忙しく働いていると「時間がないから休めない」と思ってしまう。作業が中断され、「休むのが怖い…」と休まず働き続けてしまうことがあるだろう。

日本とアメリカで2万人のビジネスパーソンを見てきた、ビジネスコーチの吉川ゆりさんは、ついそう思ってしまう人に向けて休まないことで起こってしまうことと、睡眠の大切さを著書『なぜ、あなたは時間に追われているのか』(日経BP)で触れている。

本書から一部抜粋・再編集して紹介する。

「休むのが怖い」の末路

仕事時間が長いことと生産性の高さがイコールでないことは、OECD(経済協力開発機構)の調査や多くの産業心理学の研究で一貫して証明されています。

「時間がないから休めない」「休むのが怖い」と思って休みを取らずに走り続けると、私たちの体と脳には何が起こるでしょうか。

まず脳の司令塔である前頭前野(ぜんとうぜんや)の機能が著しく低下します。前頭前野が疲弊して機能しなくなると、簡単な判断をするのにも時間がかかるようになり、ちょっとしたことでイライラしたり、落ち込んだり、感情が不安定になったりするといわれています。

休まないと感情が不安定になることも(画像:イメージ)
休まないと感情が不安定になることも(画像:イメージ)
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さらに見逃せないのが、ストレスホルモンの影響です。休まずに心身が緊張した状態が続くと、ストレスホルモンのコルチゾールが分泌され続けます。

コルチゾールは、一時的には体を戦闘モードにして頑張らせてくれますが、出続けてしまうと脳の細胞を傷つける可能性があるほか、免疫力を下げたり、睡眠のリズムを狂わせたりするとされています。

コルチゾールが慢性的に高い状態が続くと、脳が興奮して眠れなかったり、眠りが浅くて疲れが取れにくくなったりします。そして、疲労が雪だるま式に蓄積されていくのです。

その結果、休まずに時間をかけて努力しても仕事が終わらず、ミスは増え、良いアイデアも出てきません。それは本人の能力が低いからではなく、脳と体がガス欠を起こしてしまっているからです。