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私たちThinkings株式会社は、採用管理システム「sonar ATS by HRMOS(以下、sonar ATS)」を提供するHR Tech企業です。「sonar ATS」の問い合わせ対応を担うsonar ATSヘルプデスク(以下、SHD)チームでは、問い合わせ対応に生成AIチャットボットを導入しました。
その結果、お客様が疑問をその場で解決できる場面が増加し、2025年11月のお客様の自己解決数※1は、2025年6月と比較して約4倍に増加。さらに、有人チャットによる対応数は前年同月比で33%減少し、お客様の利便性向上と運用側の負荷軽減を実現しました。しかし、その裏側には4年にわたる試行錯誤がありました。
本記事(前編)では、なぜチャットボットを導入したのか、そしてどのような壁にぶつかったのか──そのストーリーをお届けします。
後編はこちら
〈サマリ〉
・コロナ禍で決断!スピーディーな問い合わせ対応を目指し、チャットボットを導入
・適切な記事が提示されない…シナリオ型チャットボットの限界
・お客様の体験を改善するには?記事推奨型チャットボットに残された課題
SHDのミッションは「お客様が自走できる環境」を整えること
──まずは、SHDチームの役割と業務内容を教えてください。
坂本:「sonar ATS」をご利用いただいているお客様からの問い合わせ対応を行っているのが、私たちSHDチームです。お客様が自ら課題を解決できる環境を整えることをミッションに掲げ、お客様が閲覧するサポートサイト※2の記事改善やsonar ATSの機能改善提案なども行っています。
現在、問い合わせの受付体制は「メール」「お問い合わせフォーム」「AIチャットボット」「有人チャット」の4つです。AIチャットボットで解決できなかった問い合わせは、有人チャットへ引き継がれる仕組みです。AIチャットボットは、サポートサイトとsonar ATSの操作画面に設置されています。
sonar ATS操作画面のAIチャットボット
小林:普段は、「この機能を使うにはどうすればよいですか?」といった内容から、採用フローに関する相談まで幅広い問い合わせがあります。お問い合わせいただくお客様は、基本的に何かしらの課題を抱えていらっしゃるため、安心感を与える表現を意識しています。また、応用しやすいようにサポートサイトの該当記事を添えるなど、自己解決を促す対応も心がけています。
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小林 絵理:Support Team メンバー
星:当社では電話対応を行っておらず、お客様に「すぐに相談できない」と感じられてしまうリスクがあります。「電話がなくても早く解決できる」と感じていただけるよう、工夫を重ねています。さらに、メンバー全員の日々アップデートされるsonar ATSを学び続ける姿勢も、SHDチームの強みですね。
コロナ禍で進んだチャットボット導入
──2021年にチャットボットの導入を決めた背景には、どのような出来事があったのでしょうか。
星:導入のきっかけは、コロナ禍でコールセンターを閉鎖したことでした。コロナ禍でも採用活動は止まらないため、よりスピーディーに回答できるチャネルの必要性を強く感じていました。
そこで、チャット対応を導入する案が浮上しました。しかし、当時の体制や人員状況を踏まえると、有人チャットのみを導入するのはリスクが高いと判断しました。対応が集中する恐れがあるうえ、メールとチャットでは求められるスキルが異なるため、かえって満足度の低下を招く可能性があったからです。そこで、簡単な問い合わせに即時回答できる仕組みとして、チャットボットも併せて導入しました。
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前編では、2024年10月の記事推奨型チャットボット導入までを扱います。
最初の壁──シナリオ型チャットボットの限界
──当時導入されたチャットボットは、どのようなものだったのでしょうか。
星:当時は、現在のような自然な対話が可能な生成AIは存在しておらず、「機械学習」という言葉が一般的でした。そこで、業界で高い評価を得ていた機械学習ベースのシナリオ型チャットボットを導入しました。
そのチャットボットは、単なるQ&Aの蓄積ではなく、「この質問にはこう答える」「この場合はこう誘導する」といったシナリオを設定できる点が魅力でした。まずは、これをサポートサイト内に設置しました。
星 誠:Revenue DX Dept ゼネラルマネージャー
小林:当時の導入準備は大変だったと聞いています。まずは想定質問と回答を整理し、パターン化して学習させ、定期的に分岐の調整やチューニングを続けていたようです。
星:当時は、私を含めた2名で準備を進めていました。過去の問い合わせ履歴も参考にしていましたが、データは整っておらず…。不完全なデータと過去の経験則を頼りに、何とか対応していました。
──かなり苦労して準備を進められたんですね。導入後は、どのような状況でしたか。
坂本:当時のチャットボットは、登録された情報をもとにサポートサイトの記事を紹介する仕組みでした。そのため、質問の表現や言葉のニュアンスが少し違うと、適切な記事が提示されないことが多かったです。
また、最適な記事をピンポイントで提示できないという課題もありました。例えば、アカウント作成に関する質問には、「アカウント作成に関するご質問ですね。AとBとCの記事を参照してください」と回答します。お客様からすると、「どの記事のどこを見ればいいの?」となってしまいますよね。せめて、最適な記事を1つだけ提示できるようにしたいと強く感じていました。
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坂本 和輝:Support Team マネージャー
シナリオ不要の進化、それでも残った課題
──生成AIチャットボットの導入により、それらの課題が解決したのでしょうか。
坂本:実はもう一段階ありまして(笑)。最初のチャットボットから、現在使用しているサービスのチャットボットに切り替えました。サポートサイトの記事を提示する仕組みは変わりませんでしたが、入力内容に合わせて提示できるようになったんです(記事推奨型チャットボット)。
星:大きな変化は、シナリオ作成が不要になったことです。以前は細かい分岐設定が必要でしたが、切り替え後はサポートサイトの表現を整えるだけで精度が上がる。これは大きな進歩でした。
坂本:ただ、残念ながら期待したほどの成果は得られませんでした。理由の一つとして考えられるのは、記事の中から必要な情報を探すという体験が、お客様にとって従来と大きく変わらなかった点です。記事提示の精度は向上したものの、お客様側の負担感は想定ほど軽減されなかった可能性があります。
また、同時期にsonar ATSの操作画面にもチャットボットを設置したことも理由として挙げられます。お客様の自己解決が想定ほど進まず、結果として有人チャットへの流入が増えてしまいました。
「このままだと有人チャットのオペレーターが耐えられなくなるのでは」という危機感や、お客様の体験を大きく改善できていない状況を踏まえると、当時は絶望的な気持ちになりましたね。「早く生成AIチャットボットが進化してほしい」と切実に感じていました。
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後編では、アップデートした生成AIチャットボットが登場。お客様の自己解決数が4倍に増加した裏側や、AIによって生まれた組織の変化について語ります。
※1自己解決数:問い合わせに対する当社の回答が役に立ったかに対して、お客様が「はい」と評価したもの。もしくは、お客様が評価せず72時間経過したもののうち、AIがその回答内容と問い合わせ内容を比較し、回答が質問に対して適切であるか、関連性が高いかどうかを自動判定したもの。
※2サポートサイト:「sonar ATS」の操作ガイドやFAQなどの情報を集約したサイト。
▼後編はこちら
生成AI活用でお客様の自己解決数が4倍に──sonar ATSの「問い合わせ対応」進化の4年間【後編】
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