SDGsの取り組みをお伝えする「フューチャースマイルプロジェクト」。
今、広島市内で、障がいのある人たちが、様々な方法で描いた、アート作品の展覧会が開かれています。
展覧会を企画した女性の取り組みに密着しました。
【KONKON・佐々木恵理子さん】
「以前報告した会社の広島本社で本田さんの作品を展示していましたが、これが終了しました。売り上げの6,600円を今日お持ちしました。素敵な作品を貸してくれてありがとうございました」
障がいのある人が描いたアート作品の貸し出しサービスを行っている佐々木恵理子さん。
障がい者の描いた作品を佐々木さんが仲介して、ユーザーに貸し出し、そのレンタル料が、作者に「工賃」として、届くというシステムです。
【KONKON・佐々木恵理子さん】
「50点くらい借りられないかという話もありました。その時は(事業を)始めたばかりだったので私の方で対応できなかったのですが、私が思っていたよりもみなさん関心があるんだなとやっていて思います」
障がい者のアート作品が、社会的に評価されるケースはしばしば見られます。
しかし、そうした場合でも、ほとんどの事業所では日々の業務に追われてビジネス化することが難しいのが現状です。
【社会福祉法人あさみなみ・松田泰理事長】
「発信したいということはみんな思っていると思うが、そこがうまくつながっていかない。日々作業に追われていたりプログラムの消化に追われていたり、そのあたりを佐々木さんのような活動は力になると思う」
以前、福祉事業所で、働いていた佐々木さんは、そんな事情を痛感していました。
そこで、自分が情報発信しようと会社を立ち上げたのです。
佐々木さんの取り組みに賛同する人たちの輪が、広がり始めます。
広島市の薬品や医療機器などの卸し会社。
社員たちが、応援しました。
【エバルス管理部・那須智春部長】
「こういう取り組みは会社がお金を出す事が多いのですが、それだと従業員の自分事にならないと思って、うちの会社で初めて従業員クラウドファンディングという形で従業員も少しずつ出資してレンタルする形でやっているので、従業員も参画意識があって楽しみでやっている」
佐々木さんの取り組みも進化していきました。
原画からレプリカを作りレンタルする方法です。
レプリカにするのには、原画の保護だけでなく、障がい者の作品ならではの理由がありました。
「作品を買い取りたい」という申し出があったケースで、問題が発生します。
【KONKON・佐々木恵理子さん】
「知的障害がある方も多いので『売ってもいいですか?』と聞いて『いいよ』と言ってくれるかもしれないですが、それが本当に「いいよ」なのかが確かめきれないところがあります。原画を大切にしたいからこそレプリカでやりたい」
集まった原画から、レプリカにする作品をデザイナーと一緒に選んでいきます。
【タメンタイ合同会社・アートマネージャー 山本功代表社員】
「いい作品を選ぼうというよりは、今回の目的が複製画を作って皆さんに貸し出して見てもらおうということなので、全体のバランスで色々な作品を幅広く選べる感じにしようと思って」
【KONKON 佐々木恵理子さん】
「その作品がすごく良くてもトリミングが・・・」
【タメンタイ合同会社 アートマネージャー 山本功代表社員】
「横長のサイズじゃないとこれはきっと成立しないなみたいな作品だったり、これを横を切ってというのは心苦しくて難しい」
佐々木さんは、県内の多くの事業所から作品を集めています。
障がいのある人の作品の描き方は様々です。
この施設では「視線入力」という方法で描いています。
【社会福祉法人 交響・段原宏文さん】
「ここの視点で見ている人の眼球をとらえて、その(眼球の)動きが画面に反映されます」
「視線入力」とは、専用のセンサーで目の動きを追跡し、「見つめた場所」でマウス操作や文字入力を行う技術です。
目の動きで意思表示やパソコン操作ができる支援技術として、福祉の現場などで活用されています。
【社会福祉法人 交響・段原宏文さん】
「手足に不自由があって自分では動かせないという人もこの「視線入力装置」を使う事で世界とつながるし幅が拡がっている」
この作品は、「視線入力システム」を使って描かれました。
広島市東区にある生活介護事業所「和音」。
【KONKON・佐々木恵理子さん】
「作品展を見に来ましたとお伝えいただければ、入ってご覧頂くことが出来ます。ここからどなたでも入って頂いて奥の方にお進み頂ければと」
佐々木さんが製作したレプリカ作品の展覧会。
障害のある人が描いた作品をもっと多くの人に見てもらいたいと、施設のスペースを借りて企画しました。
【KONKON・佐々木恵理子さん】
Q:こんなに多くの作品の展覧会は初めて?
「初めてです」
こつこつと製作してきたレプリカ作品は、40点ほどになりました。
個性的な色使いや構図の絵が並びます。
【KONKON・佐々木恵理子さん】
「こだわりを言ってもいいですか。それぞれの作品の側面が違うんです。これは表が延長するようにしていたり、正面から見てもちょっと横から見てもしっかり作品としてきれいに見えるよう作っているんです」
作品の一つ一つに、作者のプロフィールも添えていきます。
佐々木さんが、時間をかけて丁寧に取材した内容が書かれています。
QRコードからは、更に詳しい作品の内容を知ることが出来ます。
障がいのない人たちにも作品を見てもらいたい。
障がいのある人たちが描いたアート作品の展覧会が始まっています。
【スタジオ】
独創性であったり色使いであったり、本当に個性が輝いていましたね。
【コメンテーター:広島大学大学院・匹田篤准教授】
「素晴らしい作品ですね。障がい者アートは海外では“アールブリュット”と言われていて、特にアメリカとかヨーロッパではすごく評価が高いんです。しかし、芸術は投資の対象になることもあり、障がい者の権利、正当な対価とか障がい者が置いていかれない作者の権利をしっかりと支える、そういうサポートが重要です」
この展覧会は、今月27日まで広島市東区の生活介護事業所「和音」1階で開かれています。
入場時間は、午前10時30分から、午後3時までとなっています。