こどもの貧困が6人に1人。こどもの人口は36年連続減少し過去最少。
危機的状況にある日本で、子育てを社会全体で支援するための財源として、いま政府与党が検討しているのが「こども保険」の導入だ。
この議論を主導する自民党小泉進次郎議員が、都内で会見を行い、こども保険への熱い思いを語った。
「高齢者に厚い社会保障を、全世代型にシフトする突破口にしたい」
小泉氏はこども保険導入の狙いをこう述べたうえで、日本の現状について、「医療、介護、年金は制度化されて、高齢者を社会全体で支える仕組みが整った。しかし、こどもや子育ての費用を社会でみていこうという制度はまだ未整備のままだ」と強調した。
団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降、日本は急激な少子高齢化社会に突入する。
これからの高齢者を支えていくのはいまの子どもたちだが、その子どもたちが、必要な保育や教育を受けられないリスクが増えているのだ。
「こども保険の仕組み」とは
こども保険の仕組みはこうだ。
まず、サラリーマンは現在社会保険として15%程度の保険料を支払っているが、これに加えてこども保険を料率0.1%で創設(年収400万円で月240円負担)。
確保した約3400億円の財源を使って、就学前の子どもの児童手当に月5千円上乗せし、幼児教育や保育の負担を軽減する。
その後保険料率を0.5%に上げ(年収400万円で月1200円負担)、約1.7兆円の財源を確保。これは未就学児1人あたり月2万5千円の上乗せで、幼児教育・保育は実質無償化となる。
幼児教育無償化の財源としては、こども保険のほかにも消費税や教育国債が案として上がっている。
しかし小泉氏は、消費税は「少子化対策待ったなしの中で、スピード感をもって予算を用意すると考えると現実的でない」とし、教育国債についても「さらなる赤字国債の発行をどう説明するのか?」と疑問を呈する。
一方、こども保険については3月に発表されて以来、さまざまな批判がされてきた。
その代表的なものが、「子どもがいないと、負担だけじゃないか」だ。
これに対して小泉氏は、「社会全体で子どもを支えることが、ひいては将来誰もが恩恵を受ける年金・医療・介護の給付の質とサービスを決める。直接的でないかもしれないけど、子どもを暖かく支えるのが社会全体の利益になる。子どものいない私が言っているのだから、説得力あるでしょ」とジョークも含めて返す。
また、社会保険料として現役世代だけが負担することに対しても、批判がある。
慶応大学の中室准教授が「教育の経済学」で唱えているように、幼児期にきちんとした教育を行うことが、最も投資対効果が高い。
こどもにきちんとした教育を与えることこそ、社会の安定的なインフラにつながる。
その恩恵とコストは、すべての人で負担するべきだ。
筆者はこども保険に大賛成である。