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2025年3月に静岡県静岡市用宗(もちむね)にて、民泊「ミクソロジーハウスふじや」がOPENしました。当施設は弊社、Astlocal(アストローカル)株式会社が運営する記念すべき1棟目の民泊となっています。


また来月(2026年1月)にはもう1棟、静岡市葵区に民泊をOPENする予定です(先週、最終書類の提出が完了しました)。



今回は私たちAstlocalが手掛けている民泊について、なぜ民泊を行なっているのか?どんな苦労があったのか?現在得られたやりがいや利点はあるか?などをテーマに話した座談会をダイジェスト形式でお届けします。


※座談会の様子(年の瀬の2025年12月26日に実施)

地域課題への挑戦。古民家との出会い


静岡市用宗(もちむね)の港町。人口減少と空き家増加という課題を抱えつつも、富士山望む海岸や歴史文化に彩られた魅力的な土地です。




Astlocal株式会社は「ローカルを観光で強くする」をビジョンに掲げ、この地で築90年超の古民家を再生し、民泊施設「ミクソロジーハウスふじや」を立ち上げました。地域住民と協力し運営することで地域を元気にし、観光客に選ばれる街づくりに貢献したい——そんな思いから始まった挑戦です。


しかし、その道のりは決して平坦ではありませんでした。


物件探しからして困難の連続。民泊を営むにはまず物件確保が必要ですが、当初は賃貸で探したものの「民泊利用したい」とオーナーに持ちかける度に断られること約100回。静岡市内の不動産ネットワークやインターネットでの検索を駆使して何千件と調査・内見をしましたが、民泊と聞くだけで敬遠される現実に直面しました。



「このままでは埒が明かない…」。


そう痛感したAstlocalチームは発想を転換し、「借りられないなら買うしかない」との決断に至ります。創業間もない小さなチームにとって物件購入は大きな賭けですが、それほどまでに「早く民泊をつくり、検証したい」という意志の表れでもありました。

暗中模索の物件探索と挫折エピソード

物件購入に舵を切ったものの、自分たちが課した民泊OPENのための条件設定が厳しすぎるのも大きな壁となりました。


  • 静岡駅徒歩圏内
  • 最大10名以上が泊まれる空き家
  • リフォーム予算が500万円以内で収まる築浅物件


といった条件に固執するあまり、該当物件がほとんど見つからない時期が続きました。

というのも、民泊は立地で成功か失敗が半分決まると言われています。そのくらい、立地は大切です。


そんな中で浮上しては消えていった幻の物件たちがあります。



一つは静岡市中心部・鷹匠の古民家で、知人オーナーが相手だったため期待しましたが、提示された家賃は予算の3倍。結局カフェ出店希望者との競合に負け、涙を呑みました。


また別の物件では、立地は良いが前に借りていたお店が怪しげなピンク色の照明の店を飾っており、環境的に断念。


さらには、針の間を通すようなタイムスケジュールの中内見し、取締役の大石は当時1歳の子どもを抱っこしたまま内見せざるを得なかったケースも。幼児をあやしながら必死で写真撮影を行い、後で画像を見ると赤ちゃんの後頭部が写り込んでいたほど余裕のない状況でした(笑)。


今ではその写真も苦闘の証として宝物ですが、当時は必死でした。


※今だから笑える話がたくさん


その後、「静岡駅以外の駅近物件も探そう」と対象を広げるまで、チームは試行錯誤を重ねました。


暗中模索の末、ようやく出会えたのが静岡市用宗(もちむね)にある、築90年の古民家であり、現在1棟目の民泊「ミクソロジーハウスふじや」でした。



場所は用宗海岸近く。軒先から古き良き昭和の香りが漂うその家に足を踏み入れた瞬間、「ここでなら挑戦できる」と直感しました。


とはいえ、この物件にも予期せぬ試練が潜んでいました。


法の洗礼とインフラ崩壊…想定外の試練

物件取得後、まず直面したのは行政手続きの壁です。静岡県には学校から100m以内の場所で民泊営業を禁じる条例がありました。


静岡県ホームページより(住宅宿泊事業(民泊サービス)の実施の制限について)


驚くべきことに、用宗の古民家の近くにはこども園がある。地図で測ったところ、ギリギリ「100mルールの外」でした(本当にギリギリでした)。役所や消防、保健所、近隣住民へのご挨拶など、必要な手続きを一つ一つクリアし、このハードルを乗り越えます。


