コロナ禍以降、外国人観光客が急速に増加している福岡。それに伴い“違法な”『白ナンバー』のトラック“白トラ”が横行している。その実態を追跡取材した。

「“白トラ”は違法では?」

2026年5月、TNCにある不審な車両に関する情報が寄せられた。

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「福岡空港から観光客のものらしきスーツケースを運んでいるトラックを見たのですが、ナンバーの色が『白』でした。これは“白トラ”行為で違法ではないでしょうか?」というもの。違法な『白ナンバー』のトラックに関する情報だった。

取材班が確認のため福岡空港国際線ターミナルの近くに向かった。情報のあった空港関係車両の通行口からは、多くの『緑ナンバー』のトラックが出てきた。料金を受け取り、他人の荷物を運ぶ場合、運送業者は『緑ナンバー』の取得が義務づけられている。

待つこと約30分。空港関係車両の通行口から、情報提供の内容によく似たトラックが出て来た。

取材班が接近して確認すると、間違いなく『白ナンバー』だった。

取材班は、このトラックの追跡を開始。するとJR博多駅近くのホテルで停車した。車の横のドアが開き、1個、2個とスーツケースが取り出されホテル内に運ばれて行った。

『白ナンバー』のトラックは、更に別のホテルに移動。

今度は、スーツケースに青い袋のようなものを付けている。中にはチラシのようなものが入っているようだ。

「白ナンバーの車は会社の荷物」

取材班の調べで、このトラックを運行しているのが、福岡市に本社がある『A社』と分かった。

会社のホームページを見ると、2022年から空港のテナントに入居し、スーツケースなどの荷物をサイズに応じて料金を受け取り、ホテルに配送しているという。現在は、福岡市内193のホテルと提携と記されている。

この日、A社のトラックは、取材班が追跡した約2時間で、博多駅付近にある13のホテルにスーツケースを運んだことを取材班は確認した。

もし、料金を受け取り、他人の荷物を『白ナンバー』で配送しているのなら、それはれっきとした違法行為。

事業許可を取っていない場合、『3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金』が科される。

取材班は、A社の代表に直接電話で真偽を尋ねた。やりとりは、以下の通り。

記者:「御社が『白ナンバー』で配送していると情報提供があった』

代表「いえいえ、『白ナンバー』のトラックは、弊社の会社の荷物を空港から倉庫に運んでるだけの車です。外に出ている、ホテルに行っているのは、全部『緑ナンバー』です」。

記者:「御社の『白ナンバー』のトラックを見つけまして、久留米ナンバーのトラック。それは『白ナンバー』だったんですよね」

代表:「それは多分、化粧品とかを運んだりしている自社のトラックで、ホテルに卸したり美容室に卸したりしているのを一緒に兼ねているトラックじゃないですかね」

代表によると、「スーツケースに付けていた青い袋の中には、自社の化粧品が入っている」という。その化粧品を「荷物配送の利用客に購入してもらい、スーツケースと共に運んでいるので違法ではない」と主張した。

専門家「それ、違法です!」

ところが、物流業界に詳しい専門家の見解は、まったく違うものだった。

「それは、違法ですね。違法、違法。化粧品の所有権がどうなっているのかが1つポイント。スーツケースの持ち主に販売を済んだ状態であると、化粧品の所有権が移転し、スーツケースの持ち主に変わっている。所有権が移転している時点で、『他人の貨物』という扱いになるので違法になる」と、物流ジャーナリストで『LOGISTICS TODAY』編集委員の刈屋大輔さんは、指摘する。

更に、違法な『白トラ』が行われる背景について、「『緑ナンバー』の場合、業務前や業務後の点呼をしっかりやらなければいけない。アルコールが入ってないかのチェックやドライバーの体温など、健康状態の管理をする。これをやる分コストもかかるし、時間もかかる。更に、『白ナンバー』は、自分の車の持ち込みでやるので、トータルコストを考えた時に『緑ナンバー』の運転手よりも安い。『白ナンバー』の方が安く済む」と刈屋さんは、説明する。

そして、取材を進めると、別の事実も明らになった。九州運輸局によると、A社が初めて運送事業の許可を取り、『緑ナンバー』を取得したのは2025年5月。しかし、福岡国際空港株式会社によると、A社が空港内(国内線)のテナントに入居したのは、2022年1月。3年4カ月の間は、無許可の状態で全て『白トラ』で配送していた可能性も出てきたのだ。

主張一転「もう、やめました」

後日、改めて代表に尋ねると、前回の発言を一転させた。

記者:「どういう意図で事業していたか?」

代表:「僕たちはもう、誤解を受けないように『緑ナンバー』にしか載せません」

記者「それは『白ナンバー』が、スーツケースを載せて運んではいけないということが、分かったということか?」

代表:「そうですよ、やめましたよ」

A社の代表は、違法行為だったことを認めた上で、『白トラ』行為に及んできた理由についても話し出した。「2年間ぐらい全く流行らなくて、1日3個~10個、多くて1日20個を2年間ぐらい繰り返してきまして、コロナ禍が終わって、ちょっと増えてきたぐらいから、やっと名前が上がるようになってですね。

『緑ナンバー』取得したんですけど、正直、車が足りないとか、荷物が多かった時に、卸の人間に『手伝ってくれんか』と言って、『白ナンバー』で配送してたんです。

受付をしてしまったら、どうしても運ばないといけないんで。『白ナンバー』を使うこともあったというのは事実です。

手続きは全部終わって、ナンバー変えるだけになりましたんで、ご指摘を受けて、キャパオーバーしないような形で一生懸命進めています」。

改善に向けて動いていると主張したA社代表。

その後、九州運輸局がA社に監査に入り、ドライバーの労働時間や健康診断の受診の徹底などについて指導したという。

(テレビ西日本)