セブンイレブンは7月から「ペットボトルや缶入りソフトドリンクの納品制限を緩和する」と発表した。これにより、廃棄の削減や物流の効率化につながるという。

どういうことか?

コンビニやスーパーなどの納品は、「すでに納品した商品より賞味期限が短い同商品は受け入れない」という商慣行(長年にわたる慣習)で行われている。それが「あとから賞味期限が短い商品を納品してもよい」というルールに変更されるというのだ。

「これはかなり大きな変化、非常に良い取り組みです。コンビニの廃棄対策がいよいよここまで来たとも言えます」

と話すのは、コンビニ業界に精通する流通アナリストの渡辺広明氏。詳しく聞いた。

コンビニの来店客数が4年ぶりに減少 廃棄対策がますます重要に

【流通アナリスト 渡辺広明氏】
コンビニの来店客数が減っています。日本フランチャイズチェーン協会によると、2025年はコロナ禍以来4年ぶりに減少、今年に入ってからも減少傾向が続いています。

一方で、売り上げは4年連続で過去最高を更新し、客単価も伸びています。しかしこれは物価高の影響が大きく、全体としては非常に厳しい環境だと言えます。

コンビニ業界に詳しい流通アナリスト・渡辺広明 氏
コンビニ業界に詳しい流通アナリスト・渡辺広明 氏
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コンビニの利益は、大きく言うと「廃棄費用」「人件費」「一部の光熱費」を引いたものが店舗の利益になります。つまり、経営環境悪化の中で店が利益を出すためには「廃棄を減らす」ことがますます重要になってくるのです。

値引きを知らせるファミリーマートの「涙目シール」
値引きを知らせるファミリーマートの「涙目シール」

これまでコンビニの廃棄問題は、『消費期限・賞味期限の延長』や『値引き販売』といった取り組みがなされてきました。

セブンイレブンの『納品期限の緩和』は、“仕組み”を改革する形の新たな取り組みです。もしかしたら、最後の着手ポイントかもしれません。

十分に飲める“もったいない”

現在、コンビニやスーパーの納品は基本、「既に納品した商品より賞味期限が短い同商品は受け入れない」というルールで行われています。法律で決まっているのではなく、商慣行(商取引における暗黙の了解)です。

例えば「賞味期限が12月31日のAというお茶」が、今日、店に納品されたとすると、それ以降は、「賞味期限が12月31日より短いAというお茶」は納品できなくなります。仮に賞味期限が12月24日で十分に残っていても、既に納品されたものより1日でも期限の近いものはダメというのが現行のルールです。

今回のセブンイレブンの改革では、賞味期限が前後してもよいことになるので、これまで「十分に賞味期限が残っているのに納品できない」状態だった商品が納品できることになります。

消費者にとっては、数カ月先の賞味期限が1、2週間短くなる程度なら問題ないでしょうし、なにより“もったいない”が減ることになります。

常温管理とチルド管理

食品ロスを減らすため、コンビニが最初に取り組んだのが“消費期限の延長”です。

コンビニの弁当類は「常温管理(20度前後)」と「チルド管理(5度前後)」の2種類の棚に並んでいます。

おにぎりや、おにぎりの下にあるお弁当は常温管理。消費期限はだいたい当日か翌日です。

その隣のチルド棚には、サンドイッチやパスタ、サラダなどがあり、消費期限は当日から、長いもので3日程度です。

さらにその隣に「パウチタイプ」の総菜があります。消費期限は1週間から2カ月程度。品物によって幅がありますが、トレーやパック容器と比べて長く食べられます。

この数年で、パウチの総菜が急増していることをご存じの方も多いと思います。

消費期限を延ばすためにまず、常温よりも消費期限が長いチルドを増やしました。さらに、トレーやパック容器に入っていた総菜をパウチ容器に変えることで消費期限を延ばし、廃棄が少なくなるようにしていったのです。

“欲しい商品を半額でゲット”新たな値引き販売の実証実験中

次に着手したのが“値引き販売”です。値引きシールなどに工夫をこらした店頭での値引き販売に加え、今年に入ってからはアプリを利用した値引き販売の実証実験が始まっています。

ローソンが先月から都内2店舗で始めたのは「専用アプリを通じて消費期限が近い商品を定価の半額で販売する」取り組みです。

店舗スタッフが店内にある消費期限が近付いた商品をアプリに登録、お客さんはアプリ上で注文・決済し、実店舗で受け取るという形です。

店側は廃棄の削減につながりますし、お客さんは安く買えて節約になります。そのうえ社会貢献にもなります。今後、全国の店舗へ広がっていくことを期待したいです。

必要なのは“てまえどり”に慣れること

食品ロスの大きな要因の一つは、日本人が“鮮度”に厳しすぎることです。

スーパーやコンビニで商品を買う時、後ろから取る方はたくさんいます。「自分だけなら大丈夫」と考えるのかもしれませんが、みんなが同じことをやっていれば、結局、古い商品は残ったままです。

“てまえどり”が食品ロス改善につながる
“てまえどり”が食品ロス改善につながる

コンビニは食品ロスを減らすためにできることをどんどんやっています。あとはもう、われわれ消費者が変わるしかないのではないでしょうか。

「すぐに食べるものは手前からとる」

“てまえどり”が当たり前の日常になれば、食品ロス問題は改善に向け大きく進むと思います。
(流通アナリスト・渡辺広明氏)

取材: 高知さんさんテレビ