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私たちThinkings株式会社は、採用管理システム「sonar ATS by HRMOS(以下、sonar ATS)」を提供するHR Tech企業です。前編に続き、お客様からの問い合わせ対応を担うsonar ATSヘルプデスク(以下、SHD)チームに、「生成AIチャットボット導入の裏側と成果」を聞きました。
チャットボットを導入してもお客様の体験が改善されず、有人対応の負荷も減らない——。その壁を、チームはどう乗り越えたのか。後編では、2025年の転機と、生成AIの活用によって「人の価値」がどう高まったのかについて掘り下げます。
前編はこちら
〈サマリ〉
・地道な準備が生んだ、生成AIチャットボットへのスムーズなアップデート
・自己解決数4倍、有人対応33%減!成果から見えたAIがもたらす人の価値
・さらなる生成AI活用で目指すのは「強い組織」
スムーズなアップデートを支えたのは「地道な準備」
──生成AIチャットボットへとアップデートされたときは、どのような感触でしたか。
坂本:まさに「待ってました!」という感じでした。生成AIチャットボットであれば、質問に対してダイレクトに回答できます。また、生成回答と該当の質問に対応するサポートサイト※1の記事を組み合わせて提示することも可能なため、詳しく確認したい人にも対応できる。以前から「早く進化してほしい」と待ち望んでいましたし、お客様の体験を大きく変えることができると確信しました。
リリースされたのは2025年3〜4月頃ですが、今まで使っていたチャットボットのアップデート版なので、切り替えの手間もほとんどありませんでした。すぐに効果検証を行い、「これはいける」と判断し、3か月程度で切り替えを実行しました。
切り替え自体に技術的難しさはほとんどありませんでしたが、問題がないか確認するのに時間を要しました。回答精度がきちんと保たれているかを確認するため、テスト環境を構築し、モニタリング体制を整備。さらに、社内のセキュリティ基準を満たすために法務との調整も必要でした。
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坂本 和輝:Support Team マネージャー
一方で、効果検証の結果は非常に良かったんです。これまでの経験から、「一つの質問に対して一つの回答を書く」という記事構成がAIにとって最適とわかっており、サポートサイト記事の分割作業や不要な記事の削除を地道に続けていたからだと思います。
小林:「ひとまずナレッジとしてためておこう」と蓄積されていた記事を分割したり、既存の記事に補足情報として加えたり。この作業により、回答精度が格段に向上しました。
サポートサイト上のAIチャットボット
星:技術的な難しさについて補足すると、アップデートの約1年前(2024年5月頃)には、社内でチャットボットを自作する動きもありました。サポートサイトの情報を読み込ませて、現在の生成AIのような会話体験を目指しましたが、結果はうまくいかず…。
サポートサイトの記事が長すぎたため、AIが必要な情報を見つけにくくなっていたことが原因でした。このとき、「サポートサイトを整理しなければ」という課題が明確になりました。そこから地道に、時間をかけて記事の整理を進めていました。最終的なアップデート時には大きな課題はありませんでしたが、それまでの道のりは長かったです。
お客様の自己解決数約4倍、有人チャットへの問い合わせ数は前年度比約33%減を達成
──待望のアップデート後、どのような成果があったのでしょうか。
坂本:お客様の自己解決数は4倍ほど向上しました。当時は最大で月間300件程度だった自己解決数※2が、まず900件ほどに増え、現在では1300件程度まで増加しています(2025年11月時点)。
有人チャットへのお問い合わせ数も減少しており、2025年11月には前年比で33%減(前年度比67%)という実績があります。
星:ビジネス拡大に伴い、有人対応が必要な問い合わせ数全体も前年比120%~150%ほど増えていましたが、アップデート後の2025年7月には初めてマイナスに転じました。これもAIチャットボットの大きな成果だと考えています。
──成果に対する皆さんの感想や、社内の反響はいかがでしたか。
坂本:個人的には、期待通りの成果でした。お客様がその場で疑問を解決できる場面が増え、利便性が向上していると捉えています。また、営業やカスタマーサクセスからも「AIチャットボットをお客様に提案してもいいですか」という声が上がっており、お客様への提案時に強みとして活かせる手応えを感じています。
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星:個人的にはかなり驚きました。「こんなに成果が出るものなんだ」と。チャットボットに取り組んで4年が経ちますが、思うような成果が出ず「どうしたらいいんだ?」と感じる時期もありましたから(笑)
小林:実は、有人チャット対応の現場では、問い合わせが減っている実感はあまりありません。AIチャットボットの回答性能が上がった分、有人チャットでは難しい案件が増えたからだと思います。
有人チャットへの問い合わせ内容は複雑化──それをチャンスに
──問い合わせの質が変化したのですね。具体的には、どのような問い合わせが増えているのでしょうか?
