鮮度にこだわる猫さんのための工夫

今回のクイズの答えは、「猫は新鮮な食事を好むから」でした。いかがだったでしょうか?

猫さんは長い進化の歴史の中で、ネズミなどの獲物を捕らえて生きてきました。野生では保存食を食べる機会がほとんどなく、いつも獲れたての新鮮な食事を口にしていたため、新鮮なものをおいしいと感じる習性を身につけたのです。

そのため、昨日まで食べていたフードでも、開封から時間が経って風味が落ちると食べなくなることがあります。食事に飽きたわけではないんです。同じ銘柄でも新しい袋を開けると再び食べ始めることがあるのは、単なる気まぐれではなく、猫本来の食性に基づいた自然な行動なのです。

もし猫さんが「新しい袋なら食べる」というタイプであれば、

・フードは食べきりサイズの小袋を選ぶ 
・開封後は密閉容器で保存する 
・高温多湿を避ける 
・まとめ買いしすぎない 

といった工夫が役立つかもしれません。

「わがまま」にもちゃんと理由が

もちろん、食欲低下の原因はグルメだけとは限りません。急に食べなくなったり、体重減少や体調不良を伴ったりする場合は、病気の可能性も考えて動物病院へ相談してください。

前回は「同じごはんが続くと飽きる理由」、今回は「新しい袋なら食べる理由」を解説しました。

どちらも一見わがままに見える行動ですが、その背景には野生時代から受け継がれた猫ならではの生存戦略が隠されています。猫さんが今日もカリカリを前に悩ましげな表情をしていたら、「グルメなご先祖様の血が騒いでいるのかな」と少しだけ思い出してみてください。そう考えると、猫さんの気まぐれもまた、長い進化の歴史が生んだ立派な才能なのかもしれません。

今日もまた、猫の心に寄り添えた気がします。

岩崎永治(いわざき・えいじ)
博士(獣医学)。専門は猫の栄養学。一般社団法人日本ペット栄養学会代議員。麻布大学獣医学部寄付講座ペットケア&ニュートリション研究室特任准教授。

岩崎永治
岩崎永治

1983年群馬県生まれ。博士(獣医学)、一般社団法人日本ペット栄養学会代議員。日本ペットフード株式会社に就職後、イリノイ大学アニマルサイエンス学科へ2度にわたって留学、日本獣医生命科学大学大学院研究生を経て博士号を取得。現在は麻布大学獣医学部寄付講座ペットケア&ニュートリション研究室特任准教授。専門は猫の栄養学。「かわいいだけじゃない猫」を伝えることを信条に掲げ、日本猫のルーツを探求している。〈和猫研究所〉を立ち上げ、SNSなどで各地の猫にまつわる情報を発信している。著書に『和猫のあしあと 東京の猫伝説をたどる』(緑書房)、『猫はなぜごはんに飽きるのか? 猫ごはん博士が教える「おいしさ」の秘密』(集英社)。