駅の駐輪場に停めていた自転車のカゴに不審なDVDが大量に入れられる事案が発生。全国でも同様のケースが相次いでいるという。誰が何のためにDVDを大量に配布しているのか取材した。
駐輪場の自転車カゴに謎のDVD
福岡・行橋市にあるJR南行橋駅。通勤や通学の利用客が多く、駅の駐輪場はいつも自転車でいっぱいだ。

2026年3月17日、停められている数百台の自転車それぞれのカゴに不審なDVDが入っているのが見つかった。DVDには、『こころの健康』とタイトルが書かれているだけで、そのほかの情報はいっさい見当たらない。

突然、自分の自転車のカゴに入っていた得体の知れないDVDに、自転車を取りに来た利用者は『気味が悪い』と訝った。「けっこう怖かったです。『なぜ、これが自分のところに置かれているんだろう?』って」。「気持ち悪いから見もしないで…。本当に思いつかないですね、何のために人の自転車にDVDを入れるのか?」。

「気持ち悪い」誰が何のために
一体、誰がなんのためにー。
駐輪場を管理する行橋市の白石直彌係長は、「『怖いので、こういうことがあったということを市の方にも知らせた上で見回りをして欲しい』と市民から依頼がありました」と発生当時を振り返る。

白石係長が2026年3月17日に市民からの通報で駐輪場に赴くと、『こころの健康』と書かれたDVDがほぼ全ての自転車に入っている状況だった。「なんとも異様な雰囲気で100枚から200枚はあった」と証言する。

当時、ほとんど全ての自転車のカゴに入っていたというDVD。行橋市はセキュリティ上の問題でDVDを再生できずに中身を確認できなかったため不審物として受理し、警察に相談している。

「本当にDVDを見て欲しいのであれば、ちゃんとした配り方、手渡しで配るなどすればいいんでしょうけど、誰がどういう目的で置いたのか分からないものを自転車のカゴに勝手に入れて『見て下さい』というのは、怖いというか、受け取る側としては不審に思う」と白石係長は話す。

『こころの健康』は“精神療法”
取材を進めると2023年ごろから秋田県や神奈川県など広い範囲でこの『こころの健康』というDVDを見つけたというSNSの投稿が確認された。

当時、DVDを『気持ち悪い』と感じた利用客が捨てていったことで、駐輪場周辺は大量のゴミがあふれることにもなった。
そもそも『こころの健康』とは、どういう内容のDVDなのか。ゴミとして捨てられていたDVDを記者が白石係長から譲り受け、再生したところ、精神療法を紹介する内容だということが分かった。

大正時代に始まったとされるこの療法は、不安や悩みにとらわれない『あるがまま』の心を目指すものだという。

いわゆる『心の健康の実践方法』といった内容で映像は約9分間。特別な器具などは使わず、心を整える方法を説明する内容で、全国の心療内科などに広く導入されていることも分かった。
専門家「イメージ悪くなる」
実際にこの療法を利用している心療内科の1つに話を聞くと「救われている人が全国にいる療法、患者などが広めようとしているのだろうが、療法のイメージが悪くなるので迷惑している」と話していた。

DVDを配布しているのは個人なのかグループなのか、これまでのところ全く分かっていないが、専門家は「この療法に救われた人も数多くいるので、‟怪しい療法”といった誤解を招きかねないことを自覚して欲しい」と注意を呼び掛けている。
(テレビ西日本)