小林:複数の機能を組み合わせた活用方法や、お客様の環境に合わせた複雑な内容が増えたという印象です。ただ、対応するメンバーからは前向きな意見が多いです。複雑な問い合わせに時間を割けるようになり、有人対応の意義が高まったと感じています。
また、複雑な問い合わせを減らす仕組みづくりにも目が向くようになり、サポートサイトの拡充や改善への意識が高まりました。
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小林 絵理:Support Team メンバー
坂本:有人チャット対応の現場では、良い変化だけではないかもしれません。ただ、簡単な問い合わせをAIが処理し、人間が複雑な問い合わせに集中できる現状はチャンスだと捉えています。
これまで着手できていなかった、カスタマーサクセスが持つ知識を記事化する動きも始まり、新たな記事の要望を受け付けるフォームも整備しました。すでに数本の記事を公開しており、既存記事ではカバーしきれなかったお客様の疑問にも対応できるようになったと感じています。
誤答、期待値調整──新たな課題と対策
──アップデートにより、新たに見えてきた課題はありますか。
小林:一般的な生成AIでも同様ですが、誤答がどうしても発生してしまいます。「チャットボットの回答通りに操作をしたのに解決しない」といったケースでの有人チャットへのスムーズな引き継ぎや、お客様の期待値調整は難しいと感じています。
「誤答の可能性がある」という注意文は記載しているものの、お客様は「チャットボットの案内に従えば大丈夫」と思われていることが多く、がっかりさせてしまうこともあります。
坂本:誤答改善のため、AIの誤答ログを抽出して修正する活動を毎月続けています。そのような地道な改善が今後も不可欠です。
また、誤答があった場合でもお客様が受け止めやすいコミュニケーションを心がけています。チーム内でノウハウを共有し、ケースごとのテンプレートを用意するなど、全員が高い水準で対応できるよう工夫しています。
次のステージ──生成AIを活用し、「強い組織」へ
──4年間の取り組みを振り返って、今回の試行錯誤と成果はThinkingsにとってどのような意味があると考えていますか?
星:大きく3つの意味があると考えています。
まず、お客様が24時間365日問い合わせできる状況が整ったことです。深夜に利用する方は少ないかもしれませんが、営業時間外でも一定の品質で問い合わせ対応ができることは、sonar ATSの信頼性向上に寄与します。
次に、対応の均質化や底上げです。AIが一定の品質を担保してくれるので、新しいメンバーが加わった場合でも、チーム全体の対応レベルを底上げすることができます。
3つ目は、生産性の向上です。お客様が増加しても、問い合わせ対応を行う人員を増やす必要がありません。少ない人数で多くの問い合わせに対応できるようになるため、組織の生産性は確実に高まります。
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星 誠:Revenue DX Dept ゼネラルマネージャー
これらを踏まえ、問い合わせ対応が中心だったSHDチームは、今後はお客様に対する価値をより生み出すパートナーへと進化する必要があります。複雑な問い合わせへの対応や、お客様の感情への配慮、機能改善の提案やアップセルなど、人間にしかできない価値創出にリソースを割く体制に変化しなければなりません。個人に求められる能力のレベルは高まっていますが、その分、組織の生産性やお客様への価値提供レベルは向上するでしょう。
──今後は、他の業務へのAI活用も検討されていると伺いました。今後の展望をお聞かせいただけますか。
星:まずは、営業活動への活用を検討しています。現在は、ウェブ商談の録画をAIに読み込ませて、要約やネクストアクションを抽出する仕組みを試験中です。また、商談後の記録作業をAIに任せたり、トークの質をスコアリングしたりする仕組みも検討しています。
従来は上司が商談に同席し、帰りにフィードバックすることが一般的でした。しかし、ウェブ商談が増えた現在では、動画視聴とチャットでフィードバックできるようになれば、トレーニングの効率は大きく向上します。「1時間の同席+30分のフィードバック」が、倍速視聴と簡易フィードバックで済むようになるでしょう。
営業活動においても、問い合わせ対応と同様に仕組み化や生産性向上、質の均一化が重要です。メンバーの入れ替わりもありますし、新メンバーのトレーニングにも時間がかかります。だからこそ、早く一人前になれる仕組みを構築し、組織として強くなることを目指しています。
大切なのは「早くから試行錯誤を重ねること」
──最後に、AIを用いた業務改善について、読者にメッセージをお願いします。
星:私からお伝えできるとしたら、やはり「トライすること」が大切だと思います。AIはこれから、どんどん日常に組み込まれていきます。だからこそ、「性能が上がってから使い始める」のではなく、早くから試行錯誤を重ねるべきです。私たちも、コロナ禍以降の試行錯誤があったからこそ生成AIチャットボットをスムーズに導入できました。
すぐに成果が出るかは分かりませんが、早く始めることが今後の価値につながります。発見も多くて面白いですし、ぜひ挑戦してほしいですね。このインタビューもAIに読み込ませて、良い感じに仕上げてもらってください(笑)。
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※1サポートサイト:「sonar ATS」の操作ガイドやFAQなどの情報を集約したサイト。
※2自己解決数:問い合わせに対する当社の回答が役に立ったかに対して、お客様が「はい」と評価したもの。もしくは、お客様が評価せず72時間経過したもののうち、AIがその回答内容と問い合わせ内容を比較し、回答が質問に対して適切であるか、関連性が高いかどうかを自動判定したもの。
▼前編はこちら
生成AI活用でお客様の自己解決数が4倍に──sonar ATSの「問い合わせ対応」進化の4年間【前編】
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