韓国
年金など社会保障制度が脆弱な韓国では、高齢者の貧困率がOECD加盟国の中で最悪の43.4%に上っています。こちらはソウルを代表する観光地・インサドン近くの公園ですが、行く当てのない高齢者が大勢集まっています。
この記事の画像(13枚)70代男性:「この付近には無料で食事できる場所がある。生活が苦しいので自宅から来ている。新型コロナのワクチンはまだ打てていない」
また、ここには、貧困のため売春に手を染める高齢女性も集まります。彼女たちはこちらの『バッカス』という栄養ドリンクを売りながら売春を持ち掛けるため、「バッカスおばあさん」と呼ばれ、高齢者の貧困の象徴になっています。少子化が世界最悪のスピードで進み、2045年には日本を超える世界一の高齢化社会を迎えるとされる韓国。困窮する高齢者をどう支えていくのか、待ったなしの課題となっています。
米国・ロサンゼルス
ダウンタウンの高速道路沿いに、大きなテントがひしめき合って並んでいます。こうしたホームレスの人たちをめぐる状況は深刻さを増しています。カリフォルニア州のホームレス人口は、2020年に全米最多の16万人以上に達し、コロナ禍で更に増えたとみられます。
家を失うきっかけは、失業、家賃の高騰、薬物依存など様々ですが、ホームレスの集まるエリアではケンカや火災などトラブルが多発。ホームレスに歩道が占拠されたため、車道を歩いていて車にはねられたという女性が、行政を提訴する事態も起きました。1年後には州内のホームレスが10万人以上増加すると推計する調査もあり、根本的な解決が見出せない状況が続いています。
米国・ニューヨーク
高層ビルが立ち並ぶマンハッタンにあるこちらの公立学校には「フリー・ミール」の表示が掲げられ、無料の食事が振る舞われています。ニューヨーク市では貧困家庭を支援するため、夏休み中の学校で「フリー・ミール」を提供。食事は感染防止のため個別に分けられ、子供だけでなく貧困に苦しむ大人も対象に、市内およそ400の拠点で配布されています。
新型コロナウイルスの影響で失業者が増え、市内のフードバンクでは食料の提供が6割以上も増えました。世界で最も多くの億万長者が住むアメリカですが、新型コロナを機に更に広がった格差をどう解消するのか、重い課題となっています。
イギリス
ウィリアム王子とキャサリン妃夫妻が暮らすケンジントン宮殿の近くに来ています。このあたりは市内でも最も裕福なエリアの一つですが、ここでも生活が厳しくなる人が増えているようです。
イギリスには「ユニバーサルクレジット」という給付制度があり、所得の低い人や無収入の人に基本額を支給しています。ここケンジントン・チェルシー地区での給付申請者はパンデミック前(2020年2月)はおよそ4200人だったのが、現在は9000人以上と倍増しました。
政府は2020年4月のロックダウン以降、給付金を週20ポンド増額していましたが、これを10月には取りやめる方針で、給付を受けている人の生活を直撃する恐れもあります。新型コロナウイルスの長期化で経済回復が遅れる中、貧困対策はイギリスでも大きな課題です。
フランス
ワクチン接種などを証明する「健康パス」の提示が義務化され、接種が進まない貧困層との間で新たな格差が生まれる懸念が出ています。フランスでは飲食店や公共交通機関などでワクチン接種や陰性を証明する「健康パス」の提示が義務化されたのを受けて、ワクチン接種が加速しています。
一方、低所得者やホームレス、移民などの接種率は低いままで、各所で健康パスの提示が義務化されることにより、社会から一層孤立するとの懸念が出ています。貧困層への出張接種を行っている国内のNGOは、接種態勢が不十分だとして改善を訴えています。
デルタ株が猛威を振るうなか、ワクチン接種をめぐる「自由」だけでなく「公平さ」もまた求められています。
ロシア
