう一つの大きなテーマが「1年中、手頃な価格でカニを食べられる」ことだという。「『今日の晩ご飯、カニにしよっか』ってところまでコストを下げられれば」と日々、奔走している。

海外までカニの買い付けに
海外までカニの買い付けに

そのために伝食が取り組んでいるのが、海外産地への直接買い付けだ。カナダのセントローレンス湾河口など、世界の漁場に自ら足を運び、仲介業者を介さない独自の仕入れルートを確立している。

独自の仕入れルートを確立
独自の仕入れルートを確立

一般的な流通経路よりもコストを大幅に削減することで、確かな味のカニを、より安価に消費者へ届けることを可能にした。

2025年度の福井県内「ふるさと納税」寄付金ランキング
2025年度の福井県内「ふるさと納税」寄付金ランキング

その結果は、ふるさと納税の寄付額にも表れている。敦賀市のふるさと納税の寄付額は83億円を突破し、県内で6年連続トップを記録。その人気を支えているのが、カニやエビなどの海産物だ。

 毎日1トン、手作業で殻むき…繁忙期の年末に向けてストック

伝食の看板商品「カット生ずわい蟹」は解凍後、刺身としても食べられるほど新鮮な状態で冷凍されている。ファクトリーには水産加工場も併設されていて、カニが商品になるまでの裏側を見学できる。

看板商品の製造現場に潜入!
看板商品の製造現場に潜入!

製造工程でまず目を引くのは、解体作業の規模だ。冷凍のまま1日約1トンを解体し、年末の最盛期に向けストックしていく。というのも、11月・12月の2カ月だけで、年間売上の50%以上を占めるというのだ。

1日に1トンほどを仕込む
1日に1トンほどを仕込む

大量のカニを年末までおいしく保存するために活躍するのが「トンネルフリーザー」と呼ばれる機械。全長約10メートルのトンネルを通過することで、約15分でマイナス35度まで一気に急速冷凍する。

鮮度を保つのに重要なトンネルフリーザー
鮮度を保つのに重要なトンネルフリーザー

水産加工部の山之内部長は「鮮度管理にあたっては、やっぱり“溶かさないこと”が一番重要」だといい、このトンネルフリーザーで短時間で冷凍することで、鮮度とうまみを閉じ込める。

1本1本手作業で殻をむいていく
1本1本手作業で殻をむいていく

驚きなのは、殻むき作業だ。カニ足に切り込みを入れたあと、1本1本を手作業でむいていく。「繊細で、ちょっと力加減を強くすると折れてしまう」ため機械化せず、手作業にこだわっているという。

殻をむく手間がなく会話も弾む?
殻をむく手間がなく会話も弾む?

手間をかけて殻をむくのには理由があった。家族でカニを食べる際は、どうしても殻をむくのに集中し会話が減ってしまう。伝食では、あらかじめカニの殻をむいておくことで、家庭ではカニを味わいながら笑顔で会話を楽しんで欲しいと考えているからだ。

鮮度抜群、殻もむいてある
鮮度抜群、殻もむいてある

殻をむいたカニは再びトンネルフリーザーで急速冷凍され、マイナス25度、最大200万匹を収容できる巨大な冷凍倉庫へ運ばれる。

マイナス25度の冷凍倉庫で保管
マイナス25度の冷凍倉庫で保管

繁忙期には1時間ぶっ続けでマイナス25度の庫内で作業を続けるスタッフもいる。それでも仕事が続けられる原動力を「僕らの仕事の行く先には笑顔があるって思ってますんで」と胸を張る。

仕入れから出荷まで、内製化の強み

そして、1日最大2万件もの出荷をさばく通販事業の裏側を支えるのは、わずか2人のシステム担当者だ。受注管理から出荷現場のオペレーションまで、すべてを自社開発のシステムで一元管理している。

たった2人のシステム担当者が通販事業を支える
たった2人のシステム担当者が通販事業を支える

社長の晃司さんは「外注に依頼出しても、業務内容を知らないとカスタマイズできない。作業内容を1から10まで分かっている人がシステムをカスタマイズするのが一番いい」と説明する。

双子の経営者…息もぴったり
双子の経営者…息もぴったり

こうして伝食では、カニの仕入れから加工、物流、システム開発に至るまで、あらゆる工程で内製化を徹底している。目指すは「うまい、安い、早い!」。その晃司さんの言葉に、寛さんも頷く。

体験・食・工場見学を集約した複合施設として7月16日にオープンする「かにファクトリーby甲羅組」。敦賀を“カニの街”として発信し福井県を代表するランドマークとなるか、双子兄弟の挑戦が続く。

福井テレビ
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