さらに追い討ちをかけたのがインフラ問題でした。


念願の物件をいざ借りてみたら、水道をひねっても一滴も出ない…下水も詰まって機能しない…電気も一部断線している。築古物件ゆえ覚悟はしていたものの、ライフラインがほぼ全滅という致命的欠陥に冷や汗が止まりませんでした。



幸い、現在のオーナーさんに掛け合い、水道管や排水の修繕費用を負担いただけることで乗り越えられましたが、もし交渉が決裂していたらと思うと背筋が凍ります。


こうしたトラブル対応の中で、古民家の大家さんとのご縁もより一層深くなりました。またこの「ミクソロジーハウスふじや」は戦前からある由緒ある建物で、大家さん一族の思い出が詰まった場所でした。


大家さんは当初民泊活用に半信半疑でしたが、私たちAstlocalが定期的に訪問しては近況を報告し、お菓子を差し入れたり、一緒に掃除をするうちに徐々に心を開いてくれました。


※本当にたくさんお世話になった大家さん(もちろん今も)


いつしかリフォームのたびに隣の大家さんにお菓子を届けながら世間話をするが日課となり、温かい関係性が築けています。


その後、古民家が民泊に生まれ変わりました。昭和の趣きを残しつつ、梁の上にアニメフィギュアを飾る遊び心も。「ミクソロジー(Mixology)=いろんなものを混ぜ合わせる」という施設名の由来を体現する空間になっています。


※柱たちは柱合会議の並びにしています(細かなこだわり)

2025年3月、民泊1号オープン! そして見えた手応え

こうした紆余曲折を経て、2025年春に「ミクソロジーハウスふじや」はついにオープンしました。クラウドファンディングで245名から500万円以上のご支援をいただけたことも大きな後押しとなりました。



さらにリフォーム・左官体験イベントでは延べ100名以上のボランティアが参加し「みんなで宿を創り上げる」プロジェクトとなりました。



この取り組みは地域課題解決の新たなモデルケースとしてNHK静岡様や新聞各紙にも取り上げていただき、オープン直後から地元の期待と注目が集まりました。


オープンから8ヶ月が経過した現在、宿泊事業も順調です。


最大14名が泊まれる「大きな古民家」という希少性がお客様のニーズに合致し、オープン初夏の8月にはairbnb等を通じて稼働率9割超を記録。広告費ゼロながら平日でも4.5割前後の稼働を維持し、大人数で泊まれる場を求めるニーズの強さを実感しました。



旅館業法上の営業日数制限(いわゆる「180日ルール」)に達しそうになるほどの盛況ぶりで、現在は価格調整など収益最大化のフェーズに移っています。


利用いただくお客様の層も多彩です。当初はインバウンドや観光客を想定していましたが、蓋を開けてみれば「地元に帰省する家族の宿泊先」「古民家での結婚式を挙げたいカップル」など想定外の需要が次々と舞い込んできたのです。


地域の人々にも「こんな素敵な宿ができたんだ」と喜んでいただき、地元発の新たな交流拠点として機能し始めています。


※閑散期の11〜12月は宿泊者でなくても自由にご利用できるOPEN DAYも開催

2号店への挑戦:成功体験を踏まえた次なる壁

1号店の成功に手応えを得た私たちは、「空き家再生で地域に人の流れを創るモデル」をさらに広げようと動き出しています。


2026年1月には静岡駅徒歩圏内、築60年超空き家を再生する2号店プロジェクト(昭和レトロ民泊「ミクソロジーハウスおまち」)がオープン予定です。



しかし、新たな挑戦にも多くの壁がありました。


最大の誤算はリフォーム費用の膨張。当初500万円程度を見込んでいた改修費が、最終的にその1.5倍近くに跳ね上がったのです。原因は施工業者とのコミュニケーションミス。


報告と確認のすれ違いで予算オーバーとなり、「またしても想定外…」と頭を抱える事態に。そこでチームは急遽、進捗と費用内訳をLINEグループで共有・見える化し、細かな変更点も全員で把握する体制に改めました。同じ轍を踏まないための教訓です。



資金繰りはいつも綱渡りです。


リフォーム代の支払い日、口座残高が数万円足りない…という冷や汗モノのピンチが毎月のように発生しては「今日乗り切れば予約収入が入ってくる」と、文字通り自転車操業でつないだ数カ月でした。金銭面でも時間面でも、スタートアップ企業の知恵と根性が試される場面が続きます。


一方、行政対応では1号店の経験が活きました。保健所や消防とのやり取りも勝手が分かり、消防署の立ち合い検査では「前回もしっかりやってくれたから今回も安心だね」と円滑に適合証を取得。


実はこの2号店、新しい営業形態(※自分たちが一棟買い上げた民泊運営)だったため、市役所内部でも扱いが分からず対応に迷われた一面もありました。何度も役所の窓口に足を運び、話し合い、「条例のどこに該当するのか」「どう運用すれば許可が下りるのか」を一緒に整理していったのです。


その甲斐あって申請も無事通過し、担当者から「勉強になりました」とお礼を言われたほっこりエピソードも。行政すら手探りのゾーンに果敢に踏み込み、道を切り拓いたのもAstlocalらしい現場主義と言えます。

苦労が生んだ未来:次なる展開とAstlocalの使命

Astlocalの挑戦はまだ始まったばかり。


現在、水面下で進行中なのが3号店プロジェクト(清水港そば)も動き出しています。

清水エスパルスの本拠地にも近く、試合遠征のファンもたくさん訪れてくれる場所になるはずです。


振り返れば、最初の物件探しで100回断られたことも、赤ちゃん連れで内見した写真も、法に振り回された日々も、すべてが今につながる糧となりました。


「静岡市に観光客が少ないのなら自分たちが宿を作り、呼び込むしかない」と覚悟を決めた瞬間から始まった物語は、多くのドラマを生みながら前進を続けています。


民泊はゼロからのスタートでしたが、地元住民100名以上を巻き込んで壁を塗り、開業後も交流と清掃に汗を流し、今や国内外から利用客が訪れる宿に成長しました。


広告宣伝費ゼロでもこれだけ人が集まる背景には、「大人数で気兼ねなく泊まれる場」への潜在需要と、Astlocal流の緻密なマーケティング戦略があります。


こうした成功体験と課題克服の知見を糧に、Astlocalは新たな展開も始めています。


「失敗しない民泊開業のための不動産コンサルティング」「仲間が増える民泊集客コンサルティング」の2つのサービスは、物件選びから運営・集客まで、現場を知り尽くした私たちチームが伴走し、戦略的に民泊事業を支援する内容で、「民泊の最初の壁を一緒に突破する」のがコンセプト。


実際、Astlocal自身が培ったノウハウは、同様に地域で空き家活用を目指す人々にとって貴重なヒントになると信じています。


「地方発の民間主導モデルを全国に広げたい」という思いのもと、コンサルティング事業にも力を入れ始めています。


最後に、Astlocalチームの今後についても触れておきます。Astlocalのメンバーは全員が「静岡市出身」。みな得意分野は異なりますが、静岡愛を持ったメンバーです。



代表の桜井貴斗は元求人メディア営業という異色の経歴ながら、「地方に骨のあるマーケティングを」と起業し観光分野に飛び込みました。


不動産選定担当の大石龍之介は現役医師かつ大家の顔も持ち、独自のネットワークで物件発掘から運営まで支えます。


行政交渉を担う渡邊尚子は8度の転居経験と企画畑のスキルを活かし、どんな相手にも物怖じしません。


そしてEC出身の山本達巳はクラウドファンディング成功の立役者であり、データ分析やWEB集客に強みを発揮しています。


「現場主義」で培ったチームワークこそがAstlocal最大の武器です。


空き家問題や観光振興に悩む地域は全国にありますが、その解決策の一つとして「民泊×地域共創」モデルが静岡から生まれつつあります。苦労話の裏にあるのは、何度壁にぶつかっても諦めず知恵を絞ったチームの姿と、共感して動いてくれた多くの仲間たちです。


今後このストーリーが広まり、メディアを通じてさらに共感の輪が広がったり、「うちの空き家も活用したい」「民泊事業を相談したい」といった声がAstlocalに寄せられたりすれば本望です。


「100回断られても、信じて行動すれば道は拓ける。」


Astlocalの舞台裏には、そんなシンプルで力強いメッセージが流れています。そして今日もまた、あの用宗の古民家では、新たな出会いと物語が静かに育まれているでしょう。




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