ロシアでは全人口の12%に当たる、およそ1800万人の2021年第一四半期の収入が政府の貧困基準を下回り、購買力も軒並み低下するなど日々の暮らしへの不安が積もりに積もっています。ロシアでは月収が1万7000円未満の貧困層の割合がコロナ禍で上昇、貧困リスクが深刻化しています。また、物価上昇率は6.68%に達し家計を圧迫。主食のジャガイモなど14品目で購買力が最大30%も下がっています。
市民:「普段の買い物の場所を高いスーパーから(安い)市場に変えた」
プーチン大統領は2024年までに貧困層の半減を目指していますが、経済回復までの長いトンネルの出口は、まだ見えていません。
中国・北京
中国では子供の教育費用が年々高額化し、少子化の一因ともなるほど、教育格差が深刻化。中国政府は思い切ったショック療法に踏み切りました。
ここは北京大学附属中学、名門校の近くと言うことで学習塾が多いエリアですが、その塾が政府の指示を受けて一斉に閉鎖となりました。また別の塾では、机やいすが雑然と置かれたままになっています・・・。
大量閉鎖のきっかけとなったのは、政府が発表した「義務教育の学生の塾の負担を軽減する」という通知です。営利目的の塾を禁止する方針が突如打ち出され、教育業界は大混乱に陥っています。一方で、受験のプレッシャーや「子供にいい教育を受けさせたい」という親の思いは根強く、効果を疑問視する声もあります。
アフガニスタン
ユニセフ(国連児童基金)はアフガニスタンで100万人もの子どもたちが、重度の急性栄養失調に陥る可能性があると警鐘を鳴らしています。混乱が続くアフガニスタンでは、2021年に入り7月までに468人の子どもが紛争に巻き込まれて死亡していて過去最悪となっています。
状況はこの1カ月の間にさらに悪化し、何十万人もの子どもたちが、砲撃などを逃れ避難しているといいます。コロナ禍での社会経済的な危機に加えて、干ばつも悪化していて、飢えに苦しんだり、学校に通えない子どもたちが増えています。ユニセフは約330人のスタッフが現地に留まり活動を続ける一方、武装勢力タリバンに子どもや女性の安全を守るよう訴えています。(バンコク支局取材)
トルコ
アフガニスタンからのさらなる難民の流入に、トルコが警戒を募らせています。
タリバンのアフガン制圧を受け、トルコのエルドアン大統領は「イラン国境を超えてくるアフガン難民の波に直面している」と表明。実際、上半期の不法入国者のうち最も多かったのがアフガン人で、政府は態度を硬化させ、国境に全長300キロにわたる壁を建設しています。
8月前半には首都アンカラでトルコ人とシリア難民が衝突し、死者も発生しました。既にシリアから370万人の難民を抱え、貧困や格差の問題が深刻化し、国内で反難民感情が高まる中、政府は難しい舵取りを迫られています。
米国・ワシントン
アフガニスタンから命からがら逃げてきた人たちがワシントンの空港に続々と到着しています。空港には連日数百人が到着し、家族らが涙ながらに再会を喜んでいます。ビーチ・サッカーアフガン代表のアザド選手は、激しい銃声が響く緊迫した状況の中、家族とともにカブールを脱出しました。
アザド選手:「午前4時10分です。カブール空港、8月18日」「とても危なかった」
別の映像には武装勢力タリバンが空港周辺をパトロールする様子も。8月末のアメリカ軍撤退期限が迫る中、空港周辺には退避を求める人が殺到。アフガン協力者の退避がどこまで進むか不透明な状況のまま、撤退へのカウントダウンが加速しています。
中国・上海
中国が台湾の有事を念頭においたとみられる軍事訓練を活発化させています。こちらは、中国の砂漠地帯で行われた新型の短距離弾道ミサイルの発射訓練の様子。中国メディアによると、「東風15」の改良型と見られます。過酷な自然環境と電波状況の中で数百キロ離れた目標に正確に命中し、攻撃と防御のレベルが強烈に向上したとされます。
また中国メディアは、この前後10日間ほどの間に、台湾周辺だけでなく、沿岸部の3つの海域で実弾訓練が行われたと報道。半月の“集中実弾演習”の背景には、台湾独立の動きを抑止し、アメリカをけん制する狙いがあるとしています。
【取材:FNN海外特派員取材班】