不祥事が相次いだスポーツ界 求められるインテグリティ(高潔性)とは

カテゴリ:国内

  • 2020年に向けて「インテグリティ(高潔性)」を確保することが喫緊の課題
  • 国や統括団体が外部からガバナンスを効かせ指導する必要性
  • 求められる「自主自立」を実現するには・・・

不祥事が相次いだスポーツ界

今年はスポーツ界での不祥事が相次いだ年だった。日大アメフト部の危険タックル問題、女子レスリングや女子体操のパワハラ騒動、そしてボクシング連盟の不正疑惑。

柴山昌彦文部科学大臣は先日、フジテレビ単独インタビューの中で、日大アメフト部の問題について尋ねると、「これだけコンプライアンスについて大きく取り上げられることになれば、少なくとも大学経営がこれまでと同じであってはならないということは紛れもない事実だと思っています」と語った。

これは言うまでもなく、プロアマ問わずスポーツ界全体に共通することだろう。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、スポーツ界に「インテグリティ(高潔性)」を確保することは、喫緊の課題なのだ。

スポーツ界にインテグリティ(高潔性)の確保を

柴山大臣が求めてきたのが、国とスポーツの統括団体が集まり、各競技団体のガバナンス確保を目指す「円卓会議」の設置だ。その「円卓会議」のキックオフに向けた会議が、先週20日国会内で行われた。

会議にはスポーツ議連でPT(プロジェクトチーム)座長を務める、遠藤利明元オリパラ担当大臣のほか、鈴木大地スポーツ庁長官、全柔連会長の山下康裕氏、アスリート代表としてプロゴルファーの横峯さくら氏らが出席した。

また、元貴乃花親方の花田光司氏も会議に一般参加した。花田氏が所属した日本相撲協会も、元貴ノ岩の暴力事案など今年は不祥事が相次いだ。花田氏も関心が高かったのだろうか、会議で配られた「柔道界からパワハラをなくそう」というパンフレットを熱心に見入っていた。

指導・監督するのはどこ?

遠藤座長は冒頭の挨拶で、これまでの議論の経緯について、「国、つまりスポーツ庁がもっとしっかり競技団体を指導・監督するべきだという意見と、JOC(日本オリンピック委員会)やJSPO(日本スポーツ協会)といった統括団体が、指導・監督するべきだという2つの意見に分かれた」と説明した。

これまで国や統括団体は、競技団体の不祥事に対して積極的に介入することはなかった。各競技団体の「自浄能力」に期待したといえば聞こえはいいが、そもそも当事者能力があれば不祥事が相次ぐことはなかったはずだ。

いずれの競技団体の問題にも、特定の人物に権力が集中したことに共通の原因があり、まさに国や統括団体が外部からガバナンスを効かせ指導する必要があったのに放置されてきた。

鈴木長官は、スポーツ庁が同日発表したアクションプランについて述べ、「1:ガバナンスコードの制定、2:円卓会議の設置、3:JSC(日本スポーツ振興センター)の機能強化の3つを早急に対応する」と強調した。

ガバナンスコードは、来春の制定を目指して検討ということだが、2020年にオリンピック・パラリンピックが迫る中で、さらなるスピードアップが求められるだろう。

求められる自浄能力

会議後、全柔連会長であり、JOC(日本オリンピック委員会)理事を務める山下氏が、記者団の取材に応じた。これまでの議論で山下氏は、国か統括団体かの二者択一ではなく、ハイブリッドによる指導監督を求めてきたという。

「正直思ったことは2つです。これを追い風にして、スポーツ界がインテグリティを重視する。もう1つ、現場経験のない人が、ただかたちだけはめていこうというのは非常に怖いので、スポーツ界の現状をよく知っている、しっかりした見識を持っている人にぜひ入ってほしいと思います」

山下氏は1984年ロス五輪で、無差別級優勝。引退後全柔連で、2013年の女子柔道の暴力問題をうけて、改革プロジェクトの旗振り役となった。

「もう一つ言うと、競技団体の中には一生懸命やっているところもありますが、アジア大会でもあったように(※男子バスケの一部選手の不適切行動)、一生懸命頑張っているところも含めて全部がそういう風にみられる、それが残念でならない」

「自主自立というなら、しっかり自立した開かれた風通しのいい団体にしなきゃ。自分たちを変えられなくて、それは国民が納得しないんじゃないかと、一国民としてはそう思います。自主自立が望ましいですが、高く達成するべきものが求められると。私は柔道界で経験してきているから、腹をくくっていく気持ちが出てるのかなと思います。JOCの中には一生懸命やっている人がいっぱいいます。覚悟を持ってやっていきたいと思います」

スポーツ界は未来をいきる子どもたちの夢である。その夢を我々が、決して壊してはならない。スポーツ界にはさらなる自浄能力が求められている。

(執筆:フジテレビ 解説委員 鈴木款)