タバコを吸わない人が、喫煙者の煙を吸ってしまう「受動喫煙」。その対策として、6年前、「飲食店では原則禁煙」とする法改正が行われ、国の調査では7割の飲食店などが全面禁煙になったとされている。一方、繁華街を取材すると、店内で喫煙が可能となっている店も多く、「原則禁煙」などのルールが周知・徹底されていない実態が浮かび上がった。

「白いのできます」分かりにくい表記の理由

「乾杯!」

東京都内にある飲食店。豊富な種類のお酒とともに人気なのが、店長自ら腕を振るう料理の数々。

メニューを見ると、こんな表記が・・・。

「巻く派と巻かない派がいるやつ」

名前からは想像もつかないこのメニュー、注文してみると、出てきたのは「パスタ」。

さらに、リゾットの商品名は「アレをアレと一緒にアレしたやつ」。豚キムチの下の説明には、「白いのできます」との文字が。「白いの」は、ライスのことだという。

なぜこんなにわかりにくいメニュー表記なのか。

この記事の画像(29枚)

店長:
もし行政のどうのこうのってなったときに、いや別に(ご飯ものの提供は)やってないですっていうため。グレーにしている。

店長がそう話す理由は、店頭に表示している「喫煙目的店」という標識にある。

2020年に施行された改正・健康増進法では、飲食店では「原則」全面禁煙となった。店内でタバコが吸えるのは、完全分煙ができる「喫煙室」を設置した場合のみ。

だが、店全体で喫煙できる例外として、「喫煙目的施設」というカテゴリーができた。本来、バーやスナックなどが対象となる。

いくつか条件があり、その一つが「食事」。おつまみなどの提供は認められているが、ご飯・麺類など「主食」の提供原則NG(ランチなどでは可能)となる。

そのため、この店では、自治体が指導に来た場合に備え、メニュー上で、「ご飯もの」とはっきりとわからないようにしているという。

喫煙目的施設では“ご飯もの”が提供できないルールについて店長は「飲んだら、締めも食いたい。主食をなくしてもいいが、お客さんに(食べたいと)言われるから」と話す。

この店では、来店者の7割ほどが喫煙者。

お客さんの意見を聞いてみると・・・

喫煙者の客:
きっちり棲み分けをできたらいいんじゃないですか、メリハリを持って。タバコを吸いたい人って、多分ゼロには絶対的にはできないと思うので。

分煙ができればいいという声がある一方・・・

禁煙をしているという客:
くさいですし、嫌いな人は嫌いじゃないですか。僕は喫煙者の肩身が狭くなっているのは、国として良い方向に行っていると思う。

様々な意見がある中で、店長は、「喫煙目的施設」で、いわゆる居酒屋営業を続ける理由について「売り上げのため。タバコを吸えるお店なのに、飯がうまいっていうイメージをうちは持ってもらっている」と説明する。

受動喫煙を防ぐため、飲食店は「原則禁煙」のルールがあることについて質問すると・・・

店主:
子どもはダメとか、未成年の立ち入り禁止はした方がいいと思う。それ以外は、もう大人に関しては自分で選ばせろって、国が決めなくても自分で決めるし。

客が選択できるよう、吸える店、吸えない店が明確に分かれていれば、問題ないと主張した。