富山県が17日に発表した新年度予算案では、「こども・子育て」関連の施策が大幅に増額された。前年度比で50億円以上増加し、総額は488億円を超える規模となる。新田知事は「『こどもまんなか社会』の実現に資する事業を積極的に検討し、予算を計上」したと述べている。

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3つの機能を集約する新施設と給食費負担軽減

新年度予算案の中でも規模が大きいのは、児童相談所や心理治療など3つの機能を集約した「こども安心センター」の新築工事費だ。同センターは来年4月の開設を予定している。

また、魚津市に来年8月開業予定の屋内型レクリエーション施設「新川こども施設」の整備・準備費も計上された。さらに、学校給食費の負担軽減のため、国と連携して市町村へ食材費を支援する費用などが盛り込まれている。

医療的ケア児と家族への支援強化

今回の予算案で県が特に力を入れるのが「医療的ケア児」とその家族への支援だ。医療的ケア児とは、日常的に人工呼吸器の装着やたんの吸引などが必要な子どもたちで、県内には200人あまりいるという。

19日の県議会厚生環境委員会では、インクルーシブ子育て応援「Kanon」代表の堀口里奈さんが現状と課題について説明した。堀口さんの息子は、生まれつき染色体に異常があり、知能や筋肉の発達に遅れがある。以前はチューブを通して直接胃に栄養を注入する「医療的ケア」が必要だったという。

堀口さんは医療的ケア児を持つ家族の状況について、「夜間の睡眠は細切れ、ケアから丸一日解放されることはない。日々、ぐっすり眠ることは難しく、疲弊しきっている。18歳までのカウントダウンが始まっており、成人以降の居場所がないことが大きな悩み」と訴えた。

レスパイトの重要性と病床削減撤回

多くの医療的ケア児が在宅医療を受ける中、24時間・昼夜を問わずケアを担う家族への支援が課題となっている。特に当事者家族にとって重要なのが、病院での短期入所・一時預かりなどで心身を休める「レスパイト(休息)」だ。

昨年秋、その短期入所を受け入れている県リハビリテーション病院・こども支援センターの病床数について削減の方針が浮上。堀口さんたちは当事者として「レスパイト」の重要性を訴え、その後、方針は撤回された。

この経緯について新田知事は「潜在的な需要というところまで十分に思いが至っていなかったと反省。包括的・総合的な医療的ケア児への対応。そしてそのご家族への支援。このようなことを県としてしっかり確立していきたい」と述べている。

新年度の支援策と当事者からの懸念

新年度、県は一時的に受け入れる医療機関について、病床や看護師の確保などに必要な経費を支援する。また、月に一度・1回あたり最大4時間の訪問看護の提供体制を整備する方針だ。社会全体で医療的ケア児とその家族を支える一歩と言える。

一方で堀口さんは、新たな事業について「在宅」と「預かり」では意味合いが異なり、訪問看護師も不足している中で対応できるのかといった点を問題に挙げた。当事者へのニーズ調査がないまま取り組みが進んでいることに不安を感じているという。

「訪問看護師も本当に大変なのに夜間でも対応していただけるのか。18歳以上の『医療的ケア者』成人にもこのサービスがちゃんと対応できるのか。なかなか今回の新事業で『レスパイト』の代替になるとは言い難いなと」と堀口さんは懸念を示している。

本当に必要な支援が必要なところにしっかり届く、子どもや家庭の目線に立った事業の見極めがなされているのか、今後も注視していきたい。

(富山テレビ放送)

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