外交・防衛・経済 石破茂と安倍晋三は何が一番違うのか

平井
そして今、石破さんは、総理大臣になるかならないかというところまできておられるわけです。
一部報道で、総裁選の出馬表明を少し待つというものがありましたが、こういう状況で、9月もすぐですが、まだ本格的にやろうという雰囲気ではないのですか?

石破:
最もいい時期は、当然探らなければならない。
同じことを言っても、いつ言うかで全然違いますからね。
そこはTPOというものがあるのではないですかね。

平井:
国民が一番知りたいのは、石破さんが首相になったら、安倍さんとどう違うのか、ということ。
外交、防衛、経済において。

安倍さんが総理になった時は、「この人が総理になったら金融緩和するんだな、おそらく外交・防衛でも割と強硬姿勢なんだろうな、経済政策も小さい政府なんだろうな」とわかったのですが、どこが一番違うんでしょうか?

石破:
違いというより「その先」ということでしょうが、いかに経済を持続可能なものとするかということであり、いかにしてこの急激な人口減少というものに歯止めをかけるか、そのための最も大きなカギは「地方」だと思っています。

地方の潜在力をいかにして引き出して、この急激な高齢化・人口減少に対応し、経済のサステナビリティに寄与するかということだと思います。

大胆な金融緩和、機動的な財政出動は、基本的に継続します。
大胆な金融緩和を否定しないし、金融緩和をやめるなどということもないでしょう。

財政出動も当然必要なものがあり、特に交通インフラを含めて、きちんと整備をしていかないといけないし、防災・減災はシェルターの建設を含め、非常に立ち遅れていると思っています。

ですから、金融緩和を突如やめたり、財政出動をやめたりということはあり得ない。

問われているのは、その次をどうするのかということだと思っています。
そこにおいては、魅力的で多様な人生の過ごし方を踏まえて、労働環境のあり方を変えなければならないということが当然含まれます。
 

 
 
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「安全保障では日本の防衛力をさらに実効性のあるものに」

石破:
安全保障で言えば、日本の防衛力を本当に実効性のあるものにしていきたいと思っている。
もちろん外交あっての安全保障・防衛だけれど、防衛力が外交の裏付けとなる面もある。
法的に見ても運用面で見ても、まだ高めていかなければならないものがたくさんある。

特に、即時に有事と認定はできないが我が国の主権を侵害する態様、いわゆる「グレーゾーン」といわれる事態に対する対処を十全のものとすることは喫緊の課題だし、専守防衛を貫くためには、人員・弾薬・燃料なども常に点検しなければならない。
適切な抑止力を維持するには、不断の見直しが必要です。

平井:
石破さんは以前から領域警備法の必要性を訴えておられ、番組でも議論しました。
安倍政権は、そこにあまり積極的でないように見受けられます。

石破さんは総理になったら、その法律はやはり作りたい?

石破
法整備かどうかは検討を要しますが、誰が総理であっても、やらなければならない。
憲法改正は国民の納得を得るまで時間をかけてもいいと思いますが、グレーゾーン事態は明日起こるかもしれないことですから。
明日起こるかもしれないので。

領土は国家主権の重要な要素であり、それが外国勢力によって侵された時に、一義的に警察権で対応するというのは国際法的に見ても合理的ではない部分がある。
このことはきちんと整理しなければならないと思っています。
 

「健康な長寿を実現することで財源を確保する」

石破:
もう一つ、国の方向性として、いかにして人生90年時代、健康で長生きできる日本人をつくっていくかということにさらに集中していかなければならないと思っています。

健康な長寿というものを実現することで、人生のあり方も変わるでしょう。
医療・介護はさらに質的向上を図りますが、そのあり方も変わるります。
成長産業としての医療や介護も構造改革によって実現できます。
地方創生と健康長寿、生産性向上などのキーワードによって、持続可能な経済成長は達成できるものと思っています。
 

 
 
平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。