広島の街をぐるりと巡る新路線が動き出す。
広島電鉄(広電)の「循環線」が3月28日に開業。報道向けの試乗会を体験したテレビ新広島の加藤雅也キャスターと野川諭生キャスターの目には、いつもと違う景色が映った。
レトロ車両で出発! 広電初の“循環線”
試乗会は広島市中区の千田車庫から始まった。
2人が乗り込んだのは、1971年に神戸市電から広電へ移籍したレトロな車両。方向幕に紫色のラインカラーで「循環線(内回り)」と表示されている。
循環線は市内中心部にある紙屋町東や八丁堀などの電停を回遊し、都心へのアクセスをスムーズにするルートだ。
今回は内回り(反時計回り)で試乗した。広電本社前を出発し、皆実町六丁目から広島駅方面へ向かう。しかし、この循環線は広島駅を経由しない。駅前大橋ルートに入らず、そのまま段原一丁目を抜けて的場町電停へと進んだ。
「次は的場町、的場町です」
車内に響くアナウンスに、鉄道ファンの野川キャスターがすかさず反応する。
「このあと、英語のアナウンスの“番号”を聞いてみてください」
流れてきたのは…
「マトバチョウ、エルワン」
「L1です!ループラインの“L”」
小さな変化も見逃さない野川キャスター。その横で、加藤キャスターが薄ら笑いを浮かべている。
「おお~!」 新軌道のカーブに大興奮
的場町電停は、元々の電停を解体し、新たな軌道を敷設。スタイリッシュなガラス張りに生まれ変わった。
視界に軌道のカーブが広がる。広島駅を横目に、車体は大きくそれていった。
加藤キャスターが思わず声を上げる。
「おお~!ちょっとアトラクション的な楽しさもあると個人的には思いますね」
野川キャスターも負けていない。
「新しい広島駅ビルと駅前大橋をのぼっていく電車が見えますよ!」
ルートが変わるだけで、景色の印象も変わる。いつもの街がほんの少し新しく見える瞬間だ。
“同じ名前”が2回続く…奇妙な電停
循環線には、初めて乗る人を少し戸惑わせるスポットがある。
「皆実町六丁目です」
一度止まって、再び電車が動き出すと…
「続いて、皆実町六丁目です」
また同じ車内アナウンスが流れる。“同じ名前の電停に続けて停車する”という奇妙な現象だ。
実はこの皆実町六丁目電停、位置の異なる2カ所が存在し、循環線ではその両方に止まる。「1つにすればいいのでは?」と思うかもしれないが、ここは2つの路線が合流する交通の要所。構造上、統合は難しいという。知らずに乗ると、時間を“ループ”しているような不思議な感覚になるかもしれない。
広島観光の新しい楽しみ方へ
「走る電車の博物館」とも呼ばれる広電。観光客にも循環線を楽しんでもらおうと、歴史ある車両を運行させる計画もあるという。
「目当ての車両に乗ることも楽しみ方のひとつ」
「ぐるぐる回るので、特に用事はないけど乗ってみようか、というのもアリですね」
2人は約50分かけて循環線を一周した。
利便性の向上はもちろん、移動のためだけではなく、乗ること自体が目的になりうる路線。沿線には都心回帰した広島大学法学部もあり、法学部長の吉中信人教授は「循環線が新しい観光の目玉になるかもしれない」と期待を寄せる。
ぐるりと一周して、また同じ場所へ戻る。
気づけばもう一周…。そんな乗り方も、たまには悪くない。
(テレビ新広島)
