ブラック教師、大学のコンプラは変わるのか? 柴山文部科学大臣に直撃インタビュー

カテゴリ:国内

  • 教師の働き方改革は、部活動も含めスクラップ・アンド・ビルドが必要
  • ICTを活用した、客観的な勤務時間管理が必要
  • 「大学経営がこれまでと同じであってはならないということは紛れもない事実だ」

2020年に行われる教育大改革に向けて、ブラック職場と化している教師の働き方改革は?そして東京医大の不正入試や日大アメフト問題で浮かび上がった大学のコンプライアンス問題は?学校教育の司令塔、柴山昌彦文科大臣に、編著「2020教育改革のキモ」をもつフジテレビ解説委員鈴木款が直撃インタビューした。

スクラップ・アンド・ビルドが必要

ーー教師の働き方改革についてお伺いしたいと思います。いま教職員の職場がブラック職場と言われていて、長時間労働が問題になっています。その要因の一つとして、放課後や土日に行われる部活動があげられますが、これについてどう思いますか?

柴山文部科学大臣:
いまブラックという言葉を使われましたが、そういったイメージが教師を志す学生さんたちに非常に大きく影響して、志望者が減っているというような実態があるわけですね。成り手がいなくなれば、また教師の負担が増えてブラック化が進むという悪循環になってしまっていると思います。それがもたらすものが、学校教育の質の低下ということになってしまうわけですから、まさしく働き方改革は喫緊の課題です。

まずは定数の問題もありますけど、教師でなければできない業務以外の多くの仕事を教師が担っている現状を、抜本的に変えることが何よりも重要です。現に中教審の答申素案においてもそういった問題意識の下で、勤務時間管理の徹底ですとか業務の明確化・適正化、そのための組織運営体制の見直し等々、提言がされているわけです。それによって文部科学省としてもしっかりしたメッセージを出さないといけませんし、部活動もスクラップ・アンド・ビルドをしていかなければいけないと思っています。

 ーー部活動のアウトソーシングについてどうお考えですか?

柴山大臣:
部活動のアウトソーシングは、私は有意義な取り組みではないかなと思っています。実技指導の専門性がある外部人材を、学校職員として積極的に参加させるためにはどうしたらいいんだろうということで、平成29年度に「部活動指導員の制度化」を行い、また今年度からは「部活動指導員の補助事業」も実施をしています。部活動のガイドラインの策定を、今年3月に運動部、今年12月下旬に文化部で予定していますが、学校と地域がしっかり役割分担して部活動指導のための改革をしていくんだという内容にしています。そういうことも含めて、地域で部活動に代わりうる活動の機会を得るという先進的なモデルも、検討を進めていきたいと思います。

ICTを活用した勤務時間管理

 ーー教師の長時間労働の原因には、もちろん仕事が多いということがあるのですが、もう1つは時間の観念が我々のような企業で働く者と違うということが指摘されてます。この原因と言われている「給特法」を、今後見直すべきじゃないかという声もあがっていますが、どう思いますか?

柴山大臣:
これについては、私は問題を整理する必要があると思っています。確かに教員には、職務の特殊性、つまり児童・生徒にしっかりと向き合う時間を取らなければいけないということから、時間管理に若干なじまないという概念がまかり通っていた部分があります。

ただ、「働き方改革推進法」による、改正後の「労働安全衛生法」では勤務時間の把握が事業者の義務として明確化されたわけですので、教師もICTを活用したり、あるいはタイムカードを打って、勤務時間を客観的に把握し、集計するということを進めないといけないと思っています。

そのような中で、もしタイムカードの設置に経費が必要だということであれば、行政経費として地方財政措置をされているわけですから、しっかり活用してほしいと思っています。またICTを活用した勤務時間管理についても先進的な事例があります。地方自治体の実態に応じて、「統合型校務支援システム」と「勤務時間管理システム」の連携、一体活用などをしてほしいなと思っています。

ーー教師の長時間労働の抑制のために、留守番電話の活用もありますよね?

柴山大臣:
いま留守番電話も結構活用されています。緊急時の連絡に支障が出ないように、教育委員会の事務局などに連絡方法を確保することを前提としてですが、留守番電話やメールを有効に活用することで、劇的に時間外勤務が縮減されるという事例がありますので、支援していきたいと思っています。

給特法の改正については、確かに教師は通常の労働者とかなり違う制度設計になっていて、教師の勤務の本質にまでさかのぼった議論になってきます。なので、まずは給特法の基本的な枠組みは前提としつつ、業務の明確化や適正化に徹底的に取り組むべきではないかと思います。中長期的な課題としては、もちろん給特法そのものについても検討することは考えられると思っています。

「大学経営はこれまでと同じであってはならない」

ーーあらためて今年を振り返ると、大学のコンプライアンスの問題がこれほど浮かび上がった年はなかったかなと。日大アメフト部の危険タックル問題や、東京医大をはじめとした不正入試問題があって、「文科省は何をやっているんだ?」と。私立大学の経営に対する文科省のグリップについて、大臣はどうお考えですか?

柴山大臣:
まず前提となる認識ですけど、社会のコンプライアンスに対する意識が非常に高まってきて、これまで埋もれていた様々な事柄がこれは見過ごしてはならないと表に出てきた部分が大きいのであって、ここ数年で大学のあり方がどんどん野放図になってきているということでは必ずしもないのかなと思っています。これだけコンプライアンスについて大きく取り上げられることになれば、少なくとも大学経営がこれまでと同じであってはならないということは紛れもない事実だと思っています。

特に私立大学は、社会からの信頼と支援を頂く中で重要な役割を果たしているわけですから、建学の精神や学問の自由も頭に入れながら、自律的で意欲的なガバナンスの改善、法人経営の強化といったことが必要になってきています。文科省としても、教育の質に応じたメリハリのある私学助成、私立大学の連携・統合支援、さらには経営指導の強化、破綻処理の円滑化などを通して、大学改革をしっかり導いていきたいと考えています。

ーー私学助成でいうと、不正入試を行った大学にはペナルティとして減額するのも考え方としてあります。大臣は私学助成のあり方についてどう思いますか?

柴山大臣:
こういった事柄に対して、私学助成は大きな要素なのかなと思っています。「私立学校振興助成法」では、私立大学が教育条件や管理運営で適性を欠く場合、補助金を減額または不交付とすることができる立て付けになっているわけですね。これについては来年1月に開催される日本私立学校振興・共済事業団の運営審議会で、個々の事案の具体的な内容を踏まえて減額の要否および幅をどうするかなどの議論がなされる予定です。まあその結果がどうなるかということは現時点では予断を持って私のほうからは申し上げるのは控えたいと思いますけど、いまおっしゃったことは極めて重要だと思っています。

(執筆:フジテレビ 解説委員 鈴木款)

【関連記事】テクノロジーは学校教育を救うのか? 柴山文科大臣に直撃インタビュー

世界に負けない教育の他の記事