2025年の流行語大賞にもノミネートされた「平成女児」。1990年代後半から2000年代初頭に子ども時代を過ごした女性を指す言葉だ。かつて一世を風靡した「たまごっち」の人気が跳ね上がるなど、平成でブームとなったものが令和の子どもたちを中心に再び大流行。その熱気は広島にも広がっている。
令和の小学生も「宝物はシール」
ショッピングモール内の雑貨店前に長い行列ができていた。
視線の先にあるのは、今や入手困難となっている「ボンボンドロップシール(通称・ボンドロ)」。ぷっくりとした立体的な形と透明感が特徴の“シール”だ。
広島市南区のゆめタウン広島では、混乱を避けるためオープン前から整理券が配布された。人気はとどまるところを知らず、この日も入荷分は即完売。中には、朝4時前から並んだという人もいる。
サンリオキャラクター、ちいかわ、しずくちゃんなど主要シリーズは一般的に1シート550円(税込)。手に入れた6種類のシートを広げて見せる子どもは、はにかみながら「めちゃくちゃうれしいです!」と声を弾ませた。この日は早起きして朝6時半から列に並んだという。
「宝物はシール」という小学4年生の女の子は、たまごっちのシールをゲット。2025年11月から集め始めたシール帳はすでに10冊を超えている。
モール内の“シール交換会”は予約満席
このブームを象徴するのが、ショッピングモールで開かれた「シール交換会」だ。
1月17日、会場では机を挟んで子どもたちが向かい合い、シール帳をめくりながら真剣な表情でやり取りを続けていた。予約枠はすでに満席。広島でも、熱は確実に高まっている。
参加者はお互いのシール帳を交換し、相手の中から気になるシールを選ぶのだが、シールの世界には“レート”がある。デザインや希少性によって価値が決まり、特に人気の高いボンドロはシールを複数出さなければ交換してもらえないことも。ブームの過熱とともに、子どもたちの間で独自の相場観が形成されている。
交換会に参加した小学4年生は「楽しかった!」と笑顔を見せた。母親も「シールを一緒に買いに行ったり、店にない時はネットで探したりしています」と協力的。シール交換がはやる前は、スマートフォンのゲームや家庭用ゲーム機で遊ぶことが多かったという。
「通信ゲームは無限にやってしまったり、知らない人とつながる不安もありました。でも、シールは対面で遊べるところが安心です」
リアルな対面コミュニケーション
人気の理由は“コミュニケーションツール”にうってつけなところ。
リュックいっぱいにシール帳を詰め込んできた小学1年生は、「いろんな人と会って、知らないシールが見られて楽しかった」と話し、お気に入りの“ラブブのおしりシール”を指でぷにぷにと押して見せた。
そして、会場では大人になった平成女児も夢中でシール交換を行っていた。
「メゾピアノはアツいですよ。レート高いです!」
「やったー!ありがとうございます」
「2枚もらったので、もう1枚どうぞ」

2025年春ごろからシールを集め始めたという平成9年生まれの参加者は、「SNSで若い子が集めているのを見て、懐かしいなと思ったのがきっかけ」と振り返る。
「昔のキャラクターも出ていて、同世代と『これ懐かしいね』って盛り上がるのも魅力かもしれませんね。直接コミュニケーションを取れる場が少なくなる中で、いいイベントだと思います」
“平成のブーム”を超える社会現象に
ボンドロを製造する大阪市のメーカー「クーリア」によると、シリーズ累計の出荷枚数は1000万枚を超え、生産数は前年同時期の約300倍に達しているという。

「全社を挙げて増産体制を取っています」
広報担当者は、そう語る。
世代・トレンド評論家の牛窪恵さんは、このブームについて「一つの自己表現であり、シールをきっかけに話題が広がる楽しさが異世代に広がっている」と指摘する。
厚く膨れ上がったシール帳。広島でも過熱する“平成女児”ブームは、まだまだ冷めそうにない。
(テレビ新広島)
