富山を代表する山「剱岳」。全国のクライマーにとって厳冬期の剱岳は「憧れの山」です。
そんな剱岳に挑む登山者たちを支えている山小屋を取材しました。
剱岳を間近に望む上市町伊折。伊折集落の先は除雪が行われないため、剱岳登山・早月尾根ルートの登山口「馬場島」へ行くには、約8キロを3時間歩きます。
標高750メートル「馬場島荘」です。2025年の大晦日、登山者のための朝食の準備が始まりました。
馬場島荘の管理人である池田則章さんは「天気次第。剱岳に登れるのは5~10年に1度」と話します。
5年前まで山岳ガイドとして活躍した池田さん。厳冬期の剱岳は20回挑戦するも登頂を果たしたのはわずか6回。登はんの難しさに加え、日本海側の厳しい気象。わずかな判断ミスが命取りになる危険な山です。
こちらは、この日剱岳へ挑むパーティー。
*山岳ガイド 本郷博毅さん
「東京、大阪、松本から」
*お客さん
「初めて挑戦!」
*お客さん
「6回トライしたけど失敗。特別です。真冬の剱は、厳しい」
*山岳ガイド 本郷博毅さん
「行ってきます!」
*お客さん
「行ってきます、良いお年を!」
「馬場島荘」のとなりに建つのは、剱岳方面の冬山警備の要「馬場島警備派出所」。野中副隊長が出発したパーティーの状況確認に来ていました。
*富山県警察山岳警備隊 野中雄平副隊長
「雪のことかなんか言ってました?」
*馬場島荘 池田則章さん
「吹雪だって」
*富山県警察山岳警備隊 野中雄平副隊長
「だいぶ吹雪いとるがですね。もうやっぱ進むがも厳しいから降りてこられる」
*馬場島荘 池田則章さん
「安全第一で」
午後3時、朝に出発した4人のパーティーです。
*お客さん
「敗退です。仕方ない、この天気だ」
*山岳ガイド 本郷博毅さん
「恥ずかしながら帰ってまいりました」
*山岳ガイド 本郷博毅さん
「ちょっと行ってきます」
Qどうでしたか上は?
*山岳ガイド 本郷博毅さん
「吹雪、吹雪です」
荷物を置くとすぐに本郷ガイドが向かったのは「派出所」。剱岳へ上る登山者は行きと帰りに必ず立ち寄り、情報を共有します。
*山岳ガイド 本郷博毅さん
「1600の下まで、もうそこから上がれなかったです。無理せず帰ってきました」
小屋では新しい年を迎える準備が始まっていました。池田さんがとりかかったのは馬場島荘名物の「手打ちそば」です。
*馬場島荘 池田則章さん
「やっぱうれしいね。冬の剱岳に登るクライマートップクラスの人だから。そういう人接待できるのは幸せ」
夏場、15食限定で提供しているそばを宿泊者全員に年越しそばとしてふるまいました。
*客
「おいしい!」
年末年始、8日間だけオープンした「馬場島荘」、厳しい冬の剱岳のふもとで毎年、登山者たちを支えています。
馬場島荘はゴールデンウィークからオープン予定で、池田さんの手打ちそばと山菜の天ぷらを味わえます。
厳しい冬山ですが、去年12月27日から入ったパーティーは好天に恵まれ、剱岳登頂を果たしたということです。
写真と映像を送ってくださいました。岩手と青森から来た、及川さんと高野さんです。
*青森県 高野正則さん(58)
「夢でした。叶いました」
*岩手県 及川英明さん(54)
「ラッセル大変でした」
強いパーティーが入ってくれたおかげで何とか行かせてもらったという感じです。
岩壁と深い谷の険しい地形、冬の剱岳は、技術的に最も難しい山と言われています。
*岩手県 及川英明さん(54)
「剱岳山頂のほこらですね。雪かぶっています。毛勝三山ですね、富山平野もバッチリ見えています。向こうは立山方面ですね、剱沢です。南アルプスの方見えていますね、富士山も見えて、浅間山も見えていると、やったー!」
山頂の映像を撮影した及川さんは30才の時に登れず、今回54才で24年越しの登頂とのことでした。