クリーミーな味わいで人気のアボカド。しかし見た目では食べ頃の判断が難しく、「切ったら硬い」「傷んでいた」という失敗もつきものだ。この悩みを解消しようと、秋田県立大学の学生3人が“切らずに食べ頃を見極める技術”を開発した。光を使った新たなアプローチに、実用化とフードロス削減への期待が高まっている。

身近な疑問から始まった研究

挑んだのは、秋田県立大学生物資源科学部4年の学生3人。その名も「アボカド探検隊」だ。

アボカドを切らずに食べ頃を判定する技術開発に挑んだ秋田県立大学「アボカド探検隊」
アボカドを切らずに食べ頃を判定する技術開発に挑んだ秋田県立大学「アボカド探検隊」
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研究を始めたのは1年生だった2023年。大学の支援制度を活用し、テーマを自由に設定できる中で選んだのがアボカドだった。

寺門優さんは「当時は『研究ってなんだろう』という段階だったので、自分たちの周りの出来事や食べ物など、考えやすいものをやろうと思ってアボカドに決めた」と振り返る。

鍵を握るのは“見えない光”

3人が注目したのは「光」の性質だ。

果物の糖度測定などに使われる「近赤外光」は、実を傷つけずに中身の状態を探ることができる。

この技術を応用し、アボカドの皮に波長が異なる可視光と近赤外光を当て、反射した光のデータを測定した。

実の硬さの測定
実の硬さの測定

さらに、実際に果実を切って硬さを測定し、味や食感を自分たちで評価。“食べ頃”を10段階に分類していった。

100個近く食べて得たデータ

地道な検証の中で最大の難関は、データ収集だった。ひたすらアボカドを食べたという。

データ収集のため実食を繰り返した3人(左から)寺門優さん、千葉漣翔さん、中舘陵映さん
データ収集のため実食を繰り返した3人(左から)寺門優さん、千葉漣翔さん、中舘陵映さん

中舘陵映さんは「硬いものだったら『ゴム』と呼んでいた。黒っぽくなっているものも、1回目は何もつけずに食べなければいけないのが一番苦労した。100個弱は食べた」と苦笑する。

こうして蓄積した味と食感の評価と、光の反射データを組み合わせることで、切らずに食べ頃を推定する手法を導き出した。

保存温度から「食べ頃の未来」を予測

研究はさらに一歩進む。保存温度によって熟し方が変わる点に着目し、温度ごとの変化も検証した。

その結果、「どの温度で保存すれば何日後に食べ頃になるか」を予測できる可能性も見えてきた。

企業とのマッチングイベントで新技術を紹介する様子(画像提供:秋田県立大学)
企業とのマッチングイベントで新技術を紹介する様子(画像提供:秋田県立大学)

この成果は2024年に特許出願され、翌2025年には企業とのマッチングイベントにも出展。

千葉漣翔さんは「自分の研究を紹介できて、理解も深まった。経験を得られたのが一番大きい」と話す。

実用化への壁と期待

一方で、現段階では測定データの解析に時間がかかるという課題がある。日常的に使うには、専用機器としての製品化が不可欠だ。

3人は現在、実用化に向けて協力企業を探している。

3人は開発した技術の実用化に向け協力企業を求めている
3人は開発した技術の実用化に向け協力企業を求めている

寺門さんは「切ってみたら駄目だった、まだだったと廃棄されてしまうものを減らしたい。自分たちの技術でそれを解決できたら」と思いを語る。

“がっかり”を減らす技術へ

アボカドは熟し過ぎによる廃棄も多い
アボカドは熟し過ぎによる廃棄も多い

食べ頃の見極めが難しいアボカドは、熟し過ぎによる廃棄も多く、世界的に課題とされている。

学生たちの発想から生まれたこの技術は、日常の小さな失敗を減らすだけでなく、フードロス削減という大きな課題にも光を当てる。

「切ってみないと分からない」常識を変える一歩が、秋田から生まれようとしている。

(秋田テレビ)

秋田テレビ